「安倍晋三は、日曜日から保護観察処分中である」と書くのは、FAZ東京特派員のペーター・シュテュルムである。昨日に続いて、今度はポーランドの双子カチュンスキーに代わって、同じ位置に「美しい日本?」が社説として掲載されている。
「ここは中国とは違うんだからよ、一党独裁はいけねえ」と米作りの農民の言葉で始まるこの社説は、伝統的な自民党地盤で彼らの支援が絶たれ、参議院選挙が思いの外の結果となったと分析する。
それは、不満の捌け口としての投票動向とは別に、政府に対する有権者の真剣な警告であるとして、そのメッセージが本当に伝わっているかどうか、有権者は固唾を呑んでいると言うのである。
日本の政治地図がみすぼらしかったのは、ある程度、あまりにも強力な自民党の存在故であったとして、その野党の寄せ集めや自民の造反者が習合した民主党の政治を手短に辿る。そこで、健康状態の優れない小沢党首の農民への増反と助成金の公約に触れている。
国際競争力の皆無な日本の水稲に対しての助成は、自給率の問題として短絡的に捉えても、将来的には農業を滅ぼす政策と思われるが、やはり本日一面トップ記事にドイツでのミルク製品の高騰が記事となっている。それはEU内での牧草地における、事実上の減反と助成規模固定の政策が2015年まで引き続くのに対して、バイオ燃料や中国やインドからの需要で、そこでの飼料の耕地面積が足りなくなって来ていて、その結果乳製品へと価格が転化されて行くと言う問題である。つまり、その期限が来るまでは飼料の増反は出来ない牧草地の耕地制限が、中国やインドからの急激な需要に追いつかないことを原因付けている。しかし、2015年の時点でも、国際的な需要が十分にあれば今度は反転して増反へと一気に進むだろうとされる。
そのように、小沢の政策はグローバル経済下の農業政策に逆行していて、一向に理解出来ないが、この社説において、それ以上に安倍の改革を通して目指す「美しい日本」と言う無意味な公式は、多くの選挙民にとってはあまりにも宣伝効果が無いもので、一般庶民にとっては希求されるものでは全く無かったと結論付けられる。
「保険金が支給されないと言うとき、一体誰が、憲法改正や海外派兵に興味を持つのだろうか?」
「飽きもせずに、国の若者が更に愛国者であらねばならないと首相が訴えかけるとき、過去において日本人に祖国愛が欠けていただろうかと、少なからず問われるのである。」
「古き良き時代への郷愁は、ドイツ人も充分に良く知っているのだ。」、「だから、日本の有権者は、 安 倍 の 改 革 への展望を前にしながら、ハッキリと、その良き時代への 退 行 を 公 約 とした者に投票したのである」と、シュテュルム氏は、安倍の改革の実体を、小沢の公約を婉曲に批判する。
同時に、安倍がすねっからしの政治家閣僚を退任させるとき起こりうるのが、ここ十年来無かった、安倍政治において再び強化された、派閥の問題なのであると、この政権の本質に触れる。そして安倍は、只のバランス取りの司会者となり下がる危険があるとする。
そして、将来を築く後継者が居なく、現実的戦略を示す者が居ない自民党の具合悪い状況を、国際政治における影響から憂う一方、「反対の政治」は票に結びつかないとして、全てを対決にかける素振りのない民主党が、日本が世界での役割を担う何よりもの救いとなるかも知れないとしている。
ある一人の有権者が日曜日に語ったように、安倍がこの選挙から何を学ぶか、注目していても良いかも知れないと、この社説を結んでいる。
参照:“Schönes Japan?“ von Peter Sturm, FAZ vom 31.7.07
「ここは中国とは違うんだからよ、一党独裁はいけねえ」と米作りの農民の言葉で始まるこの社説は、伝統的な自民党地盤で彼らの支援が絶たれ、参議院選挙が思いの外の結果となったと分析する。
それは、不満の捌け口としての投票動向とは別に、政府に対する有権者の真剣な警告であるとして、そのメッセージが本当に伝わっているかどうか、有権者は固唾を呑んでいると言うのである。
日本の政治地図がみすぼらしかったのは、ある程度、あまりにも強力な自民党の存在故であったとして、その野党の寄せ集めや自民の造反者が習合した民主党の政治を手短に辿る。そこで、健康状態の優れない小沢党首の農民への増反と助成金の公約に触れている。
国際競争力の皆無な日本の水稲に対しての助成は、自給率の問題として短絡的に捉えても、将来的には農業を滅ぼす政策と思われるが、やはり本日一面トップ記事にドイツでのミルク製品の高騰が記事となっている。それはEU内での牧草地における、事実上の減反と助成規模固定の政策が2015年まで引き続くのに対して、バイオ燃料や中国やインドからの需要で、そこでの飼料の耕地面積が足りなくなって来ていて、その結果乳製品へと価格が転化されて行くと言う問題である。つまり、その期限が来るまでは飼料の増反は出来ない牧草地の耕地制限が、中国やインドからの急激な需要に追いつかないことを原因付けている。しかし、2015年の時点でも、国際的な需要が十分にあれば今度は反転して増反へと一気に進むだろうとされる。
そのように、小沢の政策はグローバル経済下の農業政策に逆行していて、一向に理解出来ないが、この社説において、それ以上に安倍の改革を通して目指す「美しい日本」と言う無意味な公式は、多くの選挙民にとってはあまりにも宣伝効果が無いもので、一般庶民にとっては希求されるものでは全く無かったと結論付けられる。
「保険金が支給されないと言うとき、一体誰が、憲法改正や海外派兵に興味を持つのだろうか?」
「飽きもせずに、国の若者が更に愛国者であらねばならないと首相が訴えかけるとき、過去において日本人に祖国愛が欠けていただろうかと、少なからず問われるのである。」
「古き良き時代への郷愁は、ドイツ人も充分に良く知っているのだ。」、「だから、日本の有権者は、 安 倍 の 改 革 への展望を前にしながら、ハッキリと、その良き時代への 退 行 を 公 約 とした者に投票したのである」と、シュテュルム氏は、安倍の改革の実体を、小沢の公約を婉曲に批判する。
同時に、安倍がすねっからしの政治家閣僚を退任させるとき起こりうるのが、ここ十年来無かった、安倍政治において再び強化された、派閥の問題なのであると、この政権の本質に触れる。そして安倍は、只のバランス取りの司会者となり下がる危険があるとする。
そして、将来を築く後継者が居なく、現実的戦略を示す者が居ない自民党の具合悪い状況を、国際政治における影響から憂う一方、「反対の政治」は票に結びつかないとして、全てを対決にかける素振りのない民主党が、日本が世界での役割を担う何よりもの救いとなるかも知れないとしている。
ある一人の有権者が日曜日に語ったように、安倍がこの選挙から何を学ぶか、注目していても良いかも知れないと、この社説を結んでいる。
参照:“Schönes Japan?“ von Peter Sturm, FAZ vom 31.7.07