温泉クンの旅日記

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笹倉温泉 新潟・糸魚川

2014-06-01 | 温泉エッセイ
  <笹倉温泉>

 五月の下旬だというのに全国各地で真夏日が続いている。今年の陽気は面妖である。あるいは今年もというべきかもしれない。
 そういえば一カ月前、四月の上旬のあの旅もそうだった・・・。

 四月に入り、やっと雪の心配もなくなったので冬眠していた愛車を叩き起こすと新潟の糸魚川に向かった。糸魚川からもう少し足を伸ばせば、魚津の金太郎温泉も近い。
 日本海側の北陸道に合流したあたりから空模様が怪しくなり、能生インターに近づくと雪が降りだしてきた。それほど積りそうもない雪のようだが、雪道運転が嫌いなわたしは気が気でなくなってしまう。

「この雪ですがだいじょうぶでしょうか」



 日本海側から、山側に三十分ほど車を走らせたところにある笹倉温泉の周囲は、一面雪だらけで、明日の朝がとても気になってフロントに思わず訊いてしまう。



 この程度の降りかたならご心配なさることはありません、そのフロントの女性の自信たっぷりの言葉に思わずほっと胸をなでおろす。

 浴衣に着替えると、一番奥にある「千寿の湯」に向かった。



 狭くて質素な浴室だが、掛け値なしの完全かけ流しのこの湯、泉質はかなりのものである。真の温泉好きなら必ずこの湯を選ぶだろう。
 一度宿泊したことがあり、そのときこの温泉が特に気に入った記憶があったのだ。その記憶どおりのありがたい湯に満足し、明日の出発までに四、五回はこの風呂に入ろうと決める。

 美人の湯で知られる笹倉温泉龍雲荘には「龍雲」、「千寿」、「薬師」という三本の源泉があるので、いくつかの大浴場や露天風呂がある。



 もちろん、すべての湯に入ったのは言うまでもない。





 前に来たときよりも、千寿の湯以外はどれも綺麗に改装されているような気がする。

 夕食のメニューでは新玉葱のスープ煮と、新キャベツの蒸したものがなかなか味わい深かった。



 朝食のご飯がすこし黄色いのは温泉で炊きあげているからで、ひと味違うと客には好評であった。



「これは・・・ヤバいぞ」
 朝食後部屋に戻って、窓の外を見てそのまま凝固してしまう。



 朝起きてから雪がチラチラ舞っていた程度だったのだが、本格的な雪に豹変している。
 道にも雪がみるみるうちに白く積り始めていた。最後のひと風呂でも浴びてから出発するかと思ったがそれどころではない。道が雪で覆われて完全に見えなくなる前に行かねばと、大慌てで着替える。
 フロントで支払いを済ませ、雪よけの温泉水が撒かれている駐車場にいくと、車もかなりな量の雪を被っている。



 エンジンを掛け、慎重に走り出す。
 路面があっという間に雪に覆われてしまっていて、曲がり角まできても路がわからない。ナビの画面表示をたよりに右折し、しばらくしてから左折するとどうやら街道に出た。ゆるやかな下り坂なのが幸いである。

 そういえばあのフロントの女性に「だいじょうぶなんて、テキト―なこといいやがって」と嫌味のひとつも言うのも焦っていたので忘れていた。それに慌ててチェックアウトしたが、他にいなかったのはやはり新潟ナンバーばかりだったからだろうか。

 走行中に突然、アクセルに車がまったく反応しなくなり車が止まってしまう。タイヤのどれかが雪だるまのようになったのだろうか。降りてタイヤをチェックするがなんともない。
 再度、走りだすと何事もなくアクセルの反応が正常に戻った。いったい、なんだったのだろうか。フロントグリルに吹きつけた雪が吸気システムに悪さでもしたのだろうか。

 あの「糸魚川ブラック」を食べてから帰路につく予定だったが、このまま長野県までノンストップで走ってしまおうと決め、眼を皿のようにして前方を睨みながら慎重にアクセルを踏み続けた。


  →「金太郎温泉(1)」の記事はこちら
  →「金太郎温泉(2)」の記事はこちら

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