日経に出ていた記事が興味深かったので、以下自分用メモ。
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その場その場で自分が生きていく上で必要なものを自分で見極め、どうやったらそれを手にすることができるかを考え、そのために努力を続けることができる力。
これこそ「生きる力」の正体である。
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中学受験で身に付ける「生きる力」(出典:日本経済新聞)
教育ジャーナリスト おおたとしまさ
①「PISA型学力」とは、OECD(経済協力開発機構)が3年おきに実施する国際的な学習到達度調査「PISA」において求められている学力観のことである。問題文に与えられた条件やヒントから、自分が持っている知識や技能(計算力など)のうち何が使えそうかを見出し、実際にそれらを状況に応じた形で適切に組み合わせ、活用することができる能力をいう。
②2002年にはじめてPISAが日本で実施され、これからの子どもたちに必要な「生きる力」を構成する学力だと評判になったが、それまでの知識偏重型の学力に対する批判といえた。
③「PISA型学力」などと呼ぶと新しく聞こえるが、実は、中学入試においては数十年前からスタンダードとなっていた学力観である。
④中学受験問題には、単に丸暗記しただけでは太刀打ちできないものが多い。どの私立中学も知識だけを詰め込んだ生徒よりも考える楽しさを知っている意欲的な子どもがほしいことは自明である。
⑤中学受験塾では単に知識を詰め込まれているわけではない。必要最低限の知識については家庭学習で覚えてくるように言われ、塾の教室で教えていることは、その知識をいかに活用するかという部分である。
⑥算数の文章題の中に「比」の概念が隠されていることを発見したり、複雑な図形の中に補助線を引き「公式」が使える形を見出したり、問題文に隠されたヒントから解決すべき課題を見出すところがポイントとなる。つまり、自分が持っている知識を最大限に活用して、目の前の得体の知れない課題を解決する「知恵と度胸」を鍛えているのである。
⑦「生きる力」を構成する学力の正体を突き詰めていくうちに、明治時代の福沢諭吉の論考「文明教育論」にいきつく。「世界万物についての知識を完全に教えることなどできないが、未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力を発育することならできる。学校はそれこそをすべきところであり、ものを教える場所ではない」
⑧先行きが不透明な時代に未来予測は困難であるから、その場その場で自分が生きていくうえで必要なものを自分で見極めて、どうやったらそれを手にすることができるかを考え、そのために努力を続けることができる力こそ、「生きる力」の正体である。
⑨中学受験を通して身に付く学力はどんな世の中でも通用する不偏の力で一生の財産になる。各塾が「受験突破のみならず、将来役に立つ本当の学力を身に付けさせる」と標榜しているのはウソではない。
⑩テストの点数に一喜一憂し、子どもを追い詰めるのはよろしくないが、正しくやれば中学受験で「生きる力」を鍛えることもできる。
【白百合学園中2013算数入試問題】
【公立教育政策研究所公表PISAサンプル問題】
【鴎友中学2013社会入試問題】
参考リンク
過去記事:「生きる力」は教えられるか?
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その場その場で自分が生きていく上で必要なものを自分で見極め、どうやったらそれを手にすることができるかを考え、そのために努力を続けることができる力。
これこそ「生きる力」の正体である。
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中学受験で身に付ける「生きる力」(出典:日本経済新聞)
教育ジャーナリスト おおたとしまさ
①「PISA型学力」とは、OECD(経済協力開発機構)が3年おきに実施する国際的な学習到達度調査「PISA」において求められている学力観のことである。問題文に与えられた条件やヒントから、自分が持っている知識や技能(計算力など)のうち何が使えそうかを見出し、実際にそれらを状況に応じた形で適切に組み合わせ、活用することができる能力をいう。
②2002年にはじめてPISAが日本で実施され、これからの子どもたちに必要な「生きる力」を構成する学力だと評判になったが、それまでの知識偏重型の学力に対する批判といえた。
③「PISA型学力」などと呼ぶと新しく聞こえるが、実は、中学入試においては数十年前からスタンダードとなっていた学力観である。
④中学受験問題には、単に丸暗記しただけでは太刀打ちできないものが多い。どの私立中学も知識だけを詰め込んだ生徒よりも考える楽しさを知っている意欲的な子どもがほしいことは自明である。
⑤中学受験塾では単に知識を詰め込まれているわけではない。必要最低限の知識については家庭学習で覚えてくるように言われ、塾の教室で教えていることは、その知識をいかに活用するかという部分である。
⑥算数の文章題の中に「比」の概念が隠されていることを発見したり、複雑な図形の中に補助線を引き「公式」が使える形を見出したり、問題文に隠されたヒントから解決すべき課題を見出すところがポイントとなる。つまり、自分が持っている知識を最大限に活用して、目の前の得体の知れない課題を解決する「知恵と度胸」を鍛えているのである。
⑦「生きる力」を構成する学力の正体を突き詰めていくうちに、明治時代の福沢諭吉の論考「文明教育論」にいきつく。「世界万物についての知識を完全に教えることなどできないが、未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力を発育することならできる。学校はそれこそをすべきところであり、ものを教える場所ではない」
⑧先行きが不透明な時代に未来予測は困難であるから、その場その場で自分が生きていくうえで必要なものを自分で見極めて、どうやったらそれを手にすることができるかを考え、そのために努力を続けることができる力こそ、「生きる力」の正体である。
⑨中学受験を通して身に付く学力はどんな世の中でも通用する不偏の力で一生の財産になる。各塾が「受験突破のみならず、将来役に立つ本当の学力を身に付けさせる」と標榜しているのはウソではない。
⑩テストの点数に一喜一憂し、子どもを追い詰めるのはよろしくないが、正しくやれば中学受験で「生きる力」を鍛えることもできる。
【白百合学園中2013算数入試問題】
【公立教育政策研究所公表PISAサンプル問題】
【鴎友中学2013社会入試問題】
参考リンク
過去記事:「生きる力」は教えられるか?