
■ 日本一早い初日の出 ■
皆様、新年あけましたおめでとうございます。
本年も、「人力でGO」を楽しんでいただけると幸いです。
はてさて、すっかり「陰謀経済論ブログ」と化してしまった当ブログですが、本来の目的は人力(ランニングや自転車)で行った先々の思い出を記録した忘備録的でした。
ですから、毎年1月の最初の記事は初心を忘れない為に「人力初詣」と決まっています。ランニング50Kmで成田山に行ったり、はたまた自転車で箱根駅伝から逃げながら国道1号線の最高地点を目指したりして来ました。
ここ2年程は、1月2日の箱根駅伝から自転車で逃げるという遊びをしていましたが、参加される方が増えたので、大手町を7時15分に出発した昨年は、戸塚から先はひたすら先行する自転車を追い抜く事の繰り返しでした。その度に渋滞する車道側に出る訳で、これでは自動車の方にも申し訳無いと言う事で、今年からは箱根駅伝から逃げる遊びは止めにする事に。
それで色々考えた末に選んだのが、「日本一速い初日の出を人力で拝みに行く」という企画。
ところで、日本一早い初日の出が何処から昇るかご存じでしょうか?
日の出は東に行く程早く、同じ経度ならば南に行く程早い。離島も含めれば、南鳥島になるらしいのですが、ここは流石に人力では無理。離島を除くと、富士山頂が一番早いのですが、これも厳冬期はベテラン登山家で無ければ無理。
その次に早いのは本州の東端、犬吠埼ですが・・・・「おーと、待った」と言っている町が有ります。千葉県鴨川市の安房天津です。この町には千葉県で2番目に高い「清澄山」があります。標高はたったの377mですが、この高さが効いて犬吠埼よりも2分早い6時44分に初日の出が昇ります。
そこで今回の「人力初詣」は自転車で清澄山へGO!!
■ 初日の出を見る為には、夜中に走るしか無い・・・ ■
ところでここで問題が発生します。初日の出を見る為には夜中に自転車を走らせなければなりません。まあ、普通に酔っ払いのオヤジもやっている事なのでどうって事無いのですが、清澄山には「山道」を登って行く必要が有ります。外房に出て海沿いを走り、海側からヒルクライムすれば道幅も広く安全です。
しかし・・・初日の出には暴走族がセットになっています。少なくなったとは言え、海沿いを走れば彼らに遭遇する可能性は少なくありません。同じ車道の左側を走る者同士、仲良くしたいのですが(彼らは・・・蛇行して道幅全部使っていますが)、出来れば避けたい・・・。
海沿いのルートを避けるとなると、山を突っ切るしか有りません。養老渓谷から養老清澄ラインで裏側から清澄山に登るコースが最短です。但し、七里川温泉から先は完全に1車線の山道。道の片側は小櫃川の崖が続きます。
ブルベを走られる方には「当たり前田のクラッカー」ですが、夜間走行に慣れていない私にはチョット怖い。どうしようかと迷いましたが、昨年明るいLEDランプも買ったので、このルートにチャレンジします。
■ 寒さに耐えられるのか・・・ ■
実は問題はもう一つあります。私は手足が冷え易いのです。
自転車で走っている時は体は汗が出る程暖かになりますが、風に晒される指先と爪先は氷の様に冷たくなります。昨年から色々寒さ対策はしているのですが、どうしても指先だけはチギレそうな程冷たくなります。
そこで、万全の対策の為に新兵器を購入しました。

パールイズミ プレミアム・ウィンドブレーク・グローブ

パールイズミ プレミアム・シューズカバー
冬用グローブとトゥーカバーは昨年新調したばかりですが、5℃を切る様な気温ではほとんど役に立ちませんでした。そこで、今年は0℃対応にしてみます。
カステリとか、クラフトとか輸入品にはデザインの良い物がありますが、実用性は日本のパールイズミには敵いません。シューズカバーは脱着が楽ですし、使い捨てカイロを入れるポケットも付いています。グローブはそれぞれの指が立体縫製になっていて、ハンドルを握り易い。これ、ロングライドでは重要で、硬いグローブは長時間の走行では指が攣ります。
■ 最大の難関は・・・美酒だった・・・ ■
万全の準備をして挑む「初日の出ライド」ですが、最大の難関が待ち構えています。それは「美酒」です。
毎年我が家は、子供の保育園時代の友人家族が集まってカウントダウン・パーティーをしています。国籍も色々な人達の集まりなので、珍しい食べ物や、美味しいワインがテーブルに並びます。
だいたい夕方6時頃から11時まで飲んで食べて、それから近くの神社に初詣に行くのが恒例となっていますが、鴨川まで余裕を持って出発する為には10時にはパーティーを抜けださなければなりません。美酒の誘惑にも打ち勝たなければなりません。
案の定、パーティーのメンバーは「夜走るなんて危ないよ」と心配気してくれます。さらに「飲んじゃおうよ、そうすれば自転車乗れないから」などと、悪魔の様に囁いて、私のグラスに大吟醸酒や、ワインを注ぎます。
結局、ちびちび飲んで、水も一緒にガブガブ飲んで酔わない様に気を付けながら、後ろ髪を引かれる思いでパーティーを後にしました。
■ 寒いじゃないか!! ■
本日は夜間走行ですし、初日の出見物の車が渋滞している場合はドブ板の上の走行も有りうるので、ブロックタイヤのマウンテンバイクで出動します。ドロップハンドルに魔改造したラレー君です。
アンダーアマーの極暖インナーの上から、X2Uのサブゼロウェアーを着込むと、家の中では汗が吹き出します。10時30分に浦安を出ましたが、気温は比較的暖かく8℃。ウエアーのジッパーを下げて走行する温度です。手足の防寒は完璧で、特に足はカイロも入っているのでコタツの中みたいにポカポカです。
11時50分にコンビニに飛び込んで、年越し蕎麦を食べます。レッドブルも投入して、眠気に備えます。
コンビニを出ると、気温がグウッと下がった様です。風向きが少し向い風になりました。千葉市街に入ると冷気の塊りが有るのか気温が一気に下がります。指先の感覚が無くなってきます。・・・おいおい、0℃対応のプレミアムじゃなかったのかよパールイズミさん・・・。
こんな事もあろうかと、昨年購入したネオプレーンの靴下を取り出しま、グローブの上から被せます。足裏側を切り取っているので、ブレーキ操作は問題有りませんが、冷気は侵入するので防寒は気休め程度ですが、無いよりは幾分マシです。
■ 暗さ対策は完璧 ■
夜間走行は暗くて危険なのでLEDライトは2個用意しています。

街灯の有る道路は、乾電池式の400cd(15ルーメン)タイプを使用します。CAT EYEの定番「HL-EL140」です。一般道では数メートル先の明るさが確保できれば問題は有りません。予備の乾電池を準備すれば、電池切れにも対応出来て安心です。
そして、山道用にはドイツのLEZYNE社の「POWEWR DRIVE XL]を使用します。

こちらは600ルーメンと40倍の明るさが有ります。但し充電式なので電池切れが心配です。七里川温泉から先の細くて真っ暗な山道まではなるべく温存です。ちなみに600ルーメンがどの程度明るいかネットから写真を拝借します。

ちょっとしたバイクのヘッドライト並ですが、点灯時間は1時間30分が限界。
上総牛久から養老清澄ラインに入り、街灯はカーブや交差点の点在するのみとなりますが、400cd(15lm)のCAT EYEで問題無く走行出来ます。但し、暗然の為に25Km/h以上は出しません。(ブロックタイヤだから出ないと言った方が正しいかも)
七里川温泉から、満を持してLEZYNEを点灯しますが、LOWモードでも十分に数10m先まで見通せます。真っ暗な山中を走行している恐怖感は一切有りません。むしろ明るすぎて、夜間走行のスリルが無さ過ぎ・・・。
■ 5時に清澄寺に到着 ■

ゆっくり安全に走りましたが、5時に清澄寺に到着しました。日の出までは1時間40分以上有ります。

空は未だ真っ暗。月と満天の星が輝いています。

元旦だというのに境内はほとんど人が居ません。テキヤのおじさん達が暇そうにしています。娘に聞いたら、鴨川の人達は元旦の0時に初詣に行くという習慣は無いそうです。夜が明けてから出かけるのだとか。

早々に本堂で初詣を済ませ、土産屋で熱燗をチビチビやりながら時間を潰します。
■ 雲が・・・ ■
「6時頃には展望台に行かないと場所が無くなるわよ」という土産屋のお姉さんのアドバイスで、早めに店を出ます。先ほどまでは閑散としていた境内は、展望台へ向かう人達が列を成しています。

清澄寺は日蓮上人が法華宗を開いた(立教開宗)聖地です。展望台には熱心なご信者さん達が、「南無妙法蓮華経」とお題目を唱える声がセミの合唱の様に響いています。
一般の方も多く、土産屋で一緒になった若者4人のグループは、私の実家の隣駅の東船橋から毎年車で来ているそうです。

6時30分を過ぎると空もだいぶ白んで来ます。しかし・・・・あの水平線辺りにモクモクとしているのは雲でしょうか・・・。

結局、「日本一早い6時44分の初日の出」は雲の中。太陽が現れたのは6時56分頃でした。雲の上に一際まばゆい光が現れた時には歓声が上がりました。

初日の出に赤く照らされた日蓮上人のありがたいお姿です。
太陽が完全に雲の上に出ると、集まった人達は一斉に帰り始めます。寒いのです・・・。
私は沢山着込んでいるので寒くはありませんが、眠くなる前にダウンヒルを済ませようと帰りを急ぎます。私達とすれ違いに、大勢の人達が続々と初詣にやってきています。

海まで350mを一気に下り、安房天津の町中に入ります。国道の交差点には・・・「ようこそ、初日の出日本一のまち」の文字が。
■ 波も無く穏やかな正月の海 ■


鴨川の海は波も無く穏やかでした。
娘は友人と海岸で初日の出を見た様ですが、山頂よりも4分程遅かった様です。それでも大勢の人達が前原海岸に集まっていたそうです。
??何故、元旦に娘が鴨川に居るかって?バイトです。
実は娘はアパートの近くの旅館でバイトしていますが、旅館の年末年始は忙しい。イケスのイセエビを網ですくう事も出来る様になった娘は、年末年始は貴重な人手となっているようで、お年玉に釣られ、帰省せずにバイトに明け暮れています・・・。
元旦早々、オヤジが来るのはウザイと言われそうですが、雑煮を用意して待っていてくれました。お礼に寿司をおごりました・・・。
「日本で一番早い初日の出」も拝めた、今年も元旦から縁起が良いようで。
皆様、今年も「人力でGO」を宜しくお願いいたします。