コロナ入院率に変化 20~50代増加し70代以上は大幅減
2021年7月30日 (金)配信沖縄タイムス
沖縄県は29日、新型コロナウイルスに感染して療養する人のうち病状が悪化して入院した人の割合(入院率、28日時点)を初めて年代別で公表した。20~50代は4人に1人に当たる25%となり、4月の19%に比べ上昇した。特に40代で伸びが大きい。対照的にワクチン接種が進む70代以上の入院率は63・2%で、4月の92・2%から大幅に減った。
入院率は、28日の療養者1472人から算出。インド由来のデルタ株や、英国由来のアルファ株といった変異株が広がらない中で感染が拡大した4月1日時点(療養者711人)と比較した。保護者が看病できないなど医学的理由以外で入院することのある10代以下を除き、原則、酸素投与などの治療を要する中等症以上に悪化した人が入院の対象になるという。
20代は12・8%、30代は19・4%、40代は35・3%、50代は41%が入院した。4月と比べると30代を除く各世代で割合は上昇し、特に40代は約1・9倍増だった。20、50代も各5ポイント程度増えた。60代はほぼ変化がなかった。
高齢者の入院が減った影響で全世代の入院率は27・9%と、4月の32・8%より減少。だが感染者そのものが前例のないペースで増えているため、県は医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を強く懸念している。
■若年層も感染予防を
県立中部病院・椎木創一医師の話 比較的若い世代で入院率が高まっている要因はいくつか考えられる。一つは、新規感染者数が急激に増え、受診や検査の機会が制限されたことで、症状を悪化させてしまうことだ。感染拡大が抑えられている段階なら早期に受診して軽症で済んだかもしれないのに、医療体制が逼迫(ひっぱく)するとそれが難しくなる。
デルタ株の影響もあり得るだろう。従来株よりも毒性が強いというはっきりしたデータはないものの、警戒が必要だ。
若い世代であっても重症化することはある。特に肥満や糖尿病の人はリスクが高い。
いったん感染してしまうと、後遺症を患うケースもある。息苦しさや倦怠(けんたい)感、味覚や嗅覚の障害などだ。これらは重症者だけではなく、軽症者にも起こり得る。
さらに、周囲の人にうつしてしまったことで、精神的なストレスや悩みを抱える人は多い。まずは感染しないことが最重要であり、若い世代もワクチン接種など感染防止に一層努めてほしい。
コロナ病床利用率は29日に確保611床のうち71%が埋まり、県の警戒レベルで第4段階(感染まん延期)に到達した。玉城デニー知事は29日の記者会見で「若い世代は新型コロナが重症化しにくいといわれるが、まだまだ恐れるべき感染症だ」と述べた。