温泉クンの旅日記

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蕎麦っ喰い

2006-05-04 | 旅エッセイ
 蕎麦っ喰い


 蕎麦好きである。しかし蕎麦通というほどの自信も薀蓄などまるで無く、自称
「ばぁーそぉーツー」。

 友達以上恋人未満という表現があるが、蕎麦好き以上蕎麦通未満というくらいの
蕎麦っ喰いである。
 
 どちらかと言えば、手打ちがよろしい。

 旅にでると、昼食は圧倒的に蕎麦を食べる。店構えやのれんでその日の店を決め
る。注文はもりそばが多い。口直しに他の店でもう一枚食べたくなるかもしれない
ので、大盛は頼まない。
 
 まず、目で運ばれたブツを吟味する。
 器、蕎麦、ツユ、薬味、わさびをひとわたり視線を送って値踏みする。



 それから蕎麦猪口に注いだツユをほんのひとくち呑む。誰も見ていないような
ら、ざるを持ち上げ麻薬犬のように鼻腔を広げて蕎麦の薫りを嗅ぐ。誰かの視線を
感じるようなら、ざるを置きなおすような演技でごまかしこの儀式は断念して
飛ばす。一度混んだ店でしかも相席なのにやってしまい、ガヤガヤワイワイ
談笑していたテーブルが一瞬の内に突然の静寂に変わって冷や汗をかいたこと
がある。鼻で喰うとでも思って魂消たのかなあ。
店を出るまで伏し目がちになってしまった。蕎麦をほんのひとくち、そのまま
食べる。つぎにツユに付けて食べる。ここまでがわたしの蕎麦を食べるまでの
準備運動である。店の評価がここでほぼ決まる。

 ここからは、いわゆる蕎麦通からは程遠くなってしまう。わさびが好きなので
全部ツユにいれかき回した後で、薬味のねぎも全部いれる。落語で通人がよくやる
ように蕎麦をつゆにすこしだけつけて啜りこむ。ホントはたっぷりつけたい
気持ちを押さえ込む。

 蕎麦がざるに半分ほどになった時点で、つゆに残りのねぎをいれたり唐辛子を
振ったり辛味だいこんをいれたりして味に変化を加える。唐辛子は蕎麦に振る
こともある。そうして蕎麦をつゆにタップリつけて食べる。

 ざるの底には蕎麦の切れ端さえも残さない。仕上げに蕎麦湯を注いで完璧に
飲み干す。
 ただし、どうしようもなく不味い店にはいってしまったときは、この限りでは
なく蕎麦もつゆも残す。

 ここが肝心だが、手打ち、すなわちウマいとはぜんぜん限らないのである。

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