試料ステージ 熱解析

2015-03-12 11:50:04 | 雪の結晶撮影
 電子冷却効果を発揮するペルチェ素子、それを取り付けるベースになる放熱フィン、そんな物を用意して、 更に昨日はペルチェ素子の冷却側に取り付けて撮影対象となる雪の結晶を載せる試料搭載プレートを作成し、全体を仮組み立てたのだ。 そして通電して冷却されるべき試料搭載プレート部分の温度を指先で確認して見たところ・・・ 期待するほどの低温(周囲温度よりも5℃程度低くなる)になってくれなかったのだ。 この冷却プレートを取り付けないでペルチェ素子の冷却側面温度を指先で確認した時には 「これだけ冷えればOKだ!」そう感じたのはつい先日のこと。

 「ムムム・・・これは困ったな」 それで後付講釈になるけれど、熱的な等価回路を思い描いてみた。 それがTop画像なのだ。

 こんな等価回路を眺めたことの無い人もいるでしょうから、 少しだけ解説して置きます。 「輪違い紋」のマークは電池が電圧源を表すのに対して、電流源と呼ばれる機能ユニットを表します。 左に置いた「ペルチェ素子駆動電流」なる制御ノブで駆動電流を増すと、「ペルチェ素子熱移送」と書いた部分の能力も増加します。 同時に左下に置いた「ペルチェ消費電力発熱」と表示した発熱も増大しそれと連動して電流源も大きな電流を送り出します。 一番下側の下向き▽マーク部分が周囲温度になります。

 さて、先日の実験では試料搭載プレートは取り付けませんでしたから、 等価回路の右側に描いた「R3」と「R4」に相当する部分は無く、 その状態で「冷却側面」と表記した部位を指先で触って温度をチェックしたことになります。

 今回試料搭載プレートをペルチェ素子の冷却側面に取付た事に依って、R3とR4を含む回路が追加された訳ですが、 これら熱抵抗を示す素子の大きさを大雑把に較べて見ると、

 R3 ≪ R4、 R2 < R4

ちなみにR2とR4は金属表面から周辺大気への熱放散に関わるもので、R3はアルミ板の熱伝導ですから、大気へのそれと較べたら桁違いの小さな値となります。

 この様な状況下では、 ペルチェ素子の表面積に較べて、アルミ製の試料搭載プレートを付加した時の方が熱抵抗が小さくなり、熱の放散が大きくなることにガッテンしていただけるでしょう。




 試料ステージ部品 : 左が試料搭載プレート



 実際に生じた現象はこうでした。

 ペルチェ素子の駆動電流を増加しても、素子の冷却側面の温度の低下がはかばかしく無いのです。

 この不具合現象をなくすには何が必要か? 等価回路をじっと眺めれば、 それが判ります。

1. 放熱フィンをもっと大型な物にする。


2. 放熱フィンを冷やす。

  これらを行えば、排熱側面の温度が低下して、
  同時に冷却側面温度も当然ながら低下します。

  今現在、室温13℃に於いて、
  放熱フィンを触ると人肌以上の温度
  多分35℃近辺になってます。

3. R4を大きくする。

  試料搭載プレートと大気との間の熱の移動を妨げる。
  具体的にはプレート表面に断熱材を貼り付ける。
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