例えば、人とどこのフランス料理屋が美味しいかという話になると、意見が一致しないことの方が多い。その理由の一つは、基準をどこに置いてるかというもの。好みの問題は常に付きまとうが、フランス料理ならば、日本化したフランス料理と本場のフランス料理どちらを基準にするかで大きく評価は分かれる。本場の味を知らない人の方が圧倒的に多いので、自ずからほとんどの人の基準は日本化したフランス料理となる。しかも、それぞれ住んでるところのフランス料理がそれぞれの基準となるので、東京にいる人と田舎にいる人では同じ日本化したフランス料理内であっても違うことになる。当然東京の方が基準値は高い。
個人的には外国料理は、イタリアンであれカレーであれ本場のものを基準とするのでなかなか人と一致することがない。だからこれは違うと確信をもって言ったりすると、それを美味しいと思ってる人から顰蹙を買うというかうるさがられることが多い。カレー、イタリアンは本場での経験はないが、本格派かどうかは大体分かってくるものである。
現地系カレーがあまり美味くない(作り置きでスパイシーさに欠ける)というのは重々承知でも食べる機会はある。昨日がそれ。そこは過去二回程食べている。今回はカレー二種(ダルカレーとバターチキン)とナンのセット。まずはダルカレー(豆カレー)。現地系のカレーは基本スープとか使わず素材の味だけで仕上げる(多分)。それでも十分美味い。特に豆の場合、豆の旨みが結構あるので尚更。しかしそこのは豆の旨みが感じられなく、当然のことスパイシーさもないので塩味しか感じられない。不味くはないが全く美味くもない。
そしてバターチキン。一口目でいやに甘い。過去に一回食べてるがここまで甘い記憶はない。そこで何の甘さかと考えてみると思い当たるのが見つかった。トマトケチャップだ。マンゴチャツネとか甘い調味料を使うのは別に問題ないが、ストレートにトマトケチャップ味というのは問題だろう。作り置きのベースのカレーの仕上げにトマトケチャップを入れてるのだろう。勿論スパイシーさのかけらもない。完全に幼児向けの味である。考えられるのは、あまり流行ってそうもないので、より日本人に受ける味はなんだということになってたどり着いたのがこの味。一言迷走状態。最初の頃から思っていたが、この店もあまり長いことなさそうだ。
人種差別が根強く残っている田舎の小さな町が舞台。そこで娘がレイプ殺人で焼き殺された母親が主人公。警察の捜査が進まないことに苛立ち、それに抗議するために大きな看板を三つ(赤字に白抜き文字で田舎には似合わず結構お洒落)出したことにより起こる騒動がその内容。しかしこの母親完全に常軌を逸し暴走する。殺された娘は娘で真面目ないい子ではなくバカ娘。別れたDV旦那は若い娘と暮らしている。警察官はこてこての差別主義者でしかも直情径行型。しかし上司である署長はかなりまともというか結構良い人。その署長に対しての母親は、権力に対して戦う闘士というより嫌な奴という立場のモンスタークレーマーに近い。だから、見てる人はこの母親にまず感情移入できない。よくある腐った権力機構に戦いを挑む正義の味方という分かりやすい構図の映画ではないのだ。むしろ母親の暴走ぶりをはらはらしながら見る映画と言った方が良い。見終わっても決してスカッとはしない。がちょっと希望は抱かせる。まあトランプが大統領になる国の実情が良く分かる映画、とでも言っておけば尤もらしくまとめられるかも。