船員 船長、船底に浸水があるそうです。少しずつですが水が浸入しています。
船長 今日は船荷が軽くて船が不安定だから私が先程バルブを少し開いた。様子を見よう。
船員 了解しました。水位が2%になるまで浸水は放置します。
船員 船長、浸水の速度が遅くなってなかなか2%に達しそうに有りません。
船長 それは困った。このままではスピードが出ない。もう少しバブルを開こう。
船員 船長、バルブを開いたのですが、海面に漂うオイルが邪魔して水が入りません。
船長 オイルはどうする事も出来ないな。このまま様子を見よう。
船員 船長、オイルが少なくなってきました。
船長 それは吉報だ。
船員 船長、大変です。オイルが剥がれ落ちたら浸水が激しくなって止められません。
船長 それは困った。船員を船底に集めろ。大急ぎでバルブを閉じるぞ!!
船員 船長、船底が既に水没してバルブに近付けません。
船長 それは困った。とりあえず、乗客を上部甲板に集めてくれ。
乗客 船長、いったい何が起きているのかね?
船長 ちょっとしたトラブルが発生して船底が浸水しましたが、
船はむしろ安定しています。
乗客 この船が大丈夫なんだろうな!!
船長 ご安心下さい。しばらくすれば水の勢いも衰えるはずです。
船員 船長、ネズミ達が海に飛び込み始めました。
船長 ネズミはいつも臆病なのさ。
船員 船長、乗客の一部が救命ボートを奪って船から逃げました!!
船長 かわいそうに、きっとサメのエサになるに違い無い・・・。
船員 船長、我々もそろそろ逃げた方が・・・。
船長 君、勇気ある船乗りは、船と運命を共にするものだよ・・・。
・・・・数時間後・・・・
船員 船長・・・溺れた乗客達の財布の中身が漂っています・・・・。
船長 諸君、時は来た。急いでかき集めたまえ!!
船長の名を「黒田」と言う。
『日本丸、異次元への航海』より20XX年X月X日の航海日誌を抜粋。