温泉クンの旅日記

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京都・東山、東福寺(2)

2024-05-05 | 京都点描
  <京都・東山、東福寺(2)>

(さてさて、久しぶりの通天橋だぞ・・・)

 

 思わずスキップしたくなってしまう。わたしにとって東福寺といえば、通天橋(つうてんきょう)なのだ。ひとつだけ残念なのは、<青もみじ>にもまだ二カ月ほど早い時期だということである。

 

(ここ、ここ!)
 中央あたりには、渓谷を一望できる、見晴らしのいい“張出し舞台”のような部分がある。

 

 東福寺の境内を、東西に横切るように流れる渓谷が「洗玉澗(せんぎょくかん)」である。正面右手奥に見える屋根が、臥雲橋だ。
 洗玉澗には一筋の川が流れており、その上に「東福寺三名橋」とよばれる<臥雲橋(がうんきょう)>、<通天橋>、<偃月橋(えんげつきょう)>の3つの橋が架かっている。

 

 駅から歩いてくると一番目の、最も下流に架かっている橋である<臥雲橋>は、境内ではなく公道の間にある橋で、入口にある橋なので無料で通行できる。
 臥雲橋から眺める通天橋方面の景色は、紅葉の東福寺を代表する絶景とされている。画像を撮るなら、ここは覚えておいたほうがよろしい。

 

<通天橋>は、「本堂」と「開山堂」を結ぶ橋廊で、1380年に「春屋妙葩」が架けたとされている。

 

 

 境内にある渓谷「洗玉澗(せんぎょくかん)」には、鎌倉時代に東福寺開山である円爾が宋から持ち帰った「通天モミジ」と呼ばれる三葉楓などの楓の木が約2000本、渓谷を埋めるように植えられているが、最初からモミジの樹ばかりではなかったのだ。

 

 

 東福寺の画僧「吉山明兆」が、室町幕府第4代将軍の「足利義持」に絵を献上した褒美として「何が望みか」と尋ねられ、明兆は「それでは境内にある桜を禁じてください。花見客が増えると遊興の地となり修行の妨げとなります」と答えた。それを聞いた義持は感激し、桜をすべて伐採させたと伝えられている。

 

『京都の人に尋ねました。「紅葉の名所ベスト3」、教えてください。すこしとまどったその顔にはこう書いてありました。ごめんなさい、多くて、決められない。』
 昨年の秋、きっと誰もが何度か観ただろう、JR東海のキャンペーンテレビCM<そうだ 京都、行こう>の2023年秋「南禅寺篇」。
 あいかわらず、旅好きの心を見事に掴む、思わず唸ってしまうほどの出来栄えのキャッチコピーである。
 京都人でもなく尋ねられてもいないけれど、わたしにとって「紅葉の名所ベスト1位」は東福寺なのだ。

 

(まるで、紅葉が海原のように広がっている・・・)
 初めて訪れたとき、いまほど観光客が殺到せずにほどほどだった。決して忘れられぬほどの素晴らしい紅葉の燃えるような広がりを、思い切り堪能でき、眼に焼き付けた。
 JR東海が「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンを開始したのが約30年前の1993年の秋だから、訪れたのはたしかそれよりずっと前だったはずだ。

 1997年、JR東海のキャンペーンCM<東福寺篇>におけるキャッチコピーは、
「600年前、桜を全部切りました。春より『秋』を選んだお寺です」
 と、どうにも“憎い”コピーであった。

 それにしても、春より秋を選んだ寺に、わたしは早春に訪れてしまったわけだ。


   ― 続く ―


    →「京都・東山、東福寺(1)」の記事はこちら


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