温泉クンの旅日記

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味噌煮込みうどん

2013-01-30 | 食べある記
  <味噌煮込みうどん>

「伊勢うどん、ってあれはなんなんだ。ふにゃふにゃで柔らかすぎて食えたもんじゃないぞ」

 正月に伊勢に初詣にいった同僚が腹立ち紛れにわたしに言う。
「まあまあ、もともと伊勢うどんは柔らかいものなのだよ。遠くからお参りにきたひと達の腹を考えて一時間くらいうどんを煮込む、やさしい食べ物なんだ」
 博多うどんも腰がなくて柔らかいし、固いだけがうどんじゃないよと言っても、どうにも納得がいかないらしい。
 同僚は名古屋生まれだから、きっと味噌煮込みうどんの固いのに小さいころからずっとなじんでいるせいだろう、麺の固さに寛容さがない。

 面倒だ、話を変えてしまうとしよう。
「ところで名古屋名物の味噌煮込みうどんって『山本屋本店』と『山本屋総本家』と二軒が有名だけど、いったいどっちのほうが旨いの?」
 旅先で食べるようなわたしとしては、店選びで迷わぬためにとても知りたい。ところが名古屋育ちや、名古屋から転勤してきたひとに訊くのだが、なかなか打てば響くように「絶対こっちの店だ!」という明快な答えを得られない。
 案の定、「どっちかなあ・・・」と考え込んでしまった・・・。



 長旅の帰りに名古屋に寄った。
 今回こそ、味噌煮込みうどんを食べたい。
 一年前に名古屋駅あたりで食べるチャンスがあったのだが、デパートと地下街の店を見て歩いて「ふざけるな!」くらいにあまりに高くて激怒し、中止してしまった。
 わたしは二年前くらいから名古屋系の食べ物にチャレンジしている。豊橋カレーうどん、あんかけスパゲティときたので、そろそろ大物の味噌煮込みうどんを登場させたい。

 よし、わかった。店などはどこでもかまわぬ、値段で決めよう。たかがうどんである、千円くらいのヤツでいこう。



 山本屋本店である。
 店の前の道路を隔てて、高層の名古屋ヒルトンホテルが建っている。



 店の前にある「おしながき」をみると、一番上にある味噌煮込みうどんは千円以下である。気は心だ、九百九十七円也が泣かせる。



 店に入って座ると、一番安いのを注文した。とりあえずお茶とお新香が運ばれる。



 あれれ、お新香は薄味もいいとこの味である。



 昼時を過ぎてがらがらの洒落た店内は、空気が綺麗でどうみても禁煙間違いなしだ。しょうがない。
ぽつりぽつりと摘まんでいるうちに、味噌煮込みうどんの土鍋が到着する。



 手ふきのペーパータオルを使って蓋をとると、初めましての味噌煮込みうどんである。



 裏返した蓋を皿代わりにして、はふはふ言いながら食べる。
 うどんは太くて予想通りちょっと固いが、固いのは富士吉田うどんで何度も経験済みなのであまり気にならない。
 それより熱い味噌ツユの味が関東人にはちょっと濃いかな。八丁味噌は大豆だけでつくられる長期熟成の豆味噌である。旨みがあるが、辛口で甘みがきわめて少ない。それでも玉子がだいぶマイルドにしてくれる。

 思わず箸やすめにお新香を口に入れる。そうか、なるほど。味噌味が濃いのでそれに合わせるお新香がまるで野菜サラダのように超薄味なのだ。



 熱いものも、固めの太いうどんもオッケーなので初めての割りには短時間で食べきった。しかも、ご飯なしで。

 この味噌煮込みうどんというヤツは初対面でたちまち好きになるというより、二度、三度食べていくうちにわれ知らず絡め取られていくタイプのうどんだと思う。
 さらに、注文のときは相棒ともいえるご飯を頼むのを忘れてはならない。

 味噌煮込みうどんだが、何ヶ月かすると、「山本屋」で食べたという確かな記憶はあるのだが、「本店」で食べたか「総本家」で食べたかを定かに思い出せない。
 なるほど、名古屋人がどちらかと即答できないのがなんとなくわかったような気がする・・・なんて、そんなわけないか。
 きっと、地元のうどん屋では一方の店だけをバッサリ切り捨てられないやさしさなのだろう。・・・他県である伊勢には冷たいが。



  →「豊橋カレーうどん」の記事はこちら
  →「伊良湖岬であんかけスパ」の記事はこちら
  →「伊勢うどん」の記事はこちら
  →「はなやのうどん」の記事はこちら
  →「牧のうどん」の記事はこちら


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