
ゲロゲロがある店でカレーを注文した時、ビールを飲もうと思って頼んだら無いと言われた、と不満そうに言った。おかしいその店にはビールはあるはずなのにと思い、どういう風に言ったのか聞くと、酒はありますか?と聞いたと言う。酒だったら近くに酒蔵がいくつかあるのでそちらで飲めばとも言われたと聞いた時、完全に酒=日本酒と間違われていることに気付いた。要するに聞き方が悪かったわけだが、本人はそのことに関して全く認識できていない。盛んに店がおかしいというばかり。本人曰く、普通酒って言えばアルコール一般でしょ。それよりは普通はビールって言うだろう、だが、本人の普通が世間一般の普通であると疑わないゲロゲロが、この先も同じようなことを繰り返し、その都度おかしいと不満を言い続けるだろうことは容易に想像できる。

この前国の調査で、中学生だか高校生の一年間の読書数ゼロがナン十パーセントといるとかそんな結果が報告されてたが、自分自身そうだったので特別驚きもなかった。確か高校三年間で読んだ本は数冊だったのではないか。読んだ本も家にあった兎に角短い小説で、当然のこと面白いと思ったことは一度もなかった。一冊だけ覚えてるのは「野菊の墓」、これは自分で買ったのかもしれない。これも兎に角薄かった。父親からはうるさく読書をしろと言われていたにも拘わらずのこの貧弱な読書体験。
結局、自ら興味を持たないと身につかないという典型なのだが、それが始まったのは大学生20歳の頃。きっかけは遠藤周作のエッセイだったと思う。それを機にいろんな作家に興味を持ち、次から次と読むようになり読書は習慣化した。そんなのが十年くらいは続いたと思う。
そして次の段階。ちょっと難しいと言われる長編小説の世界に足を踏み込んだ。まずはトーマス・マンの「魔の山」。かなり感動して調子に乗って次は、世界で一番有名で一番読まれてないと言われるプルーストの「失われた時を求めて」。文庫本が月一(全十巻)で発行されるのに合わせて読んだ。多分あの時だから読めたと思うが、読み切ったことを含めかなり感動した。その後長編ではないがカフカに興味を持ち一通り読み、日本の作家志賀直哉や大岡昇平などを改めて読んだりと続き、徐々に読む頻度は低くなり現在に至る、といったところである。
ということでマイオールタイムベストテンには、間違いなくトーマス・マン「魔の山」プルースト「失われた時を求めて」カフカ「城」志賀直哉「暗夜行路」大岡昇平「レイテ戦記」は入る。

先日松本で、知り合いのほぼ同世代年下と電車でばったり。当然何しに?ということになり聞くと、草間彌生展を見に来たという。こちらの反応としては「嘘!」である。どう見ても(外見上)そういうのに興味があるとは思えない。見かけは田舎のおっさんそのものなのだ。今までの認識は冴えない唯の酒好きのおっさんであった。更に聞くと、年に数回は松本市美術館に通ってるらしい。人は見かけによらないというのはこのことだ。
そして更に驚いたのは、本人無類のロック好きという事実。ビートルズから始まりピンクフロイドなどのプログレッシブにはまり、それからハードロックと完全なるロック親爺であったのだ。ソフト関係に二三千万つぎ込んだと聞いた時には、思わず座席から転げ落ちそうになった。バブルの頃に稼いだ金を殆ど自分の趣味につぎ込んだらしい。そして今でもロックが好きでしようがないということだった。外見どう見ても演歌親爺なのだが、本当、人は見かけによらないものである。

やっと天気に恵まれた蓼科。毎年楽しみにしているヒメギフは完全に時期後れ(本来は四月終わりから五月初め)だったが、それでも殆ど黄色が消えて白っぽくなった褪せたヒメギフを一頭目撃。去年は目撃すらなかったので今年はこれで良しとする。
その後別荘地帯を歩いていると、アスファルトの上でへばってるカエルを発見。夏を思わせる天気でアスファルトは灼熱地獄、あっという間に干からびてしまう。実際アスファルト上にカエルの干物はよく見る。渡らなければ、と思うのだが、水場に移動するときに横断せざる得なくいざ出たらあまりの熱さに干物化ということなのだろう。忍びないので、葉っぱでそっとつかみ水溜まりに移動した。動きも弱かったので生き延びるかどうかは分からない。



偶々見たBSでやっていた番組が、ヨーロッパトレッキング紀行(初めて見る)というもので、今回はフランスのシャモニーだった。モンブランの基地的街は、所謂イメージするヨーロッパアルプスの街そのものだ。マムートショップは確認できた。実際モンブランに登った友人がいたが、確かまずはシャモニーに泊ったと言っていた。そしてホテルのレストランでチーズフォンデュを食べたが、どうにも匂いが駄目だったというようなことを言っていた。チーズの匂いではなく違う何かだが、それが何かが分からないとも言っていた。チーズフォンデュの匂いがどうのというのは、チーズ嫌い以外であまり聞いたことがない。考えられるのはキルシュワッサーの匂い。サクランボのブランデーを風味付けで使うから、それくらいしか思いつかない。当人はその辺りに詳しくないので飽くまでも想像だが。
と、シャモニーでそんなことを思い出した。それから番組内に登場した山小屋に止まっていた車がスズキジムニーだったのは驚き。フランス辺りでも使われてるとは思わなかった。