「過誤腫」の原因遺伝子特定 異常の発生時期も解明 浜医大など
2016年3月25日 (金)配信静岡新聞
浜松医科大(浜松市東区)医化学講座の才津浩智教授などの研究グループが、脳最深部で、てんかん発作を引き起こす奇形「視床下部過誤腫」の原因となる遺伝子の異常を特定した。体を形作る途中段階で遺伝子変異が現れ、脳の局所に異常が起きることも明らかにした。25日にアメリカ神経学会の電子ジャーナルで発表した。
視床下部過誤腫は胎児の段階で、自律神経機能の調節をつかさどる部位で形成される数ミリから3センチ程の先天性の奇形。患者には「笑い発作」と呼ばれる発作が現れ、精神発達遅滞や行動異常につながる。早期治療が必要になるが、脳最深部に位置するため治療が困難とされる。
研究グループは発生原因を探るため、最先端の外科手術治療を行う西新潟中央病院(新潟市西区)の患者の男女16人から過誤腫組織や血液などの提供を受けてDNAを解析し、過誤腫組織だけに現れる遺伝子異常を抽出した。
その結果、5検体の細胞で、信号を受け取る「繊毛」の形成に関与する「OFD1遺伝子」か、タンパク質の発現量を調節する「GLI3遺伝子」で異常が見つかった。このことから、脳になる前の細胞内で起きた遺伝子異常の影響で、組織形成に必要な信号(Shhシグナル)が伝わらないことが、視床下部過誤腫が発生する一因と結論付けた。
才津教授によると、父母の配偶子(精子と卵子)や受精卵の段階で突然変異が起こると患者の全ての細胞で変異が生じ、手や顔面などに奇形が現れる。しかし、今回、遺伝子異常のある患者のほとんどに外形的な奇形がなかったことから、視床下部過誤腫は細胞分化の過程で遺伝子の異常が発生したと推察されるという。
才津教授は「Shhシグナルの伝達に関与する薬物の効果を検証することで、手術以外の治療法開発につながる」と期待する。
2016年3月25日 (金)配信静岡新聞
浜松医科大(浜松市東区)医化学講座の才津浩智教授などの研究グループが、脳最深部で、てんかん発作を引き起こす奇形「視床下部過誤腫」の原因となる遺伝子の異常を特定した。体を形作る途中段階で遺伝子変異が現れ、脳の局所に異常が起きることも明らかにした。25日にアメリカ神経学会の電子ジャーナルで発表した。
視床下部過誤腫は胎児の段階で、自律神経機能の調節をつかさどる部位で形成される数ミリから3センチ程の先天性の奇形。患者には「笑い発作」と呼ばれる発作が現れ、精神発達遅滞や行動異常につながる。早期治療が必要になるが、脳最深部に位置するため治療が困難とされる。
研究グループは発生原因を探るため、最先端の外科手術治療を行う西新潟中央病院(新潟市西区)の患者の男女16人から過誤腫組織や血液などの提供を受けてDNAを解析し、過誤腫組織だけに現れる遺伝子異常を抽出した。
その結果、5検体の細胞で、信号を受け取る「繊毛」の形成に関与する「OFD1遺伝子」か、タンパク質の発現量を調節する「GLI3遺伝子」で異常が見つかった。このことから、脳になる前の細胞内で起きた遺伝子異常の影響で、組織形成に必要な信号(Shhシグナル)が伝わらないことが、視床下部過誤腫が発生する一因と結論付けた。
才津教授によると、父母の配偶子(精子と卵子)や受精卵の段階で突然変異が起こると患者の全ての細胞で変異が生じ、手や顔面などに奇形が現れる。しかし、今回、遺伝子異常のある患者のほとんどに外形的な奇形がなかったことから、視床下部過誤腫は細胞分化の過程で遺伝子の異常が発生したと推察されるという。
才津教授は「Shhシグナルの伝達に関与する薬物の効果を検証することで、手術以外の治療法開発につながる」と期待する。