■ 三文オペラ ■
ロイターのプーチンの娘の記事を読んでいて『三文ゴシップ』なる椎名林檎のアルバムタイトルがふと頭をよぎり、さらに『三文オペラ』へと連想ゲーム。
久しぶりに聴きたくなってネットで動画を検索していたら、日本語訳が付いていました。『マック・ザ・ナイフ』って『ドスのマック』って訳されているのですね。ちょっと意外でしたが、歌詞の内容を見て納得。・・・・こんな歌詞だったんだ。
■ ハル・ウィナーとクルト・ワイル ■
私が学生時代を過ごした80年代は、今思えば刺激的でした。「価値観の並列化」というか「面白ければ何でもアリ」といった「価値観の崩壊と再構築」が世界的に流行した時代とも言えます。
60年代、70年代という「暑い反骨の時代」はロック・ミュージックという一大ムーブメントを作り出しましたが、「ロックは死んだ」なんて言葉と共にロック本来が持っていた「反骨的」な精神は後退し、一方でMTVを始めとしてロックが商業化して本来の魅力を失って行く時代でもありました。
そんな80年代のミュージック・シーンですが、グスタフ・マラーの再評価が起きたり、NYアンダーグランドではグツグツの実験音楽のセッションが繰り広げられていたりと面白い事が沢山起きていました。
そんな「何でもアリ」の時代の空気を最も体現していたのがハル・ウィナーという音楽プロデュサーだったと思います。
大学に入学して「背伸び」していた当時の私は(今もですが)、生協主催のLPレコードの中古市でレコード・プレーヤーも持っていないのに、ハル・ウィナーのLPを買いました。(同時に買ったのはレオ・フェレとジョルジュ・ブラッソンだったか・・・勿論ジャケ買い)
今を思えば、このLPが私とアンダーグランドミュージックとの最初の接点だったのですが、LPプレーヤーを持っていかった当時の私は、ジャケットを眺めて「どんな音楽が入っているんだろう」と想像を巡らす日々でした。
その後、ジム・ジャームッシュの映画にどっぷりハマって、そこからMYアンダーグランドシーンのミュージシャンを知るうちに、くだんのLPのアーティスト達がアンダーブランドシーンのミュージシャンだと知りました。
後にCDで買い直した『クルト・ワイルの世界~星空に迷い込んだ男』を聴いて私はショックを受けました。だって、ギンギンのアヴァンギャルドロックだろと想像していたCDからは、何とスタンダード・ソングが流れて来たからです。
実はこのアルバム、アメリカの音楽プロデューサーのハル・ウィナーがアンダーグランドシーンのミュージシャンを起用してクルト・ワイルの音楽を演奏させた企画物だったのです・・・。
上の『スラバヤ・ジョニー』はスラップ・ハッピーのダグマー・クラウゼ。ドイツ人の彼女が英語で歌っているのがミソ・・・。
こちらはカーラ・ブレイ。アルバム・ジャケットで拝見するおみ足にホレていました・・・・。
これはミック・ジャガーの恋人だったマリアンヌ・フェースフル。
[[youtube:6wNun-xfwcA]]
出ました、ジョン・ゾーン。当時も今もビックリしちゃうトラックです。
このアルバムのはハイライトはル・リードの『セプテンバー・ソング』でしょう。
■ 80年代のクルト・ワイルの再評価 ■
クルト・ワイルはドイツの作曲家( 1900年3月2日 - 1950年4月3日)。ブレヒトとの作品『三文オペラ』で一躍有名になりますが、ユダヤ人であった事から活動の場を奪われ、アメリカに渡ります。渡米後の彼はミュージカルの作曲家になり数々の作品を残します。
ミュージカルが、オペラ、オペレッタから大衆化した事を考えれば自然な成り行きですが、アメリカのミュージカルの発展に貢献した彼の功績はあまり評価されていませんでした。
「何でもアリ」の80年代の空気に、マーラやクルトワイルといった作曲家達はフィットしたのか、或いは時代が一巡して彼らがフューチャーされる時が到来したのかは良くわかりませんが、ハル・ウィナーに限らず、クラシック界からもクルト・ワイルを再評価する動きが現れます。
■ テレサ・ストラータのクルト・ワイル名曲集 ■
クラシック界でクルト・ワイルの再評価の切っ掛けを作ったのはテレサ・ストラータスでしょう。NYメトロポリタンオペラの美人歌姫はドイツの作曲家の作品を取り上げる事が多かった様ですが、彼女はクルト・ワイルも積極的に録音しています。
そのアルバムジャケットがあまりクラシックっぽく無かったからか、彼女のワイルの名曲集は当時世界的に大ヒットしたと記憶しています。
今、25年振り位に聞き直すと・・・・懐かしい・・・。
クルト・ワイルの楽曲って、キャッチーでメランコリックですよね。
と、ここまで散々書いていながら・・・『三文オペラ』も『七つの大罪』も見たことが無い・・・。
本日はいい加減な音楽記事でした。オペラ・ファンから怒られちゃいますね。
あれあれ、記事のタイトルにあった「メディアと世界」は、どこに行ったの・・・。
http://jp.reuters.com/article/2015/11/13/analysis-putin-daughters-idJPKCN0T20LA20151113
ロイターの上の記事から察して下さい・・・。
この記事の中でプーチン大統領の娘さんが世界大会で5位に入賞したという「アクロバット・ロックンロール・ダンス」なるもの動画を見てみました。ロックに乗って踊る「コサック・ダンス」みたいで面白い。
[[youtube:wA7sQ-r231M]]
ドイツのクルト・ワイルがアメリカでミュージカルの発展に貢献し、アメリカのロックミュージックがロシアで受け入れられる・・・・。ギクシャクした国際関係とは別の次元で、文化を生みを超え、国境を越え、国家の対立を超えて浸透して行きます。素晴らしい事ですね。