夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

富岳図 狩野素川筆 その3

2018-12-25 00:01:00 | 掛け軸
今週は帰省の準備で忙しいので週末にクリスマスと息子の誕生会を例年ごとくまとめて執り行いました。



料理は家内が・・・。



例年のごとくプレゼントは図鑑。



さて本日はマイナーな画家の狩野素川の作品の紹介です。

狩野素川は狩野派にありながら浮世絵美人画にも学んだ、洒脱で機知に富んだ独特の画風で狩野素川の作品は「素川風」と評されて現在はマイナーでも当時は著名な画家の一人でした。

富岳図 狩野素川筆 その3
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 誂箱
全体サイズ:横350*縦1677 画サイズ:横318*縦905



1800年(寛政12年)数え36歳で若隠居し、花街での遊蕩を好んだとされています。吉原の老妓の門弟も多かったという。粉本に依らない軽妙洒脱な画風で人気を博し、当時の狩野派内で最も有力だった狩野栄信のライバルと言われていました。

 

天地が虫に食われており、天地交換の補修をすべきか否か迷っています。時代感を優先するのもひとつの考え方ですから・・。

落款と印章は下記のとおりです、落款、印章、作風から真作と判断しています。



素川は50代で章信と改めましたが、それまでは号は大玄齋、素川(そせん)であり、章信と署名するようになってからは、両者とも用いなくなったということから、本作品は「章信」と署名する前の、50歳までの作品であると推察されます。



狩野派では一風変わった絵師というイメージが強い画家ですが、それは作品以外に私生活も性格も変わっていたせいもあるのでしょう。



居宅に高楼を建てる趣味人で、『画道伝授口訣』という著作もあります。狩野素川はいつも手ぬぐいを頭に被り脱がなかったという逸話が残っていますが、これは田沼候に招かれる際の出来事が元になっているという逸話があります。「自分は寒がりなので頭巾を外せないが、それでも良ければ参上する。」と答えたのが認められ、諸人がこれを真似たという逸話です。



なお先日、当方の所蔵作品が展示された下記の展覧会にも狩野素川の作品が展示されていました。



来年には富士山世界遺産センターでは当方の所蔵作品が紹介された狩野了承と今回の狩野素川の二人の展覧会を催す予定らしいです。



見えづらい写真ですが、本作品と掲載されている作品に押印されている印章は同一印章です。

 

再来年の展覧会には予定では本ブログで紹介されている下記の作品が展示を依頼されています。

瀟相八景図 狩野素川筆 
絹本水墨淡彩軸装 軸先鹿骨 合箱
全体サイズ:横940*縦1520 画サイズ:横750*横505



今から再来年が愉しみです。


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