温泉クンの旅日記

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津軽藩ねぷた村(2)

2013-11-27 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <津軽藩ねぷた村(2)>

 米蔵を改造した、蔵工房と呼ばれるエリアを歩く。

 このエリアでは「津軽塗」、「津軽こぎん刺し」、「津軽焼」、「津軽錦絵」、「弘前こけし」などの製作風景を見学体験できる。



 ど平日の朝一番であるから、他の客がまったくいない。興味はすこしあるが持ち時間がない。



 足を止めずに、まっすぐ奥にある津軽三味線の生演奏会場「山絃堂」に向かった。
 三味線の音、とくに迫力ある津軽三味線が大好きで、聞くとざわざわと血が騒いでしまう。きっと三味線をひいていた母親の血を受け継いでいるせいだろう。

 津軽三味線なら生演奏がベストである。ベストなのだが、なかなか機会をみつけるのが難しい。わたしは、音楽は耳だけではなく全身で聞くものだと思っている。携帯型デジタル音楽プレーヤーなどで耳だけで聞くとしたら、それは温泉でいうと「手湯」とか「足湯」をしているようなものだ。まるごと身体をずっぽりと浸からねば温泉の醍醐味はわからない。

 まだ演奏開始までに間が合るので、「揚亀園」と呼ばれる庭園を観賞して時間を潰す。



 あいにく今日は見えないが、岩木山を借景にしている庭園である。



「揚亀庵」という弘前市有形文化財に指定された茶室。



 山絃堂に戻るとひと組のカップルが着席して、なんとなくホッとする。観客独りよりは演者も演奏の甲斐があるだろう。

 男女の演者が現れて席に坐すと、暫しの調弦の後、阿吽の呼吸でいきなり演奏が始まった。



 弦を押さえる指の動きが速い。



 その片手の眼にもとまらぬ動きに合わせて、強弱をつけて叩き打ち、弾き返す。撥さばきが生み出す圧倒的な音が空間を飛び交い、見えぬ洪水のように空間を満たす。凄まじい奔流のように打ち寄せるように襲い、わたしをねじ伏せ、包む。そして翻弄されていると、荒れた津軽の海辺で引き波が根こそぎ沖に持っていく引き波と、時に、化すのだ。



 びんびん、と身体の奥深くに響く。空きっ腹にもだ。
 よく心の琴線というが、まるでそれとは別の、身体の芯に張られた弦が勝手に共振を始めてしまう。

 二十分ほどの演奏だったが大満足、すくない観客は大拍手を惜しまなかった。それもその筈、演者はふたりとも全国大会をそれぞれ複数回制覇している実力者だったのだ。

 津軽三味線を生で聞く機会だが、わたしは特急「リゾート白神」の車内、鯵ヶ沢温泉「グランメール山海荘」、三沢の古牧温泉青森屋、東京入谷の民謡酒場と、いままで四度しか得ていない。今回の旅では二回予定しているのだが、これは初回からもの凄いハイレベルの演奏を体験してしまった。

 空きっ腹である。さて・・・と、待ちに待った津軽そばを食べにいくとしよう。


  →「津軽藩ねぷた村(1)」の記事はこちら
  →「スコップ三味線の宿」の記事はこちら

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