夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

忘れ去られた画家 桔梗と童女図 星野(岡本)更園筆

2018-10-01 00:01:00 | 掛け軸
星野(岡本)更園という女流画家をご存知の方はかなりの日本画通、もしくは美人画通、さらには大正ロマン通なのでしょう。本ブログで二度ほど紹介している岡本大更は義兄となり、岡本大更の更彩画塾で学んだ女流画家ですが、小生も初めて本作品の入手で知った画家です。

桔梗と童女図 星野(岡本)更園筆
絹本着色軸装 軸先木製 合箱 
全体サイズ:縦1940*横555 画サイズ:縦1145*横410

 

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岡本更園(おかもと こうえん):日本画家。明治28年(1895)兵庫県生。本名は延子。姓は岡本の他に星野・大江。最初は義兄・岡本大更の更彩画塾で学び、後に鏑木清方や西山翠嶂に師事する。新聞・雑誌の挿絵も担当した。大阪女流画壇の中心人物として美人画を得意とした。島成園や生田花朝女らと親交があった。歿年未詳。
大正14年(1925年)1月に木谷千種、星野更園、三露千鈴らを会員、日本画家北野恒富、菊池契月らを顧問とする「向日会」を結成。

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大正時代の女流画家を撮影した写真で下記の写真が良くみかけます。「女四人の会」という大正時代当時の女流画家の展覧会で、作品を前に撮影された写真です。「大正5年5月撮影」とされ、全員この時二十歳すぎ位だったようです。



左から岡本更園、吉岡(木谷)千種、島成園、松本華羊(「女性画家の大家展」より)

本日紹介する一番左側の岡本更園には少し影がある印象を受け、木谷千種はシアトルにて洋画を学び後年画塾を開き門弟50人を育てたという陽性な気質が表れています。

島成園は画壇の男権主義に反抗する傲岸不遜さがあり、松本華羊は「何不自由ないお嬢さん育ちで性質も温和で…」と評されたようなほんわかさな印象を受けます。4人女流画家の交流、画家としての成長、恋愛、そしてスキャンダル、幾重にも絡めた大正ロマンを代表するような時代を代表する女流画家達です。

本作品はどこかバランスの不安定な耽美的な印象を受けますが、これが当時の大正ロマンの画風なのでしょう。これを軌道修正し正当な美人画として育てたのが鏑木清方・上村松園・伊東深水らと言えるのでしょう。



左側が本作品の落款と印章です。中央と右側が参考作品の落款と印章です。

  

いずれ限界のあった大正ロマンの女流画家たちだと思いますが、今となっては懐かしい貴重な作品群です。現代では幾度となくこの種の展覧会は催されておりますが、作品の数は少なく、多くの作品を集めての展覧会の開催は難しくなっていくでしょう。



星野(岡本)更園という画家は現在は非常にマイナーで、忘れ去られているのでしょう。忘れされている画家の作品はネットオークションにときおり出品され、おどろくほどの廉価で捌かれています。



せめて小生のようなもの好きが入手しながら、後世に伝えるべくブログで紹介したり、展示室で飾りながら楽しんであげましょう それが時代を繋ぐ者の役目かな? 美人に関わるのは御免ですが、美人画は嫌いではありません。おっと本日の作品は美人画?

 

一緒に撮影されている作品は餅花手の大皿と徳化窯の細工筆立てです。


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