贋作と判断し普段使いにした後、本ブログに投稿もせず、整理棚に放っておいた作品。他の探し物をしていたら出てきました。
異論のある作品でしょうが、蒐集した作品の中で、良いと思っていたものでも、良くないと思っていたものでも、再度見直すことは重要なことだと思っています。
贋作考 志野茶碗 加藤唐九郎作
共箱・共布
口径121~127*高さ85~89*高台径65~67
志野と紅志野の間のような発色ですね。
よく焼けていますが、あくまでも「贋作考」。
この手の赤っぽい土は紅志野に見られるかな? ちょっとあまり見ないものなので分類は不明・・・。
高台脇の掻き銘は「玄」、ちなみに下記写真右が真作のもの。違和感はない・・・??
志野の釉薬としてはカラッと焼けていることが条件・・、本作品は微妙だがよく焼成されているほうでしょう。
いまひとつカラッとしていないかな・・・。
箱書は下記の写真のとおりです。「一無斎」の銘があります。
共布付です。ここまで誂えられると当方のような素人は騙される・・・・・??
箱書について似たような作品?に下記のものがあります。
参考作品
「和の美」思文閣大入札会 作品目録掲載(令和6年3月)
作品NO142(P74~75)
志野茶碗 加藤唐九郎作
東京美術倶楽部鑑定書付 共箱
口径148*高さ83
入札開始価格¥2,500,0000~(落札価格は不明)
加藤唐九郎の贋作でもっと多いのが志野のようです。ひどいものになると市販の数千円のものに箱を付けています。
加藤唐九郎の作品はその個性ですね。
この参考作品の箱書は下記の写真のとおりです。
本作品の箱書は字体がうますぎるし、印が違うかもしれないという点に違和感があります。普段使いで「唐九郎」の雰囲気を感じる?には支障はなく、真作と比しても意外に造りはいいものになっています。
参考作品のカタログの説明は下記のとおりです。
お値段が高いので贋作が生まれる・・・。説明には簡便に明快に加藤唐九郎の志野について記述されています。
当方のブログ上では明確に作品には贋作とは記述しませんが「倣」、「伝」、「贋作考」、「氏素性の解らぬ」の枕言葉である程度表現しているとご了解願います。
真贋はとやかく言う御仁は数多くあれど、当方のように呑み込みの悪い人間には、このような作品のステップを踏まないと真作に辿り着けないようです。経験を重視し、逆に知識だけが先立つことや、原理原則や懐疑心が先行することは戒めています、
二重箱に収納したのですが、屋根裏部屋ゆきの作品ですね。