テレビの時代劇を観て感じるのですが、背景の小道具類、例えば掛け軸、刀剣、陶磁器で的を得た調度品が用意されているのが雲切仁左衛門、大河ドラマ、そして以外にも鬼滅の刃ですね。さすがにNHKの調度品は立派ですし、掛け軸も洗練されたものが用意されています。民放はほぼ全滅であり、でたらめな調度品ばかり。とくにひどいのが科捜研などの人気ドラマですが、内容共々作り手の無知さが容易に推察されます。
さて本日は本ブログではお馴染みの市川鉄琅の作品を本日は紹介します。
最近「なんでも鑑定団」に作品が出品されたこともあり、あまり名の知られていなかった市川鉄琅の名が少しは世に再認識されたかもしれません。
本日の作品は「法隆寺金堂天蓋附属鳳凰」という作品を模作した非常に珍しい作品と思われます。
当方のお気に入りの作品であり、本作品を展示するためにガラスケースも入手しました。このような作品は光と埃を極端に嫌いますので・・・。
「法隆寺金堂天蓋附属鳳凰」については家内が所蔵していた図集に掲載されていました。
「法隆寺金堂天蓋」については、全景はこの図集には掲載されていませんが、このブログにおいて後述において掲載しています。
天人と一緒に鳳凰の飾りが付いていますが、図集の下記の説明のとおりです。
鳳凰を取り外した状況は下記の写真のようです。
この状態で市川鉄琅は本物を見ていた可能性が高いでしょう。
倣法隆寺金堂天蓋附属鳳凰 市川鉄琅作 その6
古色彩色 「南都最勝精舎主 鉄琅模之? 押印 花押」 共箱
台座幅204*奥行262*高さ370
「木造天蓋附属鳳凰」は飛鳥時代の作とされ、全体で国重要文化財となっています。
奈良に自分の工房のあったため、幾度となく法隆寺金堂天蓋を観ていたであろう市川鉄琅が、老朽している天蓋附属鳳凰について、出来た時はこうではなかっただろうかと制作意欲を駆り立てられて作ったものと推測されます。
奈良国立博物館の特集展示「新たに修理された文化財」が、奈良市登大路町の同館で2018年から2019年まで開催されています。
法隆寺(斑鳩町)が所蔵する「木造天蓋附属鳳凰」(飛鳥時代、国重要文化財)は、同寺金堂(国宝)の天井から下がる天蓋にかけられた飾りの一つのですが、その奈良国立博物館の特集展示「新たに修理された文化財」に際して「破損していた左脚や羽の一部を接合し、元の形に戻す。」という修理された作品が展示されています。
「木造天蓋附属鳳凰」は本日の作品の題材ですが、実際の作品は現在は彩色はされていません。
彩色に関しては市川鉄琅独自の調査か、想像力が働いているのかもしれません。
模倣作品とはいえ非常に出来が良い作品で、実際にいつでも取り付けられるようになっています。
彩色は古色らしく塗られています。
作れらた詳細の経緯や作品数は不明です。
彩色の剥離などは補修しないほうがいいでしょう。市川鉄琅の他の作品にも見れるように剥離自体が作為的なものかもしれません。
脚の出来などすばらしいものです。
おそらく近くで作品を観ていたものと推測されます。
この作品中には通常の作品にある彫銘がなく、焼き印のみですが、これは作品に彫銘を入れることをためらったのかもしれません。
共箱の裏には「南都最勝精舎主 鉄琅模之? 押印 花押」とあります。なお焼き印の読みは不明です。
「最勝精舎」とは加納銕哉が1921年(大正10)に奈良の高畑にアトリエである「最勝精舎」を建てて本拠地とした工房です。この工房兼住居は2度の移転を止むなくし、門下の市川銕琅によって受け継がれましたが、銕琅の死後はその保存は断念せざるを得なかったようです。
箱書きなどから明らかに真作と判断されますね。
この作品は会津八一の書と一緒に飾ってみました。
「天人図 ゆめとのは」 会津八一筆
紙本水墨額装 長島健鑑定シール(平成8年:1996年4月鑑定) 誂タトウ+黄袋
全体サイズ:縦660*横550 画サイズ:縦490*横370
