<へぎそばダブル>
「よっしゃあー、さすが平日、今日はだいじょうぶだ!」
べつに店の名前で洒落たわけではないが、思わず声に出てしまう。

へぎそばの有名店に「小嶋屋」があるが、この由屋(よしや)も肩を並べる人気店である。ただ小嶋屋は支店があちこちにあるが、こちらは支店がないのでここでしか食べられない。

だから、由屋はいつ来ても店の前の駐車場がいっぱいではいれないのだ。そして、そんなときは得てして、通りを挟んだ向かい側の駐車場もあるのだがそこもいっぱいである。
年に一、二回は来るのだが待つのが嫌いな性分なのでなかなか食べられない。前回もちょうどゴールデンウィークだったためにめちゃ混みで涙を飲んであきらめたのだった。
店の玄関のすぐ前のスペースに車をいれた。

すでにテーブル席がいっぱいで、座敷の席に通された。蕎麦つゆと猪口、お茶と赤カブのお新香、ごぼうが運ばれてきたが、今日はお茶をひと口だけにしておく。

メニューを一応みるが、注文はとっくの昔に決めてある。

「へぎそばの小をお願いします」
言ってしまった・・・。小といっても、たっぷりの二人前、ダブルである。
もともと大食いのひとならどうってことないのだろうが、わたしは蕎麦の大盛りは食べられるが二人前は自信がない。
大食いの準備のため、起きてからここに来るまで、朝の六時前にコンビニのおにぎり一個しか食べていない。
特上寿司にイタリアン、カレーライスにラーメンなどと、たまに大食いするが、基本として昼はいたって普通の量を食べるわたしである。
今日はしかも、単品で、量が二倍強だ。山形と新潟はだいたい量が多い。「大盛り頼んで半分残し」みたいな状況はみっともないからなんとしても避けたい。「莫っ迦じゃないの、あのひと!」と厨房で嘲笑われたくない。
へぎそばが運ばれてきた。

旨そう・・・だ。まずは、薬味を使わずに一列目に集中する。
つゆを付けずに口に入れた蕎麦のなんときりりと冷たいこと・・・これですよ。へぎそばはこうじゃなくてはいけない。笑みが出てきてしまう。東京の郷土料理店で生温いへぎそばを出すとこあるが、とんでもないことである。

二列目は薬味、三列目から四列目は山葵代わりの洋カラシを加えてどんどんやっつける。江戸っ子みたいな粋な食べ方は途中ですっぱりと放棄して、つゆをたっぷり付けて食べたのだった。もう、なりふり構っていられない。
ここでひと息いれると、浅葱の皿に手を伸ばし、甘皮みたいなのを剥いて、香りたかい生のピーナッツの半片みたいな大きさの根をいくつか用意した。

減った蕎麦つゆも、たっぷり補充する。
最後の一列は、助っ人である浅葱の辛みを齧りながら、なんとか完食にたどりついた。
腹いっぱいで、もう、蕎麦湯もいらない。

腹ごなしに近くに日帰り温泉の「千年の湯」があることを思いだし、そこの露天風呂で暫しの間、たっぷりと汗を流すことにしたのであった。

この千年の湯だが、あのほんのび饅頭を売っている店も近くて「食後のスゥイーツに・・・」と一瞬買いにいこうかチラリと迷ったが、まだ腹いっぱいすぎて饅頭などとんでもないことだとすぐに断念した。
へぎそば二人前は達成感はあるものの、最後の辺ではゆとりもなくなり味も模糊としてわからない。いくら美味しいものでも、これから単品は大盛りまでにしよう。
→「正統派のへぎそば」の記事はこちら
→「新潟、特上寿しとイタリアン(1)」の記事はこちら
→「新潟、特上寿しとイタリアン(2)」の記事はこちら
→「幸せの黄色いカレー」の記事はこちら
→「つくしんぼとほんのび饅頭」の記事はこちら
「よっしゃあー、さすが平日、今日はだいじょうぶだ!」
べつに店の名前で洒落たわけではないが、思わず声に出てしまう。

へぎそばの有名店に「小嶋屋」があるが、この由屋(よしや)も肩を並べる人気店である。ただ小嶋屋は支店があちこちにあるが、こちらは支店がないのでここでしか食べられない。

だから、由屋はいつ来ても店の前の駐車場がいっぱいではいれないのだ。そして、そんなときは得てして、通りを挟んだ向かい側の駐車場もあるのだがそこもいっぱいである。
年に一、二回は来るのだが待つのが嫌いな性分なのでなかなか食べられない。前回もちょうどゴールデンウィークだったためにめちゃ混みで涙を飲んであきらめたのだった。
店の玄関のすぐ前のスペースに車をいれた。

すでにテーブル席がいっぱいで、座敷の席に通された。蕎麦つゆと猪口、お茶と赤カブのお新香、ごぼうが運ばれてきたが、今日はお茶をひと口だけにしておく。

メニューを一応みるが、注文はとっくの昔に決めてある。

「へぎそばの小をお願いします」
言ってしまった・・・。小といっても、たっぷりの二人前、ダブルである。
もともと大食いのひとならどうってことないのだろうが、わたしは蕎麦の大盛りは食べられるが二人前は自信がない。
大食いの準備のため、起きてからここに来るまで、朝の六時前にコンビニのおにぎり一個しか食べていない。
特上寿司にイタリアン、カレーライスにラーメンなどと、たまに大食いするが、基本として昼はいたって普通の量を食べるわたしである。
今日はしかも、単品で、量が二倍強だ。山形と新潟はだいたい量が多い。「大盛り頼んで半分残し」みたいな状況はみっともないからなんとしても避けたい。「莫っ迦じゃないの、あのひと!」と厨房で嘲笑われたくない。
へぎそばが運ばれてきた。

旨そう・・・だ。まずは、薬味を使わずに一列目に集中する。
つゆを付けずに口に入れた蕎麦のなんときりりと冷たいこと・・・これですよ。へぎそばはこうじゃなくてはいけない。笑みが出てきてしまう。東京の郷土料理店で生温いへぎそばを出すとこあるが、とんでもないことである。

二列目は薬味、三列目から四列目は山葵代わりの洋カラシを加えてどんどんやっつける。江戸っ子みたいな粋な食べ方は途中ですっぱりと放棄して、つゆをたっぷり付けて食べたのだった。もう、なりふり構っていられない。
ここでひと息いれると、浅葱の皿に手を伸ばし、甘皮みたいなのを剥いて、香りたかい生のピーナッツの半片みたいな大きさの根をいくつか用意した。

減った蕎麦つゆも、たっぷり補充する。
最後の一列は、助っ人である浅葱の辛みを齧りながら、なんとか完食にたどりついた。
腹いっぱいで、もう、蕎麦湯もいらない。

腹ごなしに近くに日帰り温泉の「千年の湯」があることを思いだし、そこの露天風呂で暫しの間、たっぷりと汗を流すことにしたのであった。

この千年の湯だが、あのほんのび饅頭を売っている店も近くて「食後のスゥイーツに・・・」と一瞬買いにいこうかチラリと迷ったが、まだ腹いっぱいすぎて饅頭などとんでもないことだとすぐに断念した。
へぎそば二人前は達成感はあるものの、最後の辺ではゆとりもなくなり味も模糊としてわからない。いくら美味しいものでも、これから単品は大盛りまでにしよう。
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→「新潟、特上寿しとイタリアン(1)」の記事はこちら
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