漸く投薬無しに喉の炎症が収まってきた。しかし最後の夜なのか咳が激しかった。それ程ではないが痰も出て、変な腫れ方は治った。当初の五日間よりも楽な感じだから直ぐに治ると思う。これで週末は大丈夫か。
幸い雨勝ちで湿気も高く、気温も摂氏二桁へと上がっている。これで劇場でも咳が出ないならば嬉しい。折角マスクを外してもハンカチで口を抑え込んでいる様では情けない。
日本では来秋の東京でのコンサートをキャンセルした演奏家が飛行機旅行拒否を理由に挙げたことから話題になっている。ドイツの音楽界ではその宣言を最初にした大物はミュンヘンの音楽監督ユロウスキーだった。ウクライナ侵攻前からモスクワでのポストを捨てて後任に譲り、今後ロシアでは当面仕事をしない、そして環境の為に止む得ない場合を除き列車で移動すると語っていた。野鳥の会の環境保護団体に属している特性からすれば当然の宣言であったかもしれないが、トレンドの一番乗りをするその先見の明がこの指揮者を芸術家としている。
ロシア情勢に関しては、作曲家の隣の席に座る母親の腹の中でショスタコーヴィッチの15番交響曲初演を体験していて、その家族ぐるみの関係からもソヴィエトロシアの名門芸術家家庭出身であり、彼の地のユダヤ人社会からのその情報源などは今でもピカ一だと思われる。ロシア芸術家のボイコット反対署名も率先して行い、私も末席乍署名させて頂いた。
ここでも再三言及しているかもしれないが、兎に角口が巧くて、その指揮よりもあまりに冴えているのが残念なのであるが、指揮者として世界の頂点に立つ音楽監督としてそうした知的な秀逸さは必要とされる要素である。特に音楽劇場の指導者としては、第一人者のティテュス・エンゲルが語るようにそうした高等教育は仕事に役立っているという様に、必要とされる素養なのである。序に言えば、教育も知能も低い指揮者はそんなことも分からないものだから、オペラの演出はなどと恥とも思わずに戯言をぶちまけている。無知とは怖いものである。
そのユロウスキーが11月の「エレクトラ」再演に先駆けて、近郊のテュツィンゲンで講演をして、個人的なことも語っている。我々と同じように壁が開く前の1989年にドイツに移住していて、ペトレンコと同じ状況である。但し双方の家庭環境には甚だしい差があって、実際にユロウスキー家の場合は弟は侵攻後もノヴォリビルスクに留まっている。要するに将来的にもロシアでも影響を持ち続ける可能性が強い。
母親はキエフの家庭出身で、その祖父はナチスドイツのバビヤールの1941年の大虐殺で亡くなっていると語っている。そして、ウクライナとの戦いは中東戦争のように今後長く続くと考えていて、容易ではないとしている。そしてロシア内部では敵を仮想する事での一体化が謀られて1930年代の米国でのレッドパージのようになるだろうと予想している。
抑々劇場や映画においてのプロパガンダは進んでいたのだがロシアの音楽界では影響は少なかったとしていて、それでも侵攻前に上の様に決断をしている。それでも侵攻自体は青天の霹靂であって、だから紛争が長引く予想も外れるかもしれないと期待している。
参照:
Erschreckend, wie sich Geschichte wiederholen kann, Robert Braunmüller, AZ vom 15.12.2022
バイロイトのアンデルセン 2020-08-11 | 音
独大統領の不可解な演奏会 2022-03-28 | 文化一般
幸い雨勝ちで湿気も高く、気温も摂氏二桁へと上がっている。これで劇場でも咳が出ないならば嬉しい。折角マスクを外してもハンカチで口を抑え込んでいる様では情けない。
日本では来秋の東京でのコンサートをキャンセルした演奏家が飛行機旅行拒否を理由に挙げたことから話題になっている。ドイツの音楽界ではその宣言を最初にした大物はミュンヘンの音楽監督ユロウスキーだった。ウクライナ侵攻前からモスクワでのポストを捨てて後任に譲り、今後ロシアでは当面仕事をしない、そして環境の為に止む得ない場合を除き列車で移動すると語っていた。野鳥の会の環境保護団体に属している特性からすれば当然の宣言であったかもしれないが、トレンドの一番乗りをするその先見の明がこの指揮者を芸術家としている。
ロシア情勢に関しては、作曲家の隣の席に座る母親の腹の中でショスタコーヴィッチの15番交響曲初演を体験していて、その家族ぐるみの関係からもソヴィエトロシアの名門芸術家家庭出身であり、彼の地のユダヤ人社会からのその情報源などは今でもピカ一だと思われる。ロシア芸術家のボイコット反対署名も率先して行い、私も末席乍署名させて頂いた。
ここでも再三言及しているかもしれないが、兎に角口が巧くて、その指揮よりもあまりに冴えているのが残念なのであるが、指揮者として世界の頂点に立つ音楽監督としてそうした知的な秀逸さは必要とされる要素である。特に音楽劇場の指導者としては、第一人者のティテュス・エンゲルが語るようにそうした高等教育は仕事に役立っているという様に、必要とされる素養なのである。序に言えば、教育も知能も低い指揮者はそんなことも分からないものだから、オペラの演出はなどと恥とも思わずに戯言をぶちまけている。無知とは怖いものである。
そのユロウスキーが11月の「エレクトラ」再演に先駆けて、近郊のテュツィンゲンで講演をして、個人的なことも語っている。我々と同じように壁が開く前の1989年にドイツに移住していて、ペトレンコと同じ状況である。但し双方の家庭環境には甚だしい差があって、実際にユロウスキー家の場合は弟は侵攻後もノヴォリビルスクに留まっている。要するに将来的にもロシアでも影響を持ち続ける可能性が強い。
母親はキエフの家庭出身で、その祖父はナチスドイツのバビヤールの1941年の大虐殺で亡くなっていると語っている。そして、ウクライナとの戦いは中東戦争のように今後長く続くと考えていて、容易ではないとしている。そしてロシア内部では敵を仮想する事での一体化が謀られて1930年代の米国でのレッドパージのようになるだろうと予想している。
抑々劇場や映画においてのプロパガンダは進んでいたのだがロシアの音楽界では影響は少なかったとしていて、それでも侵攻前に上の様に決断をしている。それでも侵攻自体は青天の霹靂であって、だから紛争が長引く予想も外れるかもしれないと期待している。
参照:
Erschreckend, wie sich Geschichte wiederholen kann, Robert Braunmüller, AZ vom 15.12.2022
バイロイトのアンデルセン 2020-08-11 | 音
独大統領の不可解な演奏会 2022-03-28 | 文化一般