今年の開花はかなり異常・・・。すでに庭の牡丹が満開です。
白の牡丹はすでに散り始めており、紫の牡丹が満開となっています。この牡丹の手入れは義母が好きで面倒を見ています。
順序が逆なのがクマガイソウ・・・、もうすぐ満開のようです。
本日は週末ですので、軽めの作品の紹介です。
瑠璃釉の作品は「瑠璃」と「薄瑠璃」を含めるとかなりの数が流通しています。単彩のものや金彩が施されてた作品など現在まで大量に流通していますので、本来の古伊万里としての作品を除くとそれほど評価は高くない作品群です。
ただし幕末の金彩手を除くと、古伊万里において大皿となるとありそうでない作品のようです。
本作品は口縁に大きな傷があり、非常に廉価で、数千円で入手した作品です。あくまでも瑠璃系の伊万里系統の参考作品としての入手です。
*さすがにこの疵は醜いものです。窯疵かもしれませんが、ざらざらした変な補修跡になっています。とりあえず当方で簡便に金繕いで修理しています。
古伊万里 瑠璃釉大皿
時代:江戸中期~後期 補修跡有 誂箱
口径307~310*高台径180*高さ48
瑠璃釉は本焼用の透明釉の中に呉須を入れて作る瑠璃色の釉薬のことですが、単に瑠璃と呼ぶ場合は、釉薬を意味する場合と、瑠璃釉の掛かった作品を指す場合があります。
陶器に用いられることはほとんどなく、磁器によく使われる釉薬です。染付が作られている窯場は、同じ呉須を使うため基本的には瑠璃釉が用いられた可能性が高いとされます。つまりいろんな窯で種々様々の作品が数多く作れらたということでしょう。
有田では17世紀前半の、いわゆる初期伊万里の時代から瑠璃釉が用いられていますが、初期の瑠璃釉は比較的淡い色調であり、17世紀後半以降には紺色の色調のものに移行しています。ただし1650から60年代には淡い色調の瑠璃釉が多く見られます。
つまり時代が下がると濃い色調の瑠璃釉の作品が多いということです。
染付によって薄く塗られたものを薄瑠璃と呼んでいますが、薄く濃みをした染付と淡い色調の瑠璃を区別しにくいものです。瑠璃釉の薄いものと混同されています。
瑠璃と薄瑠璃の区別は、釉薬そのものが瑠璃色であるものが瑠璃であり、染付で薄く濃みをしたあと透明釉を掛けたものを薄瑠璃と見なすことが出来ます。断面を見れば、素地の上に藍色の釉薬があるのが瑠璃であり、素地の上に藍色の呉須がありさらにその上に透明の釉薬があるのが薄瑠璃です。薄瑠璃は染付の一種であり、瑠璃は色釉であるところに違いがあります。
しかし1650から60年代の有田磁器においては、淡い瑠璃釉を施したあとからさらに透明釉を掛けることが多いので判別が非常に難しくなっています。まず素人では判別は無理かと・・。
なお藍色の瑠璃釉に赤や金の上絵付けをする作品も多くあります。地の色が濃いので上絵付けが目立たないのですが、白地に色絵とはまた違った趣があり人気があります。
このような30センチを超える大皿は珍しいのですが、手頃なサイズの古伊万里の瑠璃釉の作品は星の数ほどあります。蒐集する多く方は金彩などの施された作品を好むようです。
瑠璃釉薬の作品を調べるだけでもなかなか講釈は難しく、実際の判断はさらに難しいもののようです。ともかく日本の陶磁器は世界一奥が深い・・・。
さて普段使いのするにしてもこの疵のままではさすがに醜いし、本職に依頼するほど作品でもなかろうと・・・・。
素人でできる範囲での金繕いはしておきました。