■ ヒャッハー!!となったボルチモアの黒人達 ■
アメリカ南部、メリーランド州のボルチモアで暴動が発生しました。黒人が警官に逮捕された後、脊椎を損傷して死亡した事件の抗議デモが暴動に発展したものです。
ボルチモアは元々治安の悪い街だそうで、暴動は一時手の付けられない状況になり、暴徒はパトカーを破壊し、略奪をし、建物や車に放火し、警官隊と衝突しました。警官の中には重傷者も出ていて、非常事態宣言が発令され、州軍が鎮圧に出動する事態に発展しています。
■ ネット系メディアは臨場感が高い ■
アメリカ大手ニュースの報道は、ヘリコプターからの空撮か、黒人記者が騒動を遠からレポートする内容が多いのですが、ネット系のニュースサイトは暴動の中に入って、黒人サイドからの視点の報道もしていて臨場感があります。
http://www.huffingtonpost.com/2015/04/28/baltimore-protests_n_7160006.html
「どこのイスラム国だよ?!」と思わせる光景ですが、これが現在のボルチモアの、そして近い未来のアメリカ各地の光景なのです。
■ 行き過ぎた資本主義は「自壊」する ■
リーマンショック以降、アメリカを始め世界の国々で貧富の差が拡大しています。中央銀行による金融緩和は、金融システムを延命させると同時に、資産を持つ者をますます豊かにしました。一方でバブル崩壊によって縮小した実態経済は容易には回復せず、貧しい者の所得は低下し、あるいは失業から抜け出せない人達が大勢います。
アメリカの雇用統計を見ていると雇用は回復していますが、平均所得は低下し、就職を諦めた人達が雇用統計からこぼれ落ちてゆきます。
こういった不満はマグマの様に次第にエネルギーを溜め、「警官による黒人の殺害」という事件が起きる度に暴動が発生し、そしてその規模は次第にエスカレートしています。
昨年8月にもミズリー州ファーガソンで大規模な黒人暴動が起きましたが、これらの暴動の映像が繰り返しTVニュースで流れる度に、貧困層の中に怒りのエネルギーが高まって行くのでしょう。
多分、「次なる金融危機」が発生したならば、アメリカ各地で似た様な暴動が発生し、もしデモ鎮圧で複数の死者が出る様な事態になれば、警官隊と暴徒との間の銃撃戦が起こるかも知れません。そうなれば、全米各地が内戦状態になり、米国債やドルの信用が一気に失われる事になるかも知れません。
なんだかNEVADAブログの煽り記事の様な書き方ではありますが、アメリカの警察は軍の中古の装甲車などで重武装化しており、逮捕状を取らなくても逮捕が可能になるNDDA法(国防権限法)の施行など、アメリカ国内では大規模な暴動を想定した準備が着々と進められています。
議会制民主主義や選挙といった民主主義の「形式」は本当の民主主義を実現する事はできませんが、古来、革命や暴動の発生においてのみ、国民は一時的に国家に勝利し、民主主義を実現しています。
マルクスが指摘した通り、資本主義の末路は貧富の差の拡大による「暴動」による国家崩壊ですが、フランス革命の時代から「中東の春」に至るまで、何度となく繰り返されています。
■ 2017年問題 ■
最近、欧米を中心に話題になっているのが「2017年問題」です。
1987年 ブラックマンデー
1997年 ITバブルの崩壊
2007年 サブプライムショック
見事に10年周期でバブル崩壊を繰り返すアメリカですが、次なる危機は「2017年」に起こるのでは無いか・・・そう囁かれ始めています。
私達は平和な時代に慣れ過ぎてしまい、国家と国民が対立する状況など想像も付きませんが、自由と民主主義の国アメリカでは、一部の国民が「ヒャッハー!!」となる事で、国民の本当の力を示す日が来るのかも知れません。