温泉クンの旅日記

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大船フラワーセンター、皐月5月(1)

2021-05-09 | 鎌倉点描
  <大船フラワーセンター、皐月5月>

 薔薇の見頃は春と秋の年に二回あるが、5月は春の薔薇の季節である。
 ゴールデンウィークが明けて、すぐに大船フラワーセンターを訪れた。

 

「よーしっ、ジャストなタイミングだったぞ!」
 バラ園は見事に満開だった。

 

 

 園内には370品種、1200株のバラが植栽されている。
 この日、園内には一般観客よりも、紅白の帽子を被った子どもたちと引率する先生、付き添いの父母たちがとても多かった。

 

 古いが、つい口ずさむマイク真木の歌を思いだす。

   ♪ バラが咲いた バラが咲いた
     真っ赤なバラが
      淋しかったぼくの庭に バラが咲いた ♪
          作詞・作曲 浜口庫之助

 

 この歌詞における「バラ」は、「我が子」とか「恋人」とかを意味するというらしいけど、どちらかといえばわたしは「恋人」のほうがふさわしい気がする。

 

 

 園内のバラをできるだけたくさん納まるような遠景を撮ろうとすると、わたしの嫌いなコンクリート建造物とか、うじゃうじゃいる子どもたちが映りこむので、どうしても花の接写が多くなってしまう。
 時代劇の”遠景が橋”のシーンにオートバイとか車が走っているみたい、な違和感たっぷりの気分にわたしはなってしまうのである。

 

 

 真っ赤な薔薇もいいけど、淡いピンク、鮮やかな黄色、純白の薔薇もそれぞれが素晴らしい。
 最近、読んだ本を思いだし、薔薇の花に内緒でそっと話しかけてみたくなる。

 

  『それは、うんと幼かったとき、弦矢が祖母に教えてもらった秘密の儀式だったのだ。
   ――花にも草にも木にも心がある。嘘だと思うなら本気で話しかけてごらん。植物たちは褒められたがってるのよ。
  だから、心を込めて褒めてやるんだよ。そうしたら必ず応じてくれるよ。――


 

   その幼いときというのが何歳のころだったのか弦矢は思い出すことができなかった。
   祖母が、誰にも言わないと弦矢に約束させて教えてくれた秘密の儀式は、木や草花たちに話かけて
  褒めて褒めて褒めちぎってやると、木も草花たちも応じ返してくれるということだった。
  なぜなら心があるから、と。』

          集英社文庫 宮本輝著「草花たちの静かな誓い」より

 

 いまこそが盛りの生気溌剌の“春バラ”、もう二週間くらい見頃が続きそうである。もっとも、花はあいにくど素人ゆえ責任は持てぬが。


  ― 続く ―


   →「大船フラワーセンター、弥生3月(1)」の記事はこちら
   →「大船フラワーセンター、弥生3月(2)」の記事はこちら
   →「大船フラワーセンター、弥生3月(3)」の記事はこちら


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