我々が幼少の頃には広い座敷で通夜や葬式、結婚式、法事を親戚や従業員を招いて大々的に行ったもので、それが親戚をまとめる本家の役割でもあった。
本家には広い屋敷と賄いの調度品が揃っていたのである。
昔の家は冬は寒かった。今でこそ金属製の断熱サッシュを嵌め込んでいるが、昔は板戸を開けたら障子1枚のみが外界との仕切りであったので、座敷はともかく寒かった。そのため宴会には暖をとる暖房器具が必要であったのだが、その一つが火鉢や手焙といった道具である。
当方に代々あった火鉢はたくさんあるのだが、その鋳物や陶磁器などの多くは場所をとるので処分しました。
今回の整理で出てきた火鉢は下記のようなものです。処分するには惜しい?のでとっておいたものですが、まずは大きな桐箱に入れられていた作品です。
金蒔絵唐草文四脚大名火鉢
桐箱入
サイズ:縦585*横585*高さ240
武家に伝わるものを明治期に入手したものらしい。
灰は入ったままです。
蒔絵や漆の部分に多少の痛みがあるものの時代を考慮するとほぼ健全な状態です。
修理することも可能ですが、さすがにこの作品は時代感を尊重したい。少し磨くともっときれいになるでしょう。
次は対で所蔵している銅製の手焙鉢です。
金工 蝶蟷螂文彫金銅製手焙鉢
杉箱入 対
サイズ:幅284*奥行265*高さ194
三面に蝶と蟷螂が描かれています。
このような作品を作れる人が今は何人いるのでしょうか?
腸は2面に描かれています。
実に堂々としたいい作品です。
使わないからと処分するには惜しい作品ですね。
丈夫の文様もそれなりにきれいです。
敷板の穴からは銘が見えます。
どなたの作品かは調査中です。
次は溜塗の手焙鉢です。箱に収納されて五客ほど・・・。
漆器手焙
杉箱入 五客
サイズ:幅303*奥行303*高さ217
何気ない塗の火鉢のようですが・・・。保存状態な良好なようです。
箱には下記のように書かれていますが詳細は不明です。
現代の人には無用の長物・・・??? 当方では花入れや飾りに使おうと思っています。田舎の座敷によく似合いそうですが、こじゃれた室内にこそ似合いそうな作品です。今はもうこのような優品はないでしょうから、インテリアとして高級感がありますね。