温泉クンの旅日記

温泉巡り好き、旅好き、堂社物詣好き、物見遊山好き、老舗酒場好き、食べ歩き好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

台温泉(1) 岩手・花巻

2022-09-11 | 温泉エッセイ
  <台温泉(1) 岩手・花巻>

 移動手段に新幹線を使えば目的地に早く着く・・・わけでもない。(ついでに言っとくと、すっかりおなじみになった「キャッシュレス決済(電子決済)」もすべての旅先で使えるわけではない)
 とくに、乗車駅も降車駅も共に在来線の駅だったりした場合などは、並走する新幹線を使わないほうが早かったりするのだ。
 たとえば松島駅から花巻駅まで行くとして、目的地の花巻駅にはできれば午前中に到着したいとなると、選択肢は次の3つとなる。
 (1) 東北本線の松島駅発8:36で、乗換が小牛田と一ノ関の2回、掛かる所要時間は2時間半、
     花巻駅に到着するのが11時5分。料金は2,310円。
 (2) (1)の途中の一ノ関から新幹線を使うと、新花巻駅経由で花巻駅着11時20分と少し遅い。
     そして料金は倍の4,810円。
 (3) 松島駅から小牛田駅を経由して陸羽東線の古川駅まで行って新幹線を使っても、新花巻駅経由で
     花巻駅着は②と同じ11時20分。料金はさらに増えて6,020円。
 当然ながらわたしも、一番到着が早くてしかも一番料金も安い(1)を選択して、花巻駅に向かった。
 往路で特筆すべきは、小牛田から一ノ関までの区間のワンマン列車の爆走ぶり。田園地帯のど真ん中を、まるで特急なみに轟音あげてかっ飛ばしてくれたことである。爽快この上なく、忘れられない。ま、まさか、あの運転手だけだったりして・・・。

 

(あれー、スイカ用の自動改札機がひとつもないぞ!)
 えっ、こんなデカイ駅で、なんでナイの? 乗車駅である小さな松島駅の改札を、習慣的にスイカで入ってしまったわたしは途方にくれる。
 精算窓口で尋ねると、花巻駅ではスイカが使用できないので、申し訳ないが現金で精算をお願いしますという。
 現金で精算を済ませると、代わりに領収書と証明書を手渡された。花巻駅ではスイカのデータ削除ができないので、次回スイカを使用する前に、その駅で書類を見せて乗車記録を削除してもらってくれという。面倒くさいが仕方がないと了解し、書類をたたんで定期入れにしまった。

 

 駅から歩いて10分ほどのところにある、和食処「花龍(かりん)」だ。正直にいうと、道に迷ってすこしだけアプリの経路案内の世話になったけどね。隣がめずらしく、一般住宅にみえる教会だった。

 

 店に入って右側のテーブル席とカウンター席があるところの、勧められた四人掛け卓に陣取る。
隣のテーブル席には妙齢の婦人二人組が、カウンターには独り旅ふうの若い女性が占めていた。店の左側が広めの小上がりになっていて、並んだ靴も女性用ばかりだった。ここは女子率が非常に高いようで、煙草はあきらめるしかない。

 

(オッ、なんか、アルコールも呑めそうだ!)
 店内も夕方なみにほどよく暗く、罪悪感もほどよく薄れて、一杯やるにはいい雰囲気だ。マルカンデパートに行くのをやめてこの店に決めた甲斐はあった。
 洒落たグラスに入った芋の水割りが届く。おー、割り方が濃いのも好みだ。

 

 さて、となると名物「焼きおにぎり定食700円」の一点勝負と決めていたのだがここは考え直そう。おまかせ日替わり定食、刺身定食、豚カツ定食、焼き魚定食・・・か、ちょっと重いかな。

 

 麺類があったぞ、冷たい蕎麦に焼きおにぎりを一個つければよさそうだ。花巻は“わんこそば”も名物だったしな、よし、決めた。今朝のバイキングでパン食にプラスしておにぎりを2個食べたばかりなのに、好きなものにはとにかく目がないのだ。

 

 料理が運ばれてくると、アルコールはいったん休止して蕎麦をたぐることにした。蕎麦は、待たせてはいけない。因みに婦人二人組は、共にうどんと焼きおにぎり、カウンター席の独り女子は皿数の多い、スマホ撮影に向いた日替わり定食のようだった。
 うーん、これは・・・「並の中」といったところか。うどんよりはマシかと思ったのだが。

 

 では、創業当時から40年以上継ぎ足してきた伝統の八丁味噌で焼き上げる、自慢の「焼きおにぎり」をいってみよう。けっこうデカイな・・・。

 

 カリッとした表面に塗られた熟成味噌が焦げて香ばしく、中の真っ白いご飯も味わい深く美味だが、かすかに甘い。たいていのおにぎり好きなら満足できるだろうが、ひねくれ者のわたしは醤油の焼きおにぎりもやはり捨てがたいな。

 外で煙草を吸ってきますと女将にいうと、
「あ、この灰皿持っていきますか」
 きっと夜は喫煙可能なのかもしれない。
「いえ、携帯灰皿持ってますので。でも、ありがとうございます」
 フィッシングベストのポケットを叩く。「そうだ、戻ったら、でいいので水割りのお代りください」と、つい親切心に応えて追加注文をしてしまう。。

 勘定であるが、3千円くらいかなと思っていたら、2千円で300円のお釣りをもらって狂喜アンド驚愕した。濃い水割り二杯で千円、ランチが7百円とはメチャメチャ安い。
 こんど来たときは、名物のおにぎり定食にしてみよう。口コミ記事に同じ投稿者っぽいものがあって少し怪しかったが、まあ結果オーライとしよう。

 台温泉行きのバスまでまだ時間があるのでそろそろ出て、次は喫煙できる店でも探すとするか。


  ― 続く ―


    →「宮城、松島温泉(3)」の記事はこちら
    →「マルカンデパート大食堂(2)」の記事はこちら


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読んだ本 2022年7月と8月 | トップ | 台温泉(2) 岩手・花巻 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

温泉エッセイ」カテゴリの最新記事