温泉クンの旅日記

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空の奥 ①

2006-05-04 | 旅行記
  空の奥 ①

  1章 旅立ち

 
 日曜日の東北自動車道は空いていた。ワールドカップ・サッカーの決勝がある
せいだろうか。

 目指すは青森県の本州最北の地、大間である。道が空いている金曜か土曜に
帰ってこようと考えていた。泊まるところも行き当たりばったりで当日に決める。
ウィークディだからだいじょうぶだろう。どうしても取れなかったら車の中で
眠るつもりだ。寒ければ寝袋も毛布も積んでいる。
 
 憂鬱な天気が延々と続く濡れ雑巾の関東をおさらばして、陸奥のからりとした
抜けるような青空を探しに行く旅だ。ついでに一杯呑みながら津軽三味線でも
生で聴けたら最高である。



 前方の車間距離を一定以上に、後方の車間距離もできるだけとるようにして、
走る。速度計の針は百十キロを維持した。車線変更も、後続車との車間距離が
近すぎてストレスを感じたときに行う。これがわたしの走り方のスタイルである。
マイペースなので疲れない。休憩もあまり取らずにすむので速く目的地に着く
ことになるのである。なにしろこの数年、雪の降る冬季にまったく車を
使わないが、それでも年に二万キロから三万キロをコンスタントに無事故で
走りこんでいる。
 
 今日も空は陰鬱に曇って蒸しているが、車内はエアコンがほど良く効いて
快適である。
 羽生サービス・エリアーで、いまでは貴重なものとなった上海餅を二枚購入
する。上海餅はピリ辛いお好み焼きの薄いのと思えばいい。二、三年前までは
あちこちの高速道路のサービス・エリアーの屋台で売られていたが、なぜか
姿を消していまや入手困難なものとなっている。といっても騒いでいるのは
わたしだけかも知れないが。今回の旅は、できるだけ高速道路は使わない
ことに決めたのだが、これが欲しくて東北道に乗ったのだった。

 車の中でさっそく熱々の一枚を頬張る。残りの一枚を夜の酒のアテにしよう
かとチラッと思ったが、冷えると格段に不味くなるので口の回りを油だらけに
して平らげてしまう。
 ついでに今日の宿を、いくつか車に積んである本のなかから選び携帯で
電話して決めた。朝食つき一泊七千円の宿である。

 佐野インターで降りて国道四号線で黒磯方面へ向かう。宇都宮のへんで渋滞
するが、ナビに迂回路を計算させて突破した。矢板から太田原にそれて、
狭い県道を辿って今日の宿である「与一温泉ホテル」に到着する。


  →空の奥②に続く

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