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消費税10%は実現するのか?・・・決定権は財務省が握っている

2014-09-01 04:26:00 | 時事/金融危機
 

■ 消費税10%引き上げに、安倍総理の意思は関係無い ■

日本の政治は利益誘導型ですから、財務省の主計局に政治家は逆らえません。

ですから、安倍総理が増税に賛成か反対かなど議論しても仕方が無いのでは無いでしょうか。政治など所詮プロレスですから、「安倍首相は反対したが、消費税を増税せざるを得なかった」というポーズさえ付けば、消費税増税は財務省の意思で強行されるのでしょう。

財務官僚もバカではありませんから、消費税増税が経済にマイナスの影響を与え、かつ増税によって日本の財政が何ら改善しない事は我々よりも熟知しています。

それが分からすに「財務官僚はバカだから増税の悪影響を理解していない」などと言う人達は、ご自分の無知を言い触らしている様で見ていてこちらが恥ずかしくなります。(陰謀論者の私も十分に恥ずかしい存在ですが)

■ 消費税を増税するならば目的があるはずだ ■

では、何故、財務省は景気を犠牲にしてまで、消費税増税を強行する必要があるのか・・・?その理由を考える方が建設的ですし、私達の将来設計に有効かと思われます。

1) 日本の財政が最早日銀のファイナンスで支えられている
2) これは継続性は無いが、大幅増税による財政の強制改善よりは経済に優しい
3) 将来的には金利上昇で日本の財政は確実に破綻する
4) 金利を抑圧する為には経済の回復を減速する必要がある
5) 消費税増税は消費を長期に渡り低迷させるので経済に緩やかなブレーキを掛ける
6) 法人税の値上げは空洞化を加速するので、引き下げて雇用と税収を確保
7) 円安誘導でコストアップインフレを進行させ、スタグフレーションを作り出す
8) インフレの進行で実施的な債務を圧縮しつつ、不景気の継続で金利は抑制されたまま

日本の産業構造や人口動態が大幅に改善して、税収が飛躍的に拡大しない以上、財務省に残されたのは経済を犠牲にした財政の延命だけです。しかし、これとて何時かは破綻します。

■ ドル基軸体制をしばらくは支える必要がある ■

日銀が財政をファイナンスしている状況で、対外的には「財政再建の努力」という建前上、消費税増税は強行されるでしょう。

尤も、日銀の真の目的は米金利差を拡大して、日本の資金をアメリカに流す事。ゆうちょ、かんぽの資金が相当米国債に流れている様ですが、今後は年金資金のみならず、民間資金も金利差で米国に流出するはずです。

アメリカ経済の表面的な回復とは裏腹に、相当無理をして米国債の需給関係をバランスさせている様に思われます。今後、テーパリングの終了と米国金利上昇局面で米国債の需給関係へ大きなストレスが掛かります。特に、米国債金利の上昇は、低金利で発光された既存の米国債の売り圧力を高めます。

■ ドルの単独基軸体制の終焉が始まった? ■

米ロ、米中関係次第では、ドル基軸体制も大きく変容すると思われます。

中国は表向きに米国債保有を減らし始めています。(下手をすれば凍結されるので)。一方、中国の人民元は、香港でドルと交換される事で増え続ける事が出来るので、ドルも元も等しくペーパーマネーと化しており、元の価値を支える新たな体制が出来るまで、中国とてアメリカと完全に敵対する事は出来ません。

中国の外貨準備の少なからぬ額が使途不明となっています。一節には富裕層の外貨預金など統計に表れないマネーが原因とも言われていますが、ベルギーのユーロクリアーの米国債が急拡大している事などから、中国が秘密裡に米国債を買い支えていると私は考えています。

ダミー会社や中国政府以外の名義で中国は保有する米国債は、アメリカと中国の対立が決定的になった時に、米国債を攻撃する武器にもなります。

■ 長期的にはドルの一極支配は崩れ、日本とて影響は免れ得ない ■

ウクライナ情勢によってロシアがドル決済から締め出され、元とルーブルの繋がりが深くなりつつあります。これに、BRICSや反米諸国が乗れば、元がこれらの国々の決済通貨になる事も考えられ、将来的にはドルの一極支配は終わりを告げます。

ウクライナ情勢が世界の支配者が世界の変革に本腰を入れるのかどうかのリトマス試験紙ですが、ロシア軍が事実上、ウクライナ東部に侵攻したとすれば、中露とアメリカの対立は決定的になる可能性は低くは有りません。

ロシアが積極的に欧米と対立するならば、中国も歩調を合わせて、尖閣など領土問題を先鋭化さえて行くでしょう。そうなれば、アメリカは中国への経済制裁を発動せざるを得ません。中国は対抗してドルや米国債に揺さぶりを掛けるはずです。

■ 変わりゆく世界を財務官僚も日銀も知っているはず ■

この様な10年、20年のスパンの中で日銀や財務省も動いているので、4年周期の選挙対策でしか政策を語れない政治家と官僚達は見ている世界がそもそも違うのでは無いでしょうか?

そして、円はドルを裏から支える存在なので、ドルや米国債に大きな変化が出た場合、日本とて無傷では居られません。

「米景気回復」という報道の裏で、次の時代は着実に始まろうとしています。