新型コロナウイルスのワクチン接種が各地で進む中、名古屋市中村区の細川外科クリニックでは、予約なしでの接種に取り組んでいる。自治体の接種券と予診票があれば、年齢や居住地は問わないため、多くの人が訪れている。急なキャンセルもないため、ワクチンを無駄にする心配もないという。
「他で予約している人はキャンセルを忘れないで」
6月中旬、クリニック駐車場の接種会場では、細川秀一院長が、訪れた高齢者らに接種の手続きや流れなどを説明した後、先着順にワクチンを打っていた。
朝6時に並んだという大治町の男性(68)は「5月に集団接種の予約をしようとしたら『7月半ば』と言われた。免疫がついたら旅行を楽しみたい」と話した。あま市の男性(61)は「基礎疾患があるので早く打ちたかった。本当に助かる」と安堵の表情を見せた。
クリニックは、超低温冷凍庫を備え、長期間ワクチンを保管できるため、ほかのクリニックなどよりも多くのワクチンが配分されている。電話対応や接種計画の作成、キャンセル対応など事務の手間が省けることも予約を受け付けない理由としている。
細川慶二郎副院長は「1日200人程度ならば接種できる。供給次第だが、今後も多くの人にワクチンを接種し、逼迫する医療の改善に寄与したい」と語った。
新型コロナ 感染53人
県内では30日、新型コロナウイルスに新たに53人が感染し、1人が死亡したことが確認された。
新規感染者の居住地別内訳は、名古屋市26人、豊橋市4人、一宮市3人、小牧、安城、蒲郡市各2人、岡崎、豊田、尾張旭、北名古屋、あま、半田、大府、知多、みよし、刈谷市、東郷、東浦、美浜、幸田町各1人。
クラスター(感染集団)関連では名古屋、岡崎、一宮市の三つの医療機関で計4人の感染が新たに判明した。
名古屋市議も感染
名古屋市議会事務局は30日、奥村文悟市議(名古屋民主・昭和区)が新型コロナウイルスに感染したと発表した。軽症で、自宅療養しているという。
同事務局によると、奥村市議は6月29日夜に自宅で発熱し、PCR検査で陽性と判明した。28日の本会議や29日の財政福祉委員会に出席。同委員会に出席した全議員と、本会議場でそばにいた議員ら計30人が30日、自宅待機したため、予定されていた6委員会は延期となった。
市の調査で、30人中8人が濃厚接触者と認定され、2週間程度、自宅待機する。開会中の6月定例議会は定足数が満たされるため、通常通り開かれる。