Mars&Jupiter

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ドミトリ・ショスタコーヴィチの交響曲第12番ニ短調「1917年」作品112を聴く

2016-04-25 06:18:04 | ショスタコーヴィチの作品
今回取り上げるのはショスタコーヴィチが、
1961年に作曲した交響曲第12番ニ短調「1917年」作品112である。
聴いたCDはムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮、
ロンドン交響楽団の演奏による。
第1楽章「革命のペトログラード」(モデラート-アレグロ)は、
低弦による重々しい導入部から始まる。
中心主題となるこの旋律は繰り返されたあと、
アレグロの主部に入り、ファゴットが第一主題を奏でる。
やがて打楽器と金管楽器を中心に荒々しく盛り上がっていく。
これが終わると低弦が第二主題を奏でていく。
それらの主題をもとに展開されて、
激しい革命の様子を描写し、勝利を目指すように、
希望に満ちた旋律が現れながら突き進んでいく。
最後はそれを回想するかのように旋律が奏でられ、
金管楽器によるファンファーレ風の部分も現れて終わる。

第2楽章「ラズリフ」(アダージョ)は、低弦の奏でる旋律で始まる。
ラズリフはレーニンが革命の年に仕事をしていた、
ペテログラード近郊の湖のことであるようだ。
湖の湖面の水の揺れるさざ波の音を示すような旋律が、
他の楽器に引き継がれる中、ホルンも絡んでいく。
中間部は木管楽器により牧歌的な旋律が奏でられていく。
やがて金管楽器が歌うように旋律を奏でていき、
弦楽器のトレモロとともに盛り上がりを見せ、
最後は穏やかに終わり、次の楽章に続く。
第3楽章「アフローラ」(アレグロ)は、
弦楽器のピチカートで始まり、それに木管楽器や打楽器が絡み、
そのあとは激しい感じになり、皇帝に反旗を翻し、
ネヴァ川から冬宮を砲撃した巡洋艦アフローラの活躍を示し、
第一楽章の主題も顔を表して終わる。
第四楽章「人類の夜明け」(アレグロ-アレグレット)は、
力強く勇ましい第一主題が奏でられて始まる。
弦楽器と金管楽器により示されるこの旋律は歓喜を示している。
もう一つの主題は弦楽器により示される優しく明るい旋律である。
これまでの楽章で出てきた主題も回想風に現れながら、
革命の激しさと厳しさとそれを乗り越え勝利した歓喜が示される。
革命歌が金管楽器で繰り返される中、ティンパニが鳴り響き、
力強い歩みを進めながら、盛り上がりをみせ、高揚したところで終わる。
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ドミトリ・ショスタコーヴィチの交響曲第4番ハ短調作品43を聴く

2016-04-23 09:12:59 | ショスタコーヴィチの作品
今回取り上げるのはショスタコーヴィチが、
1935年から36年にかけて作曲した交響曲第4番ハ短調作品43である。
聴いたCDはガキリル・コンドラシン指揮、
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による。
第1楽章アレグロ・ポコ・モデラートは、
強奏に始まり、力強くリズミカルな第一主題が示される。
そして第二主題も現れたあと、盛り上がりを見せていく。
それが終わった後は木管楽器中心に活躍し、
そのあとは静かな部分を経て、再び盛り上がり、
静まったあとはファゴットが旋律を奏で、
弦楽器を中心としたゆったりとした部分に入る。
ファゴットやフルートが弦楽器と絡んで旋律を奏で、
次には舞踏風の音楽になり、金管楽器が中心になり盛り上がり、
木管楽器が第一主題をもとにした展開を進めていく。
そのあとは疾走するような弦楽器の旋律が現れ、
フーガ風に展開していき、金管楽器も加わり音の厚みを増す。
そのあとワルツ風になり、強奏のあと第一主題の一部が再現され、
イングリッシュ・ホルンが旋律を引き継ぎ、ヴァイオリン独奏が続き、
ファゴットが第一主題を奏でて、イングリッシュ・ホルンも続いて終わる。

第2楽章モデラート・コン・モートは、
弦楽器が舞踏風の旋律を奏でて始まる。
その主題を弦楽器の中で引き継ぎながら曲は進行し、
木管楽器や金管楽器がそれに絡んでいく。
終わりの方で盛り上がりをみせたあとは、
最初の主題を繰り返して終わる。
第3楽章ラルゴ-アレグロは、低弦の奏でるリズムに乗り、
ファゴットが行進曲風の旋律を奏でて始まる。
葬送的でもあるこの雰囲気はマーラー風であり、
交響曲第7番の雰囲気を感じさせもする。
やがて金管楽器も加わり、盛り上がりをみせ華やかとなる。
それがいったん終わると静かになり、弦楽器中心となる。
やがて、軽快でリズミカルに旋律が奏でられ盛り上がっていき、
木管楽器と金管楽器により激しく荒々しい感じになり、
それが終わると舞踏風の優雅な旋律と、
軽快な旋律が交互に繰り返される。
そして打楽器の強打の上で、
金管楽器のコラール風の旋律が力強く奏でられる。
それが繰り返されながら、盛り上がりをみせたあと、
フルートに続き弦楽器が静かに旋律を奏でて、
チェレスタが分散和音によるオスティナートを繰り返し、
最後は神秘的な雰囲気の中、謎めいた部分を残して静かに終わる。
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ドミトリ・ショスタコーヴィチの交響曲第14番ト短調作品135を聴く

