夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

氏素性の解らぬ作品 交趾焼? 三彩亀型酒器

2016-08-28 00:01:00 | 陶磁器
お礼が遅くなりましたが、先月に友人から山形のさくらんぼが届きました。息子が大好きで大喜びです。その後にブドウ、モモが2階・・?? 「お~い、何度も果物が来るけど、ボケたのではないだろうな?」と電話したら「いや、大丈夫、今年はいろいろおいしいのが採れた。」という返事・・・・。



さて源内焼を平賀源内が興すもととなったのが、日本に輸入されていた交趾焼です。本日は「交趾焼」の紹介です。

長崎に遊学した源内は交趾焼の技術を学び、日本に輸入されていた交趾焼に対抗するために、肥後天草で良質の陶土がとれることを知ると、すぐさま陶器工夫書を代官所に提出し、技に優れた陶工を集め、新たな造詣や文様を工夫すれば、蒔絵に肩を並べる程の輸出工芸品になると力説しました。ところがこれは資金のめどが立たずあえなく却下されてしまいます。そこで讃岐に戻り陶工を呼び寄せ、自宅の庭に窯を開いたのが源内焼の始まりです。



「交趾焼」はその当時の作品は意外に市場には出てきません。国内の模倣作品は多くありますが、時代のあるものはとても高価で入手困難です。(本日の作品についても時代については不詳です。)

交趾焼? 三彩亀型水注
補修跡有 合箱
幅162*奥行き125*高さ114



交趾焼(こうちやき)は中国南部で生産された陶磁器の一種。名称はベトナムのコーチシナ(交趾支那)との貿易で交趾船によりもたらされたことに由来しています。



正倉院三彩などの低火度釉による三彩、法花と呼ばれる中国の元時代の焼き物、黄南京と呼ばれる中国の焼き物や清の時代の龍や鳳凰が描かれた焼き物も広い意味では交趾焼です。



総じて黄、紫、緑、青、白、などの細かい貫入の入る釉薬のかかった焼き物を総称します。



中国の明末~清代にかけての時代に交趾地方で生産された陶器の総称でもあり。前述のように交趾は中国の南方の地域で,漢代には交趾郡がおかれたことが知られ,早くから開けていた地方です。



この地方の窯,すなわち広東省の諸窯,浙江省の宜興 (ぎこう) ,蜀山などの窯で交趾手のものが制作されたようで,青,黄,緑,紫などの釉 (うわぐすり) を用いて三彩釉に似たやわらかみのある色調が特徴で、胎土は暗色で三彩釉が施されています。茶人の間では香合が珍重されました。



さて。本作品が江戸期の作品であるかはどうかは別として、雰囲気は「交趾焼」風です。むろん国内で近年に製作されて可能性もありますが、上下真っ二つに破損した形跡があり、うまく直しています。それだけ、前の所蔵者が大切にしていたのかもしれません。



本作品は水注として売られていましたが、酒器のようなです。主席で使用したか、何らかの理由で破損したのでしょう。



作品としては面白い作で良い出来だと思います。作名に「亀」としましたが、正しくは「玄武」かもしれません。

中国の神話に四神(ししん、しじん)というものがあり、天の四方の方角を司る霊獣のことです。四獣(しじゅう)、四象(ししょう)とも称されています。四象と四神・四獣は同義であり、実体のない概念である四象に実体を持たせたものが四神・四獣とされていますが、東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武です。五行説に照らし合わせて中央に黄龍(書籍によっては麒麟を据える場合もある)を加え数を合わせた上で取り入れられています。

亀の置物を家の北に守り神として置くと良いとされるのは、上記の神話からきています。

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玄武は、北方を守護する、水神。「玄」は「黒」を意味し、黒は五行説では「北方」の色とされ、「水」を表す。

脚の長い亀に蛇が巻き付いた形で描かれることが多い(尾が蛇となっている場合もある)。

古代中国において、亀は「長寿と不死」の象徴、蛇は「生殖と繁殖」の象徴で、後漢末の魏伯陽は「周易参同契」で、玄武の亀と蛇の合わさった姿を、「玄武は亀蛇、共に寄り添い、もって牡牝となし、後につがいとなる」と、陰陽が合わさる様子に例えている。

「玄武」の本来の表記は(発音は同じ)「玄冥」(「冥」は「陰」を意味し、玄武は「太陰神」とされた)であり、(北方の神である)玄武は、(北にある)冥界と現世を往来して、冥界にて(亀卜=亀甲占いの)神託を受け、現世にその答えを持ち帰ることが出来ると信じられた。

「玄武」の「武」は、玄武の「武神」としての神性に由来し、後漢の蔡邕は「北方の玄武、甲殻類の長である」と述べ、北宋の洪興祖は「武という亀蛇は、北方にいる。故に玄と言う。身体には鱗と甲羅があり故に武という」と述べた。玄武の武神としての神性は、信仰を得られず、唐宋以降には伝わらなかった。

中国天文学では、周天を天の赤道帯に沿って4分割した1つで、北方七宿の総称。北方七宿の形をつなげて蛇のからみついた亀の姿に象った。

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蛇までは絡み付いていないので本作品は題名は「亀」としましたが、面相からやはり魔よけ、守り神として作られているのでしょう。

ただ、このような破損のある作品は逆効果になることもあり、傷の補修などをきちんとしておかないといけないとする考えもあります。仏像などがその例で、粗末にすると逆にバチあたりになる・・・・



この形の酒器はときおり見かけますので、日本で作られたもののように思いますが、全体の釉薬には虹彩が出ておりますが、いったいどこで焼成された作品でしょう?

PS
この置物で思い出すのが調査で見たことのありますが、現在非公開となっている徳川水戸家の累代の葬儀墓。日本では珍しい儒教の形式によるもので、螭首亀趺(ちしゅきふ:亀の胴体に竜の首が付いている台石)とよばれる墓の様式です。





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