ワクチン6千万人分供給へ 塩野義、従来計画の倍 半量有効、年内供給も
2021年7月8日 (木)配信共同通信社
塩野義製薬は7日までに、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、従来計画の2倍となる年最大6千万人分(1億2千万回分)の提供も可能になりそうだと明らかにした。想定の半分程度の投与量で十分な効き目が期待できるためで、年3千万人分以上としていた計画を倍増できる。臨床試験(治験)で安全性や有効性の確認を進め、条件が整えば年内にも供給を始めたいとしている。
塩野義は昨年12月から日本人約200人を対象に治験を実施している。これまでの研究結果を踏まえ、治験の対象を広げてワクチン投与の適用量を精査する。ワクチンは塩野義の協力会社でバイオ医薬品製造の「UNIGEN(ユニジェン)」(岐阜県池田町)で生産する。既に一部の生産ラインが完成しており、年末までに全てのラインが整う予定。
ワクチンの実用化には大規模な治験が必要だが、数万人規模の参加者を集めるのが難しくなっていることなどが国産ワクチン開発の壁となっている。塩野義は、一定の条件を満たして承認を受けられる国の制度が適用されれば年内供給は可能としている。東南アジアやアフリカなどの感染流行地域で最終段階の治験を行うことも検討する。
塩野義のワクチンは、遺伝子組み換え技術を使ったもので、既にインフルエンザワクチンなどで実績がある。米ファイザーや米モデルナ製と同様に2回接種する。