2016-04-22 06:10:38 | ショスタコーヴィチの作品
今回取り上げるのはショスタコーヴィチが、
1969年に作曲した交響曲第14番ト短調作品135である。
聴いたCDはガリーナ・ヴィシネフスカヤのソプラノ、
マルク・レシェティンのバス、ルドルフ・バルシャイ指揮、
モスクワ室内管弦楽団の演奏による1969年10月6日のライブ録音である。
第1楽章「深き淵より」(アダージョ)は、
弦楽器による序奏に続き、バス独唱が歌い始める。
効果的なコントラバスの音にヴァイオリンが絡み、
ロルカの詩に基づく死のイメージがバスによって歌われる。
第2楽章「マラゲーニャ」(アレグレット)は、
前楽章の静のイメージとは対照的で動のイメージで、
せわしく動く弦楽器の動きに合わせ狂乱したように、
ソプラノ独唱によりロルカの詩に基づく歌が、
舞踏的な旋律にのって歌われる。
第3楽章「ローレライ」(アレグロ・モルト)は、
バス独唱とソプラノ独唱により歌われる。
アポリネールの詩に基づく歌が、荒々しく、
軽快なテンポで、行進曲風な伴奏に乗って歌われる。
鐘が鳴り、そのあとはゆったりとしたテンポとなる。
最後チェロの音が残り、次の楽章に続く。

第4楽章「自殺者」(アダージョ)は、
チェロ独奏の伴奏に乗ってソプラノ独唱により、
アポリネールの詩に基づく歌が歌われていく。
やがて伴奏に弦楽合奏も加わるが、そのあともチェロ独奏が、
ソプラノ独唱に絡んでいき、最後は消え入るように終わる。
第5楽章「用心して」(アレグレット)は、シロフォンの音と、
打楽器による行進曲風のリズムの中、ソプラノ独唱が歌う。
アポリネールの詩に基づく歌は、塹壕で死ぬ兵士を歌っている。
第6楽章「マダム、ごらんなさい!」(アダージョ)は、
バス独唱とソプラノ独唱が対話風に歌っていく。
アポリネールの詩に基づく歌で、ドラマティックである。
第7楽章「ラ・サンテ監獄にて」(アダージョ)は、
バス独唱によりアポリネールの詩に基づく歌が続く。
ここでもコントラバスなど低弦の音が効果的に使われる。
この音は監獄のイメージといっていいのだろうか。

第8楽章「コンスタンチノープルのスルタンへのザポロージェ・
コサックの返事」(アレグロ)も、アポリネールの詩に基づく。
弦楽器の鋭い音と、バス独唱により展開されていく。
第9楽章「おお、デーリヴィク、デーリヴィク」(アンダンテ)は、
キュヘルベーケルの詩に基づくもので、キュヘルベーケルは、
プーシキンの友人で、デーリヴィクも同じく友人であった。
デーリヴィクはデカブリストの乱に参加し、シベリアの流刑地で亡くなった。
弦楽合奏の序奏のあと、デーリヴィクに呼びかけるように歌われる。
最後のチェロとコントラバスによる五重奏が効果的である。
第10楽章「詩人の死」(ラルゴ)は、リルケの詩に基づくもので、
弦楽合奏の前奏に続き、ソプラノ独唱が歌って始まる。
ヴィブラフォンの音が途中で効果的に使われる。
第11楽章「結び」(モデラート)も、リルケの詩に基づくもので、
カスタネットと弦楽合奏の軽快な伴奏の上で、
バス独唱とソプラノ独唱が「死は全能」と歌って始まり、
盛り上がったところでトムトムが衝撃的に鳴り響いて終わる。
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ドミトリ・ショスタコーヴィチの交響曲第8番ハ短調作品65を聴く

