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トランプというインフレ抑制装置・・・金利上昇を封じる政治不安

2017-08-25 11:34:00 | 時事/金融危機
 

■ 公約を実行出来ないトランプ政権 ■

トランプ大統領の登場は市場を混乱させると予想されていましたが、昨年の大統領選挙の直後からはトランプ・ラリーと呼ばれる市場の好転が続きました。

これはトランプがメキシコの壁の建造で公共投資を拡大したり、或いはさメイドイン・アメリカの復活で国内の景気が上向くと、市場が勝手に予測した為の起こったリスクオンの現象です。

同時に米国債金利の上昇(価格の下落)と、FRBの利上げベースが早まる事を予測して、米国債金利は上昇しました。


ところが、トランプ大統領誕生から半年以上経った今も、トランプは公約のほとんどを実現出来ず、政権内の内紛の結果、アメリカ至上主義や白人至上主義的な意見を持つスタッフが政権から去り始めています。

■ トランプ大統領が抑制する米国金利 ■

FRBは景気拡大の速度が減速しているとの見方を示しており、市場は利上げペースも鈍化すると予想しています。

米国債金利は上昇から下落に転じ、インフレ率も鈍化しています。

アメリカの景気はリーマンショックからの危機を脱した後は、好循環期に入り、新政権がトランプよりも信頼感が在る大統領に率いられていたら、金利の上昇ペースは現在よりも早くなっていたでしょう。ところが、政治に素人のトランプが色々引っかき回すから、政治不安から景気の拡大が鈍化した。

これ、見方を変えると「トランプがインフレや金利を抑制している」と考える事が可能です。

現在の金融市場はFRBの利上げペースばかり気にしています。利上げが早まる雇用の回復やインフレ率の上昇を市場は嫌います。

トランプが米金利を抑制するのなら、FRBも利上げペースをコントロールする余地が生まれ、拙速な利上げでバブル崩壊の引き金を引く役から暫く逃避出来ます。

・・・実はFRBや金融業界にとって、意外にもトランプは使い易い人材なのかも知れません。

■ ボラティリティーを生み出す大統領 ■

市場は、崩壊こそ望みませんが、ボアティリティーの消失も嫌います。

ところが、ハチャメチャなトランプの言動は、市場を揺さぶる事で、適度なボラティリティーを生み出しています。

今回もトランプが債務上弦問題を政治カードとする事で、市場は動揺しボラティリティが拡大するはずです。もう、ここら辺はウォール街との阿吽の呼吸で進行している様に思えてなりません。

実はトランプ氏、結構な「役者」なのかもしれません。


2期工事を含めた延床面積1万坪では無いのか?・・・嘘の上塗りはバレる

2017-08-25 10:22:00 | 時事/金融危機
 
お詫び

いくつか、内容に不備がありましたので、訂正しています。


■ 建築費は2期工事も含めた金額で、建物周辺の整備費も含む ■

「建築費の坪単価が通常の鉄骨造の建築費の2倍程度に水増しされているのでは無いか」との指摘に対して、加計学園側が次の様に反論しています。

1)建築地192億円は、1期工事、2期工事を合わせた金額
2)建物周辺の整備費を含めた金額
3)獣医学部の設備は通常の建物よりもコストが高い

そこで、実際に加計学園の建築の坪単価を1期、2期合わせて出してみましょう。今は削除されていますが、今年4月の建築新聞通信の記事に、床面積が出ています。





「建築新聞通信」 2017.04.11 記事より引用

加計学園/岡山理科大今治キャンパス1期/大本、アイサワで着工
[ 2017-04-11 10面 ]
 加計学園(岡山市北区)が愛媛県今治市に計画している岡山理科大学獣医学部(今治キャンパス)について、
第1期工事に大本組とアイサワ工業の施工で着手した。2018年3月末までに1期工事を終え同4月の開学を予定する。
同6月ごろから第2期工事を進め、最終的に19年3月末までに終える。設計はSID創研・大建設計JVが担当した。
2期工事は大本組が担当する。総事業費は約192億円を見込む。
 キャンパス敷地(約16.8ha)をA、B、C、Dの4区間に分け整備する。
校舎など配置するAとBの施設を大本組、道路を挟んだCとDの施設をアイサワ工業が施工する。
 A・B敷地には、獣医学部棟(S造7階建て延べ約1万3600㎡)、
管理棟(同4階建て延べ約4900㎡)、獣医学教育病院(同約7600㎡)を建設するほか、
2期工事で大講義棟(同2階建て延べ717㎡)、大動物実習施設(同平屋建て1220㎡)を整備する。
 C敷地には駐車場、D敷地には体育館(同2階建て延べ2800㎡)、グラウンドなどを整備する。
 建設地は今治新都市第2地区(今治市いこいの丘)。
 同学部は国家戦略特区の事業として認定された。「獣医学科」(6年制、入学定員160人)と
「獣医保健看護学科」(4年制、同60人)で構成する。獣医学部の新設は国内で52年ぶりとなり、四国では初となる。