この額の歌は下記のとおりです。
法隆寺東院にて(第1首)
ゆめどの は しづか なる かな ものもひ に
こもりて いま も まします が ごと
(夢殿は静かなるかなもの思ひに籠りて今もましますがごと)
この作品に描いた「天人」は法隆寺金堂天蓋にある天人かもしれませんね。当方のブログに投稿されている杉本健吉の天人もそうかもしれません。いろんなところでいろんな作品が繋がりだします
さて市川鉄琅の作品に関しては本ブログに下記の作品らが投稿されています。
まずは二つの聖観音像です。
左:楠木彫聖観音菩薩尊像 市川鉄琅作 & 右:彩色彫聖観音菩薩尊像 市川鉄琅作
楠木 金彩色 共箱 彩色 共箱共布
幅136*高さ315 幅150*高さ400
下記の作品は当方の置き入りの作品で彩色などを当方にて専門家に依頼して補修しています。
木彫極彩色 狂言福ノ神 市川鉄琅作
極彩色 共箱
幅148*奥行き132*高さ220
次は可愛いお雛様・・・。
木彫極彩色 親王雛 市川鉄琅作
応需作品 極彩色 台座付 共箱
男雛単体:幅115*奥行110*高さ110 女雛:幅115*奥行78*高さ110
台座:幅350*奥行き175*高さ68
次は市川鉄琅の代表的な作例です。
東大寺寶物 伎楽面酔胡王 市川鉄琅作
彩色 桐掛額 共箱 共板 共布
全体:縦396*横563*厚さ45 面:縦225*横145
師である加納鉄哉の作品には箱書きなどがしてありますが、その例が下記の作品です。
恵比寿大黒面・吉祥額 加納鉄哉作
恵比寿面:高さ175*幅132*厚さ65 大黒面:高さ140*幅128*厚み68
額:口径470~415*厚さ22 共板市川鉄琅鑑定箱
下記の作品は市川鉄琅が関わっていませんが、加納鉄哉の作品でもお気に入りの作品です。
田村将軍 木彫彩色像 加納鉄哉作 明治40年作
底彫銘 共箱
作品サイズ:高さ310*幅135*奥行155
上記の作品中の「木彫極彩色 狂言福ノ神 市川鉄琅作」、「恵比寿大黒面・吉祥額 加納鉄哉作」、「田村将軍 木彫彩色像 加納鉄哉作 明治40年作」などは複数の作例があるようですが、それでも入手はかなり難しくなっています。
さて本日は本ブログではお馴染みの市川鉄琅の作品を本日は紹介します。
最近「なんでも鑑定団」に作品が出品されたこともあり、あまり名の知られていなかった市川鉄琅の名が少しは世に再認識されたかもしれません。
本日の作品は「法隆寺金堂天蓋附属鳳凰」という作品を模作した非常に珍しい作品と思われます。
当方のお気に入りの作品であり、本作品を展示するためにガラスケースも入手しました。このような作品は光と埃を極端に嫌いますので・・・。
「法隆寺金堂天蓋附属鳳凰」については家内が所蔵していた図集に掲載されていました。
「法隆寺金堂天蓋」については、全景はこの図集には掲載されていませんが、このブログにおいて後述において掲載しています。
天人と一緒に鳳凰の飾りが付いていますが、図集の下記の説明のとおりです。
鳳凰を取り外した状況は下記の写真のようです。
この状態で市川鉄琅は本物を見ていた可能性が高いでしょう。
倣法隆寺金堂天蓋附属鳳凰 市川鉄琅作 その6
古色彩色 「南都最勝精舎主 鉄琅模之? 押印 花押」 共箱
台座幅204*奥行262*高さ370
「木造天蓋附属鳳凰」は飛鳥時代の作とされ、全体で国重要文化財となっています。
奈良に自分の工房のあったため、幾度となく法隆寺金堂天蓋を観ていたであろう市川鉄琅が、老朽している天蓋附属鳳凰について、出来た時はこうではなかっただろうかと制作意欲を駆り立てられて作ったものと推測されます。
奈良国立博物館の特集展示「新たに修理された文化財」が、奈良市登大路町の同館で2018年から2019年まで開催されています。