2016-04-19 06:27:44 | ショスタコーヴィチの作品
今回取り上げるのはショスタコーヴィチが、
1943年に作曲した交響曲第8番ハ短調作品65である。
聴いたCDはエフゲニー・ムラヴィンスキー指揮、
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による。
第一楽章アダージョ-アレグロ・ノン・トロッポは、
低弦による重々しい旋律にヴァイオリンが対話するように始まる。
この序奏が終わるとヴァイオリンが叙情的な旋律を奏でる。
これが繰り返されたあと、次に別の旋律がヴァイオリンにより現れる。
戦争での悲劇を回想するかのように、明暗の部分が交互に現れる。
金管楽器と打楽器により、徐々に荒々しくなっていき、
盛り上がりをみせクライマックスを築いたあと静まり、
弦楽器のトレモロの上でイングリッシュ・ホルンが、
悲しげな旋律を奏でていき、そのあとは前半の重々しい感じが続き、
トランペットが冒頭の主題を奏で、ヴァイオリンがそれを引き継ぎ、
トランペットの音が再び現れ、最後弦楽器のみで静かに終わる。

第二楽章アレグレットは、スケルツォ的な要素を持つ楽章で、
行進曲風の旋律が荒々しく、そして力強く奏でられて始まる。
そしてリズミックなピッコロの旋律が現れ、
他の木管楽器がこれに絡み合って進んでいき、
そのあとは金管楽器が加わって盛り上がり、
再び冒頭の行進曲風の旋律が現れ、繰り返され、
フルートなど木管楽器がそのあとを継いで、
最後はトランペットなど金管楽器により盛り上がって終わる。
第三楽章アレグロ・ノン・トロッポも、行進曲的で、
スケルツォ的な要素を持つ楽章で、
せわしなく動くヴァイオリンの音型の上で、
木管楽器と金管楽器が主題を奏でていく。
リズミックで、疾走感のある音楽である。
中間部ではトランペットの音が鳴り響き、軽快な旋律を奏で、
再び冒頭の行進曲風の旋律が繰り返され、次の楽章に切れ目なく続く。
第四楽章ラルゴは、パッサカリア形式で書かれており、
弦楽器により奏でられた悲哀のある主題をもとに、
十一の変奏が展開され、そのまま切れ目なく次の楽章に続く。
第五楽章アレグレットは、ファゴットの軽快な旋律で始まる。
それを弦楽器が引き継いだあと、フルートがそれを引き継ぎ、
再び弦楽器が旋律を引き継ぎ、リズミックにそして、
あるところではフーガ風に展開していく。
そして第一楽章冒頭の主題が突現現れるここでは明るさを持っている。
そのあとバス・クラリネットが、旋律を奏でて冒頭の部分に戻り、
弦楽器が繰り返す3つの音型(ハ・ニ・ハ)とともに静かに終わる。
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ドミトリ・ショスタコーヴィチの交響曲第15番イ長調作品141を聴く

2016-04-17 21:46:15 | ショスタコーヴィチの作品
今回取り上げるのはショスタコーヴィチが、
1971年に作曲した交響曲第15番イ長調作品141である。
聴いたCDはクルト・ザンデルリンク指揮、
ベルリン交響楽団の演奏による。
第一楽章アレグレットは、フルートの軽やかな旋律で始まる。
そしてファゴットがそれを引き継ぎ、滑稽な感じでもある。
ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲のフレーズも現れ、
打楽器と木管楽器が活躍するこの室内楽的な感じは、
ニールセンの交響曲第6番を感じさせるものでもある。
ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲のフレーズは何度も現れ、
無邪気なショスタコーヴィチの幼少期を示しているのかもしれない。
最後は盛り上がりをみせていき、最初の主題をもとに爽やかに終わる。

第二楽章アダージョ-ラルゴ-アダージョ-ラルゴは、
金管楽器によるコラール風の旋律で始まる。
そのあとチェロ独奏が歌うように旋律を奏でていく。
金管楽器によるコラール風の旋律とチェロ独奏による旋律は繰り返される。
その後、コラール風の旋律は再び奏でられる中、盛り上がりを見せたあと、
再び静かになり、チェロ独奏が活躍し、
ティンパニが弱音で葬送的な音を示していく。
第三楽章アレグレットは、軽快な感じの旋律が奏でられていくが、
ややグロテスクな感じのスケルツォとなっている。
木管楽器と打楽器が活躍し、舞踏風で面白い感じである。
第四楽章アダージョ-アレグレット-アダージョ-アレグレットは、
金管楽器のコラール風の旋律で始まり、弦楽器による舞踏風な旋律を奏でる。
ここの部分は作曲者のたどってきた人生への回顧だろうか。
引用される旋律でハイドンの交響曲第104番の動機が繰り返され、
クライマックスを築いたあと、いったん静まり弦楽器と木管楽器の部分となる。
金管楽器のファンファーレ風の旋律のあと、
弦楽器による舞踏風の旋律が奏でられて、チェレスタが奏でる旋律と、
ハイドンの交響曲第104番の動機と第一楽章の冒頭の旋律が絡んでいく。
最後は打楽器と弦楽器の響きだけが残り、静かに終わる。
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