<京都・上賀茂、ならの小川>
上賀茂神社を流れる「御手洗(みたらし)川」は、途中の神事橋を過ぎたあたりから「ならの小川」と呼ばれ、さらに境内を出ると「明神川」と名を変える。
「なら(楢)の小川」の由来だが、かつては川の畔に、その葉で神饌(神棚に供える供物)を盛る楢の木が茂っていたためだという。
上賀茂神社の、いったいどのあたりにあるかというと、参道には入らずにその前を通り過ぎてほんのしばらく進むと左手に「ならの小川」がみつかる。
(こんなに近い処だったんだ!)
まさに目と鼻の先、すぐである。
小倉百人一首に、鎌倉時代初期の歌人「藤原家隆」が「ならの小川」を詠んだ和歌が収録されている。
風そよぐ 楢(なら)の小川の 夕暮れは
御禊(みそぎ)ぞ 夏のしるしなりける
現代語訳だとこうなる。
『風がそよそよと吹いて 楢(なら)の木の葉を揺らしている
ならの小川の夕暮れは、すっかり秋の気配となっているが
みそぎの行事(六月祓=みなづきばらえ)だけが、夏であることの証であるなあ』
神道では毎年、旧暦の6月30日に「六月祓(みなづきばらえ)=夏越の祓(なごしのはらえ)」といって、その年の1月から6月までの罪や穢れを、川の水などで身を清め、穢れを祓い落とす行事が行われる。12月30日の「晦日祓(みそかばらえ)」とも対応する大きな行事である。
6月なのに秋とはいかにも早すぎでないかと思われるだろうが、明日から始まる7月は暦では秋である。旧暦の6月末は現在の暦では8月上旬なのだ。
(あれぇ・・・なんかどっかで観たことある風景だな・・・・・)
そう思われた方も少なからずいると、思う。
まさに正解で、この「ならの小川」は、時代劇ドラマにめっちゃ登場するロケ地なのである。
「鬼平犯科帖」とか「剣客商売」をしこたま観ている時代劇ファンにはたやすいが、でないと多少の想像力を必要とするだろう。
茶店のセットを設置して、店先の床几に座った町娘がだんごを喰い甘酒を飲み、町人が茶を飲みながら煙管を吹かす。目立たない端のほうに、火盗改密偵の相模の彦十とまさでも座らせれば、ばっちりだ。
大樹のそばには、今宵の飲み代を稼ごうと大道芸を繰り広げる喰いつめ浪人。
茶店の前の路に、江戸時代の装束を着せたエキストラを二十人ばかり歩かせれば立派な時代劇のワンシーンとなる。
夜間、大勢に待ち伏せされた侍が狭い路から浅い“ならの小川”に飛んで、水をバチャバチャ蹴散らしながらの剣劇シーンなんかも随分撮られたはずだ。
たっぷりの、時を超えての時代劇妄想タイムを愉しんだところで、さあてとそろそろ次の楽しみの、冷やし中華じゃなかった冷麺でも食べに向かうとするか。
→「京都洛北、絶品冷麺とあぶり餅」の記事はこちら
→「秋色の上賀茂神社(1)」の記事はこちら
→「秋色の上賀茂神社(2)」の記事はこちら
上賀茂神社を流れる「御手洗(みたらし)川」は、途中の神事橋を過ぎたあたりから「ならの小川」と呼ばれ、さらに境内を出ると「明神川」と名を変える。
「なら(楢)の小川」の由来だが、かつては川の畔に、その葉で神饌(神棚に供える供物)を盛る楢の木が茂っていたためだという。
上賀茂神社の、いったいどのあたりにあるかというと、参道には入らずにその前を通り過ぎてほんのしばらく進むと左手に「ならの小川」がみつかる。
(こんなに近い処だったんだ!)
まさに目と鼻の先、すぐである。
小倉百人一首に、鎌倉時代初期の歌人「藤原家隆」が「ならの小川」を詠んだ和歌が収録されている。
風そよぐ 楢(なら)の小川の 夕暮れは
御禊(みそぎ)ぞ 夏のしるしなりける
現代語訳だとこうなる。
『風がそよそよと吹いて 楢(なら)の木の葉を揺らしている
ならの小川の夕暮れは、すっかり秋の気配となっているが
みそぎの行事(六月祓=みなづきばらえ)だけが、夏であることの証であるなあ』
神道では毎年、旧暦の6月30日に「六月祓(みなづきばらえ)=夏越の祓(なごしのはらえ)」といって、その年の1月から6月までの罪や穢れを、川の水などで身を清め、穢れを祓い落とす行事が行われる。12月30日の「晦日祓(みそかばらえ)」とも対応する大きな行事である。
6月なのに秋とはいかにも早すぎでないかと思われるだろうが、明日から始まる7月は暦では秋である。旧暦の6月末は現在の暦では8月上旬なのだ。
(あれぇ・・・なんかどっかで観たことある風景だな・・・・・)
そう思われた方も少なからずいると、思う。
まさに正解で、この「ならの小川」は、時代劇ドラマにめっちゃ登場するロケ地なのである。
「鬼平犯科帖」とか「剣客商売」をしこたま観ている時代劇ファンにはたやすいが、でないと多少の想像力を必要とするだろう。
茶店のセットを設置して、店先の床几に座った町娘がだんごを喰い甘酒を飲み、町人が茶を飲みながら煙管を吹かす。目立たない端のほうに、火盗改密偵の相模の彦十とまさでも座らせれば、ばっちりだ。
大樹のそばには、今宵の飲み代を稼ごうと大道芸を繰り広げる喰いつめ浪人。
茶店の前の路に、江戸時代の装束を着せたエキストラを二十人ばかり歩かせれば立派な時代劇のワンシーンとなる。
夜間、大勢に待ち伏せされた侍が狭い路から浅い“ならの小川”に飛んで、水をバチャバチャ蹴散らしながらの剣劇シーンなんかも随分撮られたはずだ。
たっぷりの、時を超えての時代劇妄想タイムを愉しんだところで、さあてとそろそろ次の楽しみの、冷やし中華じゃなかった冷麺でも食べに向かうとするか。
→「京都洛北、絶品冷麺とあぶり餅」の記事はこちら
→「秋色の上賀茂神社(1)」の記事はこちら
→「秋色の上賀茂神社(2)」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます