■ 大多喜の銘菓「十万石」をゲットする為に大多喜へGO!! ■
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
私の今期イチオシの『アクションヒロイン チアフルーツ』。何の取り柄も無い平凡な地方の街を「ご当地ヒロイン」で活性化する為に立ち上がった9人の女子高生の話ですが、昭和40年代の特撮ネタが随所に隠されていて50代のオタクを狂喜乱舞させています(多分)。
第六話で最後のメンバーのピンクが加入して、いよいよ彼女達の快進撃が始まると思われますが、私はチラリと画面に映った「お菓子」にビビビ!と来てしましました。いえ、効果音としては「キュイーーン」って感じですかね、ニュータイプの・・・。
これ、チアフルーツの聖地、千葉県大多喜町の銘菓「十万石」じゃないですか。これは、リアルの「十万石」を手に入れろというミッションに違いありません。
そんな訳で、気温30℃、湿度90%の中、自転車で行って参りました。大多喜へ。久しぶりに熱中症寸前で視界が白く霞みました・・・。
■ 先ずは大多喜城へGO! ■
「大多喜聖地巡礼」は以前記事にしているので、本日は観光が目的。
『アクションヒロイン チアフルーツ』・・・千葉県大多喜町 聖地巡礼 2017.07.09 「人力でGO」
チアフルーツの舞台となっている千葉県立大多喜高校は、大多喜城の二ノ丸に位置しています。校内にはかつて二ノ丸に在った「薬医門」や、「大井戸」が残されています。
実は大多喜高校の裏から本丸へと登る道が在ります。かつてはここが二ノ丸から本丸に通じる道だった。ところで、自転車は?と気になっている方もいらっしゃると思いますが、モチロン「担ぎ」です。山城が絡むといつも担いで登っている気がしますが・・・。
本丸への道の途中から大井戸を見下ろすと、何やら派手な格好をした人達が居ます。「ロケハン」という言葉が聞こえて来たので、映画のロケハンをしているらしい。大多喜町は映画での地域振興を推進していてロケを盛んに誘致しています。
助監督?らしき人は(派手なシャツにロングブーツ)は何故か顔が「白塗り」。まさか清水崇監督の『呪怨』シリーズの新作か・・・?
道は上に行く程傾斜がキツクなり、最後は石段になります。
キツイ、キツイとネットで書かれていたので、かなり登るのかと思ったら、あっさりと本丸に到着しました。
現在の天守閣は天保6年(1835年)の図面を元に昭和50年に鉄筋コンクリートで再建された「ナンチャッテ天守閣」。中は「千葉県中央博物館大多喜城分館」になっています。
展示は甲冑や刀剣を中心に、なかな充実しており、今話題の「刀剣女子」が熱心に日本刀に見入っていました。
大多喜城1521年に千葉県南部を支配した真里谷(まりやつ)武田氏の真里谷信清が「小田喜城」として築いたのがはじまりとさています。その後、里見氏の勢力下となりますが、江戸時代に徳川四天王の一人「本多忠勝」が10万石の領主として入城し、城下を整備します。忠勝はその後、関ケ原の武勲が評価され伊勢桑名に10万石で配置替えとなり、大多喜は5万石で次男の忠朝に残されます。
2代目城主、本多忠朝も勇猛な武将で、関ケ原の合戦では長槍をもって敵に恐れられますが、大阪冬の陣においては酒を飲んでいて不覚を取り家康に叱責されます。汚名返上の冬の陣では毛利軍に正面から挑みますが、惜しくも打ち取られてしまいます。
大多喜城の展示の中には真田氏の活躍を描いた『難波戦記』が展示されており、この中にも本多忠朝の雄姿が描かれています。
展示室最上階には、かつての大多喜城とその周辺を再現した模型が展示されています。江戸時代の地方の城下町に規模って、こんなに小さかったのです。
写真を撮り忘れましたが、ブルーの戦士の青山勇気ちゃんが、歌っていたのも天守閣の下。ここから大多喜の街が一望できます。
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
ちなみにブルーの戦士「セインブルー」が何故メキシコのモレロス州クエルナバカ市からやって来た設定になっているか?
それは大多喜町の姉妹都市になっているから。1609年、御宿の海岸で座礁したドン・ロドリゴ総督率いるメキシコ船一行を、当時の城主、本多忠朝が歓待し、幕府が帆船を手配してメキシコに送り返した史実に由来します。
■ 「十万石」をゲット ■
大多喜城を後にして、本日のミッションを達成すべく、城下に移動します。先ずは前回撮り損ねたマンガ家「つげ義春」が滞在して「紅い花」などの構想を得た宿の「恵比寿楼」に向かいます。恵比寿楼は廃業して久しいのですが、当時のままの姿で未だ残されています。
その恵比寿楼からすぐ近くに、本日の目的地である「最中 十万石本舗」が在ります。
今週放映された6話でグリーンの緑川 末那が「商店会からの差し入れです」と生徒会室に持って来たアレです。
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
「十万石」はズッシリと重たい程のアンコが最中の中に入っていますが、甘さはさっぱりしているので、家内はペロリと完食していました。
お湯で溶いて、お餅を入れてお汁粉にしても良いと書かれていますが、たしかにアンコの量は十分です。
実は本日は聖地巡礼中と思しき若者を数人見かけましたが、何人かの方は「十万石」の包みを手に提げていました。
店員さんに「今日、若いお客さん多くないですか?」と伺ったら、「本当ねえ、今日、若い方多いですね。」とのお答え。やはり・・・。
これは是非、原因をお教えしなくてはと思い「実はこのお店の最中、アニメの中で登場したんですよ。」と伝えると、「エー、アニメ・・・どんなアニメなの?」と質問されました。「若い人向けの深夜アニメですよ。TBSで深夜3時から放映してます」と答えておきました。50歳のオヤジがタイトルを口にするのは少し恥ずかしかったので・・・。「大多喜が舞台ですよ」と付け加えます。
実際に作中で「大多喜」という名は使われておらず、大多喜町ともタイアップしている感じはしないのですが、娘の大学の同級生の大多喜出身の子は、チアフルーツを知っているみたいです。まあ、普通の大人が観たら、面食らっちゃうような作品ですが、大多喜城や大多喜高校が描かれているのを見て地元の人も悪い気はしないでしょう。ただ、「ありふれた衰退する地方都市」という設定に抵抗が在るかも知れませんね・・・。これから地域振興で盛り上がるのだから良しとして下さい。
■ にわか「撮り鉄」に変身! ■
聖地巡礼、最期の場所は「最重要スポット」の「いすみ鉄道・大多喜駅」。
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
4話からは、この駅のホームがチアフルーチの公演のステージになります。
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
一方、チームの副キャプテンの生徒会副会長の家(部屋?)が在るのも大多喜駅の構内。彼女、黒酒 路子の父親は駅長らしい。
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
『アクションヒロイン チアフルーツ』より
実際に駅の風景はこんな感じです。
そして、何と、路子ちゃんの部屋も、本当に在ります。これ、国鉄時代の名ディーゼル車両の「キハ」を待合室として使っているんですね。
実はいすみ鉄道は「キハ」の車両を売り物にしています。いすみ鉄道が保有するのはキハ52、キハ28、それと久留里線から買い取ったキハ20。いずれも初期の車両が多く、動体保存的な価値から鉄道マニアの心をくすぐります。「レストラン・キハ」として特別に運行したり、お土産に「キハカレー」を売り出したり。
いすみ鉄道の前身は国鉄「木原線」。当初は内房の木更津と外房の大原を結ぶ房総半島横断線として計画されましたが、筒森をトンネルで抜けるルートが難工事となる為に計画を変更して上総中野で私鉄の小湊鐡道と接続する事に。
赤字ローカル線として廃線が決まっていた木原線ですが、高校生や老人などの交通手段が無くなってしまうので、地元で存続運動が高まり、第三セクターの「いすみ鉄道」となります。しかし、経営は苦しく、地元の支援と、様々な「グッズ販売」が経営をサポートしています。
キハ・カレーの他にも、銚子電鉄の真似みたいな「ぬれ煎餅」や、手ぬぐい、ポスター、DVDなど、鉄道マニアの心をくすぐるグッズが沢山在ります。
■ 房総横断ローカル線の旅 ■
ここからは、にわか鉄道マニアになって、夷隅川沿いを走るローカル線の旅を満喫します。外房大原に抜けようかとも迷いましたが、「いすみ鉄道→小湊鐡道」という「房総横断ローカル線の旅」を楽しむ事に。
乗車した車両は1両編成のディーゼル車。車窓からは山間の景色が楽しめますが、切通しの幅が狭く、列車の窓ガラスを木の枝が擦る程・・・。
終点の上総中野の小湊鐡道に乗り換えます。
小湊鐡道は当初、内房の五井から外房の安房小湊を結び房総半島中央部を縦断する路線として計画されました。安房小湊に行かないのに路線名が「小湊鉄道」なのはその為。結局、清澄山系をトンネルで抜ける事を断念して上総中野止まりに。
小湊鉄道では「キハ200型」が主力車両。まだ現役で14両がバリバリ働いています。小湊鐡道は千葉県の私鉄としてはトンネルが多い路線です。里見辺りまでは、山の中をグラグラ揺れながら走るので、結構スリルが味わえます。
五井駅に着くと、空がにわかに暗くなり、大粒の雨が降って来ました。最中を買ってしまったので仕方なくの輪行でしたが、それが幸いしました。
ところで、大多喜町に興味を持たれた方は、9月30日~10月1日に行かれる事をお勧めします。「大多喜 お城祭り」が開催され、武者行列が街を練り歩きます。その中には「初代・仮面ライダー」の藤岡弘さんの姿もあるはずです。
特撮アクションヒロインで町興しを狙う大多喜町に・・・なんと初代ライダーがやって来る。これも何かの縁なのでしょうか。
ガンバレ大多喜町、ガンバレチアフルーツ。この町を救うのは君達だ!!
<注意>
『アクションヒロイン チアフルーツ』は大多喜町とは全然関係の無い作品です。作中の寂れた地方都市の名前は「陽菜野市(ひなのし)」であり、実際の大多喜町は、江戸時代の城下町の風情を残す特徴的な街です。
くれぐれも「わが町が寂れた地方都市とはケシカラン」とお怒りになられない様にお願いいたします。でも、このアニメが大ヒットしたら、大多喜町は大洗町の様に「聖地」として沢山の若者を集めるかも知れません。ガンバレ『チアフルーツ』。負けるな『聖果戦士ヒナネクター』。