自転車で戻って来る途中、久しぶりに「レンタルビデ
オ屋」に寄った。
このところのビデオ屋に来るペースは、数ヶ月に一度
といったところ。
本当、最近はあまり観たいものがない。
ざっと棚を見渡すが、知らないタイトルが結構多い。
それだけ、最新作には疎くなっているということだ。
どちらにしろ最新作は借りないから、準新作の棚を集
中的に見る。
そこで決めたのが、コーエン兄弟の「ノーカントリー」
と、ティム.バートンの「スウィーニー・トッド」。
どちらもそれなりに話題になったはずだ。
一般的には、気楽に観るにはちょっと癖があるのかも
しれないが、こちらとしてはこのくらいでちょうど良
いと思ったのだ。
基本的には監督で選んでいるので。
それでまず、「スウィーニー.トッド」を観る。
知ってはいたが、これはミュージカル仕立て。
ミュージカルのホラーで、しかもスプラッターという
ところが目新しいといえば目新しい、のか?
しかし、知ってはいたが(自分のことなので)、ミュー
ジカルは映画のジャンルで言えば一番嫌いな部類。
過去、唯一例外的に面白いと思ったのは「オズの魔法
使い」のみである。
他のものは、最後までちゃんと観たことすらない。
そんな私の、久しぶりのミュージカル。
普通のミュージカルではないということも、ある程度
情報として入っていたので観ようという気になったの
だが、やはり、今回も、ミュージカルは駄目であると
いう再確認をする結果となってしまった。
映画そのもののトーンは、同じ監督の「スリーピー.
ホロウ」(これは結構好き)に似ている。
どちらもゴシックホラー的雰囲気だ。
陰鬱な天気しか描かれてなく、登場人物も殆ど不気
なのも共通している。
ミュージカル仕立てでなかったら、多分結構好きだっ
た、と思える。
しかし、題材が題材だから。
基本的には復讐譚。
それも、悲劇的な。
そこに猟奇的な要素が(殺した人間をひき肉にしてミー
トパイで食べさせる)加わるから、映画としてはえげ
つなさ過ぎるのかもしれない。
それを和らげるためにミュージカル仕立てにしたのか、
と想像するが、そもそも何故こういう映画を撮ろうと
思ったのか、ついそちらの方に興味が向いてしまうの
は、それだけ映画に集中できなかったという証である。
しつこいが、ミュージカルでなかったらなあ。
そうであれば、多分、耽美的な世界として受け取った
と思う。
ゲテモノ趣味と耽美主義、表裏一体だから、メジャー
な映画としての公開は難しいか。