ふるさと女川からバスに乗って東京の大学へ向う 「 某ちゃん 」
久し振りに考えさせられるドラマを見た。
昨夜NHKで放送された 「 ラジオ 」 というドラマである。
東日本大震災の被災地・宮城県女川町。
ここに今も放送を続ける臨時災害放送局がある。
震災の一か月後に地元の人たちの手で作られた「女川さいがいFM」である。
このドラマは、地域に必要な情報を届けようと集まった、
高校生など若いスタッフと地元の皆さんをモデルにしている。
原作となったのは、「女川さいがいFM」にアナウンサーとして参加している女子高生のブログである。
そこには、震災からの二年間、被災の現実と向き合いながら、
前を向いて歩んで行こうとする若者の胸の内が綴られていた。
<ストーリー>
震災から10ヶ月。
仮設住宅に引きこもる女子高生「某ちゃん」(刈谷友衣子)を心配した兄貴分の蒲鉾店四代目
國枝(吉田栄作)は、半ば強制的に女川さいがいFMに参加させる。
しかし、ほとんど何もしゃべれない、何も伝えられない…。
落ち込む彼女に、父親(豊原功補)が、「話すのが苦手ならば文字で表現したらいい…」とブログを勧める。
彼女は、自分自身の心情を少しずつ綴り始めて行く。
そんな某ちゃんが放送で流したロックミュージック ( 負け犬 ) を、ネット配信で耳にしたのは、
東京で働く飛松(リリー・フランキー)。
なぜか心惹かれ…某ちゃんとのメールのやりとりが始まる。
さいがいFMの仲間たち(安藤サクラ・新井浩文)にも支えられ、
某ちゃんは次第に元気を取り戻し、未来に希望を持ち始めていく。
そんな時、瓦礫の受け入れについて書いた某ちゃんのブログが突然炎上する。
普段は10人程だった閲覧者が100万人を超えた!いったい何が起こったのか?
…窮地に立たされる某ちゃん…そして仲間たち…
被災地女川で「ブログ」と「ラジオ」を経験し、
自分自身を取り戻していく女子高生と仲間たちの物語は、震災を描くドラマではない。
「心」の復興を描くドラマである。
何故?某なのか。
このニックネームをつけた同級生の男の子は津波に流されたので、
その意味も解らないままだが、
某ちゃん自身も解らないところがいいみたいだった。
バスから降りて来た飛松さんに「君の本当の名前を教えてくれないか」と訊かれ、
私は、「 某ちゃん 」だと答えた。
それからバスで東京に向うシーンのバックに流れた 「 応援歌 」 に胸が詰まった。
震災から2年の時が過ぎ、忘れかけていたことを改めて考えさせられたドラマだった。
これからも微力ながら東北を応援して行きたいと思っている。