Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

暑気を忘れて漆黒の闇へ

2007-08-08 | アウトドーア・環境
22時を過ぎて、日が暮れた。食事も済んで心持良くワインを飲んでいた。昼間の暑気を忘れる風が吹き出したので、散歩に出かける。

台風の接近する夜のような強い風が吹くと夜道も騒がしい。葡萄の木は、二メートル以上に伸びて、それらが大きく揺れると、殆ど威圧感がある。それらがざわざわすると不安でさえある。

新月はまだ六日先であるが漆黒の闇である。我々都会人は夜目が効かない。きっと、耳も効かないのだろう。ワイン街道が、ワインフェストのみならず、列車の線路敷き替えのために踏み切りで分断されている。勿論列車も通らない。午後にも物音しない大変静かな時間がある。

こおろぎが葡萄の木の根元で盛んに鳴いている。農道の左右で上手くハーモニーとなり輪唱しているのもある。そこを進んでいくと絶えず音の流れや向きが変わる。

向こうからある年齢に達した女性の声が聞こえた。喉を鳴らすと向こうもそれに応えるように男が喉を鳴らす。正面衝突を避けて、一言かけて行き違える。女は、白っぽい衣装を着ていたようである。

斜面の上の帰路を進むと益々風は強くなり、真っ直ぐ歩く努力をしなければいけない。こおろぎの鳴き声の音の絨毯は相変わらずだが、珪素の多い土壌にやってくると、その合唱は大分疎らである。暗闇を導く白く舗装された道は、往路に比べて明らかに涼しい。昼の暑気は、完全に去っていた。
コメント (2)
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