温泉クンの旅日記

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桜家のうな重 静岡・三島

2008-12-09 | 食べある記
  < 桜家のうな重 >

 この前の土曜日にいよいよ東海道ウォークを再開しよう、と思いたった。腰の
調子もいいようで、最悪でもひとつぐらいの宿場はクリアできそうだ。

 起きれば快晴である。
 駅に向かうと、気温が相当に低い。わかりやすく言えば寒い。ただ風がないから
だいじょうぶだろう。
 九時過ぎに、そこそこ満員の東海道線のアクテイ乗りこんでとりあえず終点の
熱海へ向かう。座れない。土曜だからこその混みようだろう。
 小田原を過ぎたあたりから、強い風が吹いているのが車窓の景色でわかった。

(いやはや、これはかなりの冷たい風だ・・・)
 あいかわらずの快晴なのだが、マフラーとか手袋が必要なくらいの凍える風だ。
 熱海での乗り換えで思ったが、行く先は静岡の蒲原であるから、とにかく行って
みよう。
 とりあえず、沼津止まりの普通列車に乗りかえた。

 沼津に到着。
 待ち時間がかなりある。ホームにいると、吹きすさぶ冷たい風が首筋から出てい
る手先から遠慮なく侵入して猛烈に冷える。靴下ももう一枚ぐらい欲しいくらい。
 煙草を吸おうとホームの端のほうにいくと、立ち食い蕎麦があった。暖かそうな
湯気が流れている。
 天麩羅蕎麦を注文して、なにも考えずにその温かみをかき込む。

 食べ終わると、喫煙スペースで真剣に考えた。
 ここまで来てあきらめるのもアホらしくはないか。でも風邪を引いたらもとも
子もない。幸い今日東海道歩くのは誰も知らない。交通費もバラ銭で買った切符で
ある。降りなければ被害は珈琲代くらいの数百円だ。

「よし、やめよう!」
 上りのホームに行き、三島止まりの電車に乗り込む。たったひと駅だが、電車の
ほうが暖かい。
 三島で、また熱海行きの電車を待っているうちに「桜家」のうなぎを思い出し
た。



 囲碁の仲間の美食家たちから、三島のうなぎは車を飛ばしてきて喰う価値が
ある、と何度も聞かされてきた。
 甘いうなぎは苦手なのでその点を訊くと、店によるがそれほど甘くはないとの
ことであった。であるなら機会があったらぜひ試してみよう。
 しかし、なかなか機会がなく何年か過ぎた。

 今年、突然、東海道の宿場を歩くことを始めたのでやっと機会がきた。
 いろいろ調べて、伊豆箱根鉄道の三島広小路駅近くの「桜家」に決めてあった。
創業は安政三年と老舗のうなぎ屋だ。



 箱根芦ノ湖を出発して、店の前にたどり着いたのは夕方すこし前だった。まだ
夕食時には早い時間なので、行列もできていない。
「とりあえず、ビールをください」
 もう、今日は歩かないからいいだろう。
 メニューをみて、一番安いうな重を注文する。うなぎは安いのも高いのも味は
まったく変わらない。値段で量(枚数)が変わるだけである。
 ビールが気持ちよく頭のなかをくるくる廻る。5時間、22キロ歩いたのだから
無理もない。箱根道は登りもきついが降りもきついのだ。



 運ばれてきたうな重の蓋をあける。見た目は申し分ないようだ。
(うん、甘くないぞ。これはいける!)
 ひとくち食べて、笑みがこぼれてしまう。どちらかというと辛口に近いたれが
絶妙である。だから、たれのかかったごはんのほうも問題なくおいしい。
 うなぎの甘みといえば、九州久留米の超有名店でひとくち食べて、そのあまりの
甘さに全部残しをして、顰蹙をかったことがあるのだ。

 富士山の雪解けの水、「化粧水」と呼ばれる硬水にうなぎを一週間ほどさらして
臭みと余分な脂肪を落として、身を引き締めているそうである。
 それを代々伝わる秘伝のような焼き加減とたれで仕上げるから、香ばしく、ふん
わりほくほくした噛みごたえである。
 
 ただ、半分一気に食べたところでウォーキングの疲れが胃にやってきて、突如
食欲がガクンと落ちた。ビールのせいもあるかもしれない。
 そこで、行儀が悪いがうなぎの残りを先に食べきってしまう。残りのごはんは、
お新香でいけるところまでいくことに。
 結局、ごはんだけ四分の一ぐらいを残してしまった。

 あれはこの五月か六月だったか・・・。
 ぜひ、またコンディションが普通の状態ときに来て食べたいと思っている。



  → 東海道五十三次(5)の記事はこちら


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