<両神温泉(1)>
山梨方面から帰るとき、中央道の上り線を走るのがあまり好きではない。
どんなに早起きして走っても渋滞に巻き込まれるし、ついこの前に悲惨な崩落事故があったように山梨県境あたりのトンネルがやたら古すぎるので怖い。
だから、富士吉田を抜けて東名高速を使ったり、塩山から通称「彩甲斐街道」といわれる国道で秩父に抜けたりする。
長い県境の雁坂トンネルを抜けて暫く下っていけば、すぐに奥秩父である。
三峰口の付近で国道を左折して脇道に入る。
十分ほどで、「道の駅 両神温泉薬師の湯」が左手に見えてくる。
広い駐車場を入ると正面に日帰り温泉施設がある。温泉に懲りだしたとき、山梨の帰りや冬場によく利用したので、なんとも懐かしい。たいてい、帰りには牧場でアイスを食べたものだ。
ほかには農産物直売所、休憩所、トイレなどがある大きな道の駅だ。
久しぶりに立ち寄り温泉をしていくことにして、車をとめると、いつも常備してあるタオルを持って階段を昇っていく。
平日なので、入浴している先客が十名に満たない。浴槽の縁に座り、掛け湯をたっぷりして浴槽に身を沈める。
(むむ、こんな程度の温泉に満足していたんだ・・・)
あれから千数百湯をこなしたのだから無理もないか。温泉はたしかに温泉だが、循環消毒されていて、いかにも薄いものであった。
今日は両神荘という国民宿舎に泊るのだが、すこし温泉が心配になってきた。
冬場になると、雪の心配から行動範囲が伊豆とか房総とか極端に狭くなってしまう。たまには眼先を秩父の温泉に転じてみたのである。
チェックインにすこしだけ間があるので、車を宿の駐車場にとめて付近をぶらつくことにする。なにしろ公営の宿は民間の宿のように柔軟な対応は期待できないからだ。三時といったら、ジャスト三時からなのである。
眼の前にある、ばかでかい中国の寺院風の建物に歩いて行く。
静かな秩父の山のなかではいかにも浮いていて、場違いこのうえない。
南西省友好記念館で、「神怡舘(しんいかん)」と呼ばれている。
埼玉県と山西省の友好の証として、五台山と地形の似た両神地区に、山西省にある、唐代(857年)に建立された五台山仏光寺の東大殿をモデルに建てられた。
なんかどこかで見たことあるような気がするのは、当時の唐の建築様式だが、奈良の唐招提寺の金堂にも大きな影響を与えているからだそうだ。
神怡舘の「神怡(しんい)」だが、「心がひらけて気持ちが和らぐ」という意味だそうである。
門の両脇には鉄牛と鉄人が飾られている。
館内には、菩薩像(仏光寺東大殿脇侍菩薩像)、縮小された精密な木製の塔(仏宮寺釈迦塔)など大型の展示物や、工芸品、書画、仏像、楽器などの多くの展示物があるそうだがそのほとんどは複製らしい。
前庭には、山西省で産出された見事に大きな石炭が置かれている。
記念館正面の、道を越えたところには「古代復元住居」なるものも建てられていた。ここから住居跡や土器、石器が発見されたそうである。
まさか、宿のすぐそばにこんな手頃な時間潰しがあるとは思わなかった。
さて、もう頃合いだろう。チェックインするとしよう。
―続く―
→「ふれあい牧場のアイス」の記事はこちら
山梨方面から帰るとき、中央道の上り線を走るのがあまり好きではない。
どんなに早起きして走っても渋滞に巻き込まれるし、ついこの前に悲惨な崩落事故があったように山梨県境あたりのトンネルがやたら古すぎるので怖い。
だから、富士吉田を抜けて東名高速を使ったり、塩山から通称「彩甲斐街道」といわれる国道で秩父に抜けたりする。
長い県境の雁坂トンネルを抜けて暫く下っていけば、すぐに奥秩父である。
三峰口の付近で国道を左折して脇道に入る。
十分ほどで、「道の駅 両神温泉薬師の湯」が左手に見えてくる。
広い駐車場を入ると正面に日帰り温泉施設がある。温泉に懲りだしたとき、山梨の帰りや冬場によく利用したので、なんとも懐かしい。たいてい、帰りには牧場でアイスを食べたものだ。
ほかには農産物直売所、休憩所、トイレなどがある大きな道の駅だ。
久しぶりに立ち寄り温泉をしていくことにして、車をとめると、いつも常備してあるタオルを持って階段を昇っていく。
平日なので、入浴している先客が十名に満たない。浴槽の縁に座り、掛け湯をたっぷりして浴槽に身を沈める。
(むむ、こんな程度の温泉に満足していたんだ・・・)
あれから千数百湯をこなしたのだから無理もないか。温泉はたしかに温泉だが、循環消毒されていて、いかにも薄いものであった。
今日は両神荘という国民宿舎に泊るのだが、すこし温泉が心配になってきた。
冬場になると、雪の心配から行動範囲が伊豆とか房総とか極端に狭くなってしまう。たまには眼先を秩父の温泉に転じてみたのである。
チェックインにすこしだけ間があるので、車を宿の駐車場にとめて付近をぶらつくことにする。なにしろ公営の宿は民間の宿のように柔軟な対応は期待できないからだ。三時といったら、ジャスト三時からなのである。
眼の前にある、ばかでかい中国の寺院風の建物に歩いて行く。
静かな秩父の山のなかではいかにも浮いていて、場違いこのうえない。
南西省友好記念館で、「神怡舘(しんいかん)」と呼ばれている。
埼玉県と山西省の友好の証として、五台山と地形の似た両神地区に、山西省にある、唐代(857年)に建立された五台山仏光寺の東大殿をモデルに建てられた。
なんかどこかで見たことあるような気がするのは、当時の唐の建築様式だが、奈良の唐招提寺の金堂にも大きな影響を与えているからだそうだ。
神怡舘の「神怡(しんい)」だが、「心がひらけて気持ちが和らぐ」という意味だそうである。
門の両脇には鉄牛と鉄人が飾られている。
館内には、菩薩像(仏光寺東大殿脇侍菩薩像)、縮小された精密な木製の塔(仏宮寺釈迦塔)など大型の展示物や、工芸品、書画、仏像、楽器などの多くの展示物があるそうだがそのほとんどは複製らしい。
前庭には、山西省で産出された見事に大きな石炭が置かれている。
記念館正面の、道を越えたところには「古代復元住居」なるものも建てられていた。ここから住居跡や土器、石器が発見されたそうである。
まさか、宿のすぐそばにこんな手頃な時間潰しがあるとは思わなかった。
さて、もう頃合いだろう。チェックインするとしよう。
―続く―
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