法隆寺(斑鳩町)が所蔵する「木造天蓋附属鳳凰」(飛鳥時代、国重要文化財)は、同寺金堂(国宝)の天井から下がる天蓋にかけられた飾りの一つのですが、その奈良国立博物館の特集展示「新たに修理された文化財」に際して「破損していた左脚や羽の一部を接合し、元の形に戻す。」という修理された作品が展示されています。
「木造天蓋附属鳳凰」は本日の作品の題材ですが、実際の作品は現在は彩色はされていません。
彩色に関しては市川鉄琅独自の調査か、想像力が働いているのかもしれません。
模倣作品とはいえ非常に出来が良い作品で、実際にいつでも取り付けられるようになっています。
彩色は古色らしく塗られています。
作れらた詳細の経緯や作品数は不明です。
彩色の剥離などは補修しないほうがいいでしょう。市川鉄琅の他の作品にも見れるように剥離自体が作為的なものかもしれません。
脚の出来などすばらしいものです。
おそらく近くで作品を観ていたものと推測されます。
この作品中には通常の作品にある彫銘がなく、焼き印のみですが、これは作品に彫銘を入れることをためらったのかもしれません。
共箱の裏には「南都最勝精舎主 鉄琅模之? 押印 花押」とあります。なお焼き印の読みは不明です。
「最勝精舎」とは加納銕哉が1921年(大正10)に奈良の高畑にアトリエである「最勝精舎」を建てて本拠地とした工房です。この工房兼住居は2度の移転を止むなくし、門下の市川銕琅によって受け継がれましたが、銕琅の死後はその保存は断念せざるを得なかったようです。
箱書きなどから明らかに真作と判断されますね。
この作品は会津八一の書と一緒に飾ってみました。
「天人図 ゆめとのは」 会津八一筆
紙本水墨額装 長島健鑑定シール(平成8年:1996年4月鑑定) 誂タトウ+黄袋
全体サイズ:縦660*横550 画サイズ:縦490*横370
この額の歌は下記のとおりです。
法隆寺東院にて(第1首)
ゆめどの は しづか なる かな ものもひ に
こもりて いま も まします が ごと
(夢殿は静かなるかなもの思ひに籠りて今もましますがごと)
この作品に描いた「天人」は法隆寺金堂天蓋にある天人かもしれませんね。当方のブログに投稿されている杉本健吉の天人もそうかもしれません。いろんなところでいろんな作品が繋がりだします
さて市川鉄琅の作品に関しては本ブログに下記の作品らが投稿されています。
まずは二つの聖観音像です。
左:楠木彫聖観音菩薩尊像 市川鉄琅作 & 右:彩色彫聖観音菩薩尊像 市川鉄琅作
楠木 金彩色 共箱 彩色 共箱共布
幅136*高さ315 幅150*高さ400
下記の作品は当方の置き入りの作品で彩色などを当方にて専門家に依頼して補修しています。
木彫極彩色 狂言福ノ神 市川鉄琅作
極彩色 共箱
幅148*奥行き132*高さ220
次は可愛いお雛様・・・。
木彫極彩色 親王雛 市川鉄琅作
応需作品 極彩色 台座付 共箱
男雛単体:幅115*奥行110*高さ110 女雛:幅115*奥行78*高さ110
台座:幅350*奥行き175*高さ68
次は市川鉄琅の代表的な作例です。
東大寺寶物 伎楽面酔胡王 市川鉄琅作
彩色 桐掛額 共箱 共板 共布
全体:縦396*横563*厚さ45 面:縦225*横145
師である加納鉄哉の作品には箱書きなどがしてありますが、その例が下記の作品です。
恵比寿大黒面・吉祥額 加納鉄哉作
恵比寿面:高さ175*幅132*厚さ65 大黒面:高さ140*幅128*厚み68
額:口径470~415*厚さ22 共板市川鉄琅鑑定箱
下記の作品は市川鉄琅が関わっていませんが、加納鉄哉の作品でもお気に入りの作品です。
田村将軍 木彫彩色像 加納鉄哉作 明治40年作
底彫銘 共箱
作品サイズ:高さ310*幅135*奥行155
上記の作品中の「木彫極彩色 狂言福ノ神 市川鉄琅作」、「恵比寿大黒面・吉祥額 加納鉄哉作」、「田村将軍 木彫彩色像 加納鉄哉作 明治40年作」などは複数の作例があるようですが、それでも入手はかなり難しくなっています。