Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ユダヤの旋律「コルニドル」

2021-07-20 | 歴史・時事
(承前)金曜日の予定が殆ど定まりつつある。劇場でテストを受けれるようにその時刻前にホテルにチェクインするだけだ。切符を買う人とは劇場前で会うことにした。そこで先ずは当夜のプログラムをもう一度振り返る。気になっていた「コシファンテュッテ」のフィオルデリージが歌う「岩の様に」をお勉強する。演奏されるのは分厚い管弦楽のヘルマン・レヴィ編曲版であるが、2日に聴いた印象では、響き以上にその歌手の特徴と共にドラマティックな面が強調されていたので、編曲の意図を知りたいと思った。日本で「魔笛」第一の侍女を歌っている人だがとても強くドラマティックに歌っていたのである。

成程ベーム指揮のシュヴァルツコップなどもとても強く歌っていて、若い時のヤノヴィッツも言葉の明瞭性などで結構奮闘している。前者などはそこまでしなくてものダイナミックスやアクセントがあるがベーム指揮がとても拘りの演奏だから従っているのだろう。カラヤン指揮はやはりその点本当にソフトであって自然な音楽的な間合いを取っている。歌手からすればカラヤンの方がやはりいい指揮者だったと思う。昨年のザルツブルクでのヴィデオでのトライシークの歌も聴き直したが精一杯の歌声を出していることが分かり、又付けているマルヴィッツの指揮もスタイルが違って、改めて悪くはないことを確認した。

苦手な楽曲というのは殆ど無いのだが、その指折りの中に入っていたのが、ブルッフ作曲の「コルニドライ」である。ロマンティックでありユダヤの旋律というだけで重苦しい。2日に初めて実演で聴いたが、ソロストの力量もあってか、やはり掴みどころが少なかった。比較にマイスキーのソロでイェルヴィ指揮HR交響楽団の演奏で聴くと流石に上手い。
Bruch: Kol Nidrei ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Mischa Maisky ∙ Paavo Järvi


その旋律も馴染んだので、この作曲を批判的に扱ったシェーンベルクの小さなオラトリオを聴いてみた。成程こちらの方が面白い。バーンスタインなどは特別にユダヤ的なアクセントをつけて指揮していてあまり参考にならない。

その贖罪自体が契約不履行を促すとして、アンティセミティズムの攻撃対象になっているということだ。何故ここにこの曲が演奏されるかは明白で、ペトレンコにとっては来年のベルリンでのユダヤ人プログラムを先行する形になっている。

メンデルスゾーンのルイブラス序曲も余り演奏されない曲で録音も少ない。ネットではアバド指揮のロンドンでの録音が出て来たが、大分いい加減な演奏で、使い物にならないことが分かった。もう少し調べてみるとメータ指揮ミュンヒナーフィルハーモニカーのものがあった。流石に立派な音楽を奏でている。

あとはアカデミーの楽団で演奏される「ジークフリート牧歌」である。この曲も昔一度お勉強したことがある。初演地のルツェルンでの演奏会の為だったろうか。先日演奏を聴いていてもう一つ分からないところがあったので確かめてみなければいけない。そのアカデミー楽団が金曜日の演奏会でヘルマン・レヴィ楽団と名前を変更する様だ。(続く)



参照:
さしかかる転換点 2021-07-13 | 文化一般
ロストジェネレーション 2021-06-15 | 文化一般
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする