温泉クンの旅日記

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続・谷川温泉 (1)

2013-08-25 | 温泉エッセイ
  <靴下の宿(1)>

 宿もいろいろである。
 まったく手抜きサービスの宿もあれば、客へのサービスのために工夫を凝らす宿もある。
 靴の掃除や磨いてくれる宿、凍った車のウィンドを溶かしておいてくれたり、さりげないサービスはどれも心に残るものだ。

 到着して、案内されたラウンジに座ると、お茶と菓子が供された。





(アロエ餅とは珍しい・・・)
 この宿オリジナルな菓子らしい。美味しかったので明日の朝買っていこう、と頭のなかにメモしたところで、計ったように部屋へ案内される。

「こちらのご利用は初めてでございますか」
 案内される途中、エレベーターのなかで仲居に訊かれた。
「いや、二度目になります。前回は・・・たしか、ここの別館となる『千寿庵』が創業した年に来たと記憶しているが・・・」
 女将さんに、別館がもうすぐオープンするのでぜひご利用くださいと頼まれた覚えがあるのだ。
「別邸千寿庵の創業年度というと・・・平成九年ですね」
「・・・・・・」
 そんなになるのか。別邸の創業が平成九年(1997)年というと、もう十五年以上も前のことになる。



 水上温泉郷のひとつ、谷川温泉は谷川岳の南西の麓に位置する閑静な温泉地である。



「旅館たにがわ」は文人墨客に愛され、この宿に滞在して執筆活動した太宰治ゆかりの宿である。
 別邸として超高級宿「千寿庵」を建てたくらいだから、それなりの宿泊料金をとる格式ある宿なのだ。



 わたしの宿賃レベルに下がるのを待ちに待って、オフシーズンの平日泊、ようやくの再訪できたのである。

「お客様、お履きの靴下をお預かりします」
 とりあえず部屋に腰を落ち着けると、待ちかまえるように仲居がいった。
「えっ、まだそのサービスやっているんだ?」
 初めての宿泊のとき同じことを言われて、暫く意味がわからず、そうして慌てて靴下に穴がないか確認してしまった。だから今回は、まあまあいい靴下を履いてきたのだ。
 履いている靴下は洗濯して翌朝に届けてくれる、なんとも行き届いたサービスなのである。まだこいつを続けてくれているのが嬉しい。

 浴衣に着替えると、一階にある浴室に向かった。
 靴下を洗濯してくれるサービスと、もうひとつこの宿で確認したいことがあるのだ。

(なるほど、内湯の横にあるのは丸太を繰り抜いた上がり湯だったんだ・・・)



 これで、もやもやしていることがしっかりと確認できた。わたしの記憶もかなりいい加減なもので、十五年経つうちに、内湯に浴槽が二つあったように記憶があやふやに変化していたのだ。
 内湯は、熱めのちょうどいい湯加減である。



 外の露天風呂は、ほぼ記憶どおりで安心した。



 浴室を出たところに用意された冷水を飲むと、部屋に戻る前に、ラウンジの外にある足湯を試してみることにした。



 滴るような緑がたっぷりのなかでの足湯は、ちょっと贅沢な気分であった。
 喰い過ぎた二人前のへぎそばも、だいぶこなれてきたようだ。


  ― 続く ―


  →「谷川温泉」の記事はこちら
  →「へぎそばダブル」の記事はこちら
  →「玉原ラベンダーパーク(1)」の記事はこちら
  →「玉原ラベンダーパーク(2)」の記事はこちら

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