夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

源内焼 その128  緑釉娥眉山図四方角皿

2019-10-23 00:01:00 | 陶磁器
本日の作品はしばらくぶりに「源内焼」の作品の登場です。

源内焼に似た作品には紛らわしい作品が混在しますので、きちんと整理する必要がありますが、当方では純然たる源内焼は100種は超えたと思います。

源内焼 その128  緑釉娥眉山図四方角皿
合箱入
縦125*横205*高さ25



作品の見込み部分左に「娥眉山」と記されていますが、峨眉山(がびさん、峨嵋山)のことで中国・四川省にある山のことでしょう。



賛には「□輪秋影□号□江水流」の漢詩が添えられている。読み、意味は解読中です。



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峨眉山:道教や中国の仏教で言うところの聖地で、中国三大霊山(五台山、天台山、峨眉山)や中国四大仏教名山(五台山、九華山、普陀山、峨眉山)の一つである。

26の寺院を有し、普賢菩薩の霊場とされる。一帯は聖地となっていたために自然が護られ、約3,000種の植物と、絶滅危惧種を含む約2,000種の動物の宝庫でもある。

1996年12月6日には文化面、環境面両方が考慮され、楽山大仏と共に「峨眉山と楽山大仏」としてユネスコの世界遺産(複合遺産)に登録された。

一番高い峰が万仏頂(標高3,098メートル)で、頂まで32の名刹が続いている。後漢時代から仏教施設の建設が始まり、南宋時代に最盛期を迎えた。 現代最大の寺院は、登山口にあたる報国寺で、明代1615年(万暦43年)に明光道人が創建したとされている。

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*なお芥川龍之介の「杜子春」は峨眉山の仙人になるために教えを乞うたことは有名ですね。

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峨眉山一帯は峨眉山トラップと呼ばれる巨大火成岩岩石区である。これは2億6千5百年前から2億5千9百万年前までの巨大噴火で噴出した50万立方kmの洪水玄武岩が起源である。

この時期は顕生代(多細胞生物の化石が本格的に残っている年代である、5億4千万年前から現在まで)で最大の大量絶滅であるP-T境界に近いこともあり、P-T境界は峨眉山トラップが原因であるとする説が、2010年6月3日発表のサイエンス誌に掲載された。浅瀬で起きた噴火のため、証拠となる化石が残った。

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上記に記した「杜子春」のあらすじは下記のとおりです。

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杜子春のあらすじ:唐王朝の洛陽[8]の都。ある春の日の日暮れ、西門の下に杜子春という若者が一人佇んでいた。彼は金持ちの息子だったが、親の遺産で遊び暮らして散財し、今は乞食同然になっていた。



そんな彼を哀れんだ片眼眇(すがめ、斜視)の不思議な老人が、「この場所を掘る様に」と杜子春に言い含める。その場所からは荷車一輌分の黄金が掘り出され、たちまち杜子春は大富豪になる。しかし財産を浪費するうちに、3年後には一文無しになってしまうが、杜子春はまた西門の下で老人に出会っては黄金を掘り出し、再び大金持ちになっても遊び暮らして蕩尽する。

3度目、西門の下に来た杜子春の心境には変化があった。金持ちの自分は周囲からちやほやされるが、一文無しになれば手を返したように冷たくあしらわれる。人間というものに愛想を尽かした杜子春は老人が仙人であることを見破り、仙術を教えてほしいと懇願する。そこで老人は自分が鉄冠子という仙人であることを明かし、自分の住むという峨眉山へ連れて行く。



峨眉山の頂上に一人残された杜子春は試練を受ける。鉄冠子が帰ってくるまで、何があっても口をきいてはならないのというのだ。虎や大蛇に襲われても、彼の姿を怪しんだ神に突き殺されても、地獄に落ちて責め苦を加えられても、杜子春は一言も発しなかった。怒った閻魔大王は、畜生道に落ちた杜子春の両親を連れて来させると、彼の前で鬼たちにめった打ちにさせる。無言を貫いていた杜子春だったが、苦しみながらも杜子春を思う母親の心を知り、耐え切れずに「お母さん」と一声叫んでしまった。



叫ぶと同時に杜子春は現実に戻される。洛陽の門の下、春の日暮れ、すべては仙人が見せていた幻だった。これからは人間らしい暮らしをすると言う杜子春に、仙人は泰山の麓にある一軒の家と畑を与えて去っていった。

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芥川龍之介の「杜子春」は小学校の頃に母から読むように勧めらた本のひとつであり、思い出深い物語です。源内焼など、骨董蒐集のひとつひとつの作品からいろいろと調べて知識を得るのが骨董蒐集の面白味ですね。

さて源内焼における長方形の角皿は揃いの実用的な作品がメインですが、それでも装飾的で魅力的な作品が数多くあります。

下記の作品は「参考作品」で五彩を使った作品。縁の文様は唐草というより蔦草を表した大柄な文様です。木型ならではの鋭い造形美といえるでしょう。2003年源内焼展の出展作品です。



以下は当方所蔵作品の源内焼の長皿です。詳細はブログに投稿されている記事をご覧ください。

源内焼 その45 三彩山水図長皿
合箱
長さ191*奥行141*高さ35



源内焼 その77 緑釉羅漢虎図長皿
合箱
幅210*奥行135*高さ34



源内焼 その114 三彩菊花紋様陽刻長皿
合箱
幅235*奥行115*高さ23



源内焼 その71 三彩菊花紋様陽刻長皿
合箱
幅223*奥行108*高さ25



下記の作品は一番当方で気に入っている作品です。近代的な粋なデザインの作品です。

源内焼 その14 三彩花図長方皿
合箱
長さ235*幅110*高さ28



下記の作品はこの手の作品でもっともポピュラーで数が多い作品かもしれません。

源内焼 その9 三彩天橋立長方皿 
合箱
長さ233*奥行き128*高さ27



蒐集するだけでは蒐集家とは言えないのかもしれません。作品を整理して系統立てて、作品の周囲の知識も得て、そして作品の本質を見抜いて、最終的に鑑識眼を身に付けるのが骨董における蒐集する者が歩むべき道・・・・



源内焼の長皿だけでもいろいろと愉しめるますね。



源内焼以外の三彩の作品で、源内焼から波及した種々の彩の器もまた愉しいものです。



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