
人吉駅の 「 SL人吉 58654 」

インパクトのある人吉のヘッドマーク






直径1.6mの動輪3個と先輪

熊本駅に到着した “ ハチロク ”
所在地 / JR九州肥薩線 人吉ー八代
鹿児島本線 八代ー熊本
製造年 / 1922年(大正11年)
製造 / 日立製作所笠戸工場
SL人吉は、人吉=熊本間を一日一往復の臨時快速で、
8620型蒸気機関車58654号機(通称ハチロク)である。
大正生まれの国産機関車が球磨川に沿って走る。
本線を走る現役最古の蒸気機関車は、
大正、昭和初期に純国産の旅客用機関車として量産され、日本中で活躍したハチロクである。
58654号は、生粋の九州育ちで、お召し列車を牽いた栄光に耀く。
ハチロクは、1922年(大正11年)日立製作所笠戸工場製(製造番号 62)で、
同年12月26日に浦上機関庫に配置され、長崎本線で使用された。
その後、九州各地を転々としたのち、
1949年(昭和24年)6月21日付けで西唐津機関区に転属し、唐津線で使用された。
1961年(昭和36年)4月20日には唐津線でお召し列車を牽引している。
1964年(昭和39年)に若松機関区に転属し、筑豊各路線で使用され、
1968年(昭和43年)6月1日付けで人吉機関区に転属した。
湯前線での使用を最後に1975年(昭和50年)3月31日付けで廃車され、
肥薩線矢岳駅前の人吉鉄道記念館(人吉市のSL展示館)に展示されることになった。
新製から廃車までに走行した距離は300万km余りであった。
1988年(昭和63年)8月28日から平成17年8月28日には「SLあそBOY」として活躍し、
大改修を経て平成21年4月25日「SL人吉」牽引機として復活したものである。
ハチロクの特徴は、小柄な割に大きな動輪にある。
直径1.6mにおよぶ動輪3個を先輪1個が誘導する高速向けの足回りである。
明治期に大量に輸入された外国製の蒸気機関車を乗りこなし、
保守管理するうちに、遂に国産の大型機関車が作れるまでに成長した日本の証でもある。
C57、D51などと称される前の古い形式の機関車が、
定期便として現役で本線を駆け抜けていることは驚異的であり、
大切に未来へ伝えたいものである。
臨時快速「SL人吉」は、肥薩線”熊本”~”人吉”間を約2時間32分で運行。
日本三大急流の一つ、球磨川に沿って走っている。
3両ある客車は1号車と3号車に展望ラウンジ、2号車にはビュッフェを備えており、
その客車デザインは、鉄道デザインのスペシャリスト水戸岡鋭治が手がけたものである。