夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

雪景山水図 寺崎廣業筆 大正7年(1918年)頃

2020-07-27 00:01:00 | 掛け軸
4連休の休日は息子の科学実験体験、ブルーベリー収穫などのほかに小生は展示室の棚製作の打ち合わせ、蒐集作品の整理と追われましたが、一番の難関は家の掃除と息子のあ「遊ぼ~!」の要望から逃げ回ること・・。それでもつかまり公園に行ったり、息子と遊びに興じています。

下の写真は小生はジグソーパズルにはまり、息子がレゴに夢中の二人です。



小生の蒐集対象の画家のひとりである寺崎廣業は生涯を通じて多作であり、依頼されて数多くの作品を描いていたためにその作品には凡庸な作品が多くなり、また著名なゆえに贋作が横行したことから現在での評価は他の同時期の著名な画家に比して著しく低くなっています。当方の寺崎廣業の作品蒐集にあたっては、どの作品でも同じですが、まずは贋作は徹底的に排除すること、とりわけ凡庸な作品は蒐集しないことが肝要です。

本日はその2条件をクリアしている作品である寺崎廣業の最晩年の作の紹介です。



雪景山水図 寺崎廣業筆 大正7年(1918年)頃
紙本水墨軸装 軸先象牙 共箱二重箱 東京美術倶楽部鑑定書(平成16年5月9日) 
全体サイズ:横645*縦2230 画サイズ:横486*縦1254



構図は南画風のものですが、全体に寺崎廣業らしいといっていいでしょう。 



落款から「三本廣業」時代の大正期、しかもかなり晩年の作と推定されます。作品中には白文朱方印「天籟散人」が押印されています。この印章はかなり稀有なものと推察されます。



この作品は寺崎廣業の佳作のひとつと判断してよいでしょう。



これくらいの書き込みがないと寺崎廣業の作品としてまっとうな評価は受けられないでしょう。



寺崎廣業の美人画は評価が高いですが、このような晩年の山岳画もまた評価が高い作品群です。



寺崎廣業の作品はとるに足りない凡庸な作品は蒐集から避けたほうが無難です。



本作品は共箱二重箱に収まっています。



東京美術倶楽部鑑定書(平成16年5月9日)が付いています。印章が珍しいことなどから多少の疑念があり、東京美術倶楽部に鑑定を依頼したように推測されます。



寺崎廣業の共箱の印章は下記の二重円になった印章が多いようです。他には小さめの白文朱長方印である「廣業」が多く、この印章との2種類以外にはかなり少なくなります。これは同時期の横山大観も同じで共箱への印章はかなり限定されます。

東京美術倶楽部の鑑定書には必ず作品の写真と一体になります。

 

生前中は横山大観と人気を二分した画家ですが、その評価には雲泥の差が生じました。侮れない画家ゆえ秀作に重きを置いて再評価が必要でしょう。



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