<一期工事>

獣医学部棟    鉄骨造 7階建て 延べ約1万3600㎡
管理棟      鉄骨造 4階建て 延べ約  4900㎡
獣医学教育病院  鉄骨造      延べ約  7600㎡

                  合計 2万6100㎡ (約7909坪)

<2期工事>

大講義棟     鉄骨造 2階建て 延べ    717㎡
大動物実習施設  鉄骨造 平屋建て      1220㎡
体育館      鉄骨造 2階建て 延べ   2800㎡

                  合計   4737㎡ (約1435坪)

<その他 2期工事>

駐車場・グラウンド 

1期工事の総床面積 約7909坪
二期工事の総床面積 約1435坪
   合計     約9344坪

192億円を単純に総床面積で割ると・・・約204万円/坪 となりました。これは報道されている150万円/坪よりも相当高い。

報道では加計学園が市に提出した建物の延べ床面積は3万258㎡(約1万坪)とあり、坪当たり単価が150万円になるとあります。

さて、皆さん、電卓を弾いて下さい・・・192億円を1万で割ったら192万円ですよね。何故150万円/坪になるのか・・・これはグラウンドや建物周辺の整備費を40億円程度と見積もっていると思われるからです。


施工工事費が148億円なので、9344坪で割ると150万円/坪という数字になります。これに対して加計学園側では「外構工事費」や「設計管理料」など20億円程度を含んでいるので、建物の施工坪単価は126億円/坪と答えています。

又、加計学園が以前市に建築施工費として提出していたとされる80億円という金額は1期工事のみの金額であると反論しています。

さらに、獣医学部という性質上、設備の費用が嵩むので、総事業費の192億円は妥当だと答えています。

■ 他の獣医学部の坪単価と比べても明らかに高い ■

大学病院の建設費の相場は87万円/坪。

3年前に獣医学部棟を建て替えた北里大学は、鉄骨造よりもお金が掛かる鉄筋コンクリート造で82万円/坪で建設されています。

加計学園と同様に国家戦略特区で医学部の新設が認められ、こちらも黒い噂がチラホラある、成田国際医療福祉大学でも、鉄筋コンクリート造で坪単価は88.5万円/坪。

これらの数字に比べて、加計学園の建築費の坪単価は明らかに高額です。コストの安い鉄骨造であるにも関わらずです。

■ 約1万坪という延床面積は2期工事を含んでいる ■

加計学園は150万円/坪という建築単価は1期工事だけの床面積で計算した数字で高すぎると主張していますが、建築通信新聞の記事に記載されている2期工事まで含めた延床面積は1万坪程度で、市民団体の試算にだいたい一致しています。


日本テレビなどは加計学園側の主張をチェックもせずに報道していますが、過去のネットの記事や、加計学園が市に提出した資料を見れば、加計学園側が嘘をついている可能性が有る事は直ぐに分かります。


■ 嘘の上塗りはすぐバレる ■

建築通信新聞の元記事は既に削除されていますが、ネットの時代、元記事をセーブしている人がどこかに居るもので、適切な検索ワードで検索すれば、直ぐに必要な情報は手に入ります。

今回の森友事件も、加計疑惑も、政府、官僚、地方自治体、当事者の学校法人、そしてネトウヨを中心とする自民党のサポーター達が、様々な嘘や稚拙な反論をばら撒いていますが、嘘の上塗りや、裏取りしていない情報などはネット時代にはすぐにバレてしまします。

■ お花畑左翼も、ネトウヨも同様にウザい ■

今回の一連の事件、「安倍の首と取った」とばかりにハシャグ、能天気なお花畑左翼や、ルサンチマンを安倍政権に向ける若者や、朝日新聞大好きの老人は、そこそこにウザい。

一方で、彼らに必死に反論するネトウヨも、その論理や根拠が相当に脆弱で、同様に相当ウザい。

とにかく、彼らの意見は「安倍は不正をしているに違いない」VS「お花畑左翼や報道はバカだから現実を捻じ曲げている」というイメージの闘いであり、先入観が強いあまり、数字やデータや情報に真っすぐに向き合う姿勢が欠けています。

■ 「憲法改正=普通の国」という安直な思い込み ■ 

ネトウヨが安倍政権を支持するのは、「日本は憲法を改正して普通に自国を守れる国になるべきだ」という思いです。しかし、これは「日本はアメリカの支配から脱して普通の国にならなければならない」という全共闘世代のリベラルの思想と同根である事にネトウヨ達は気づきません。

「日本が戦争の出来る国にする」という理由付けに、中国や北朝鮮の脅威、韓国の脅威を彼らは持ち出すますが、本当に中国や北朝鮮に対抗するならば、真っ先に主張すべきは「核武装」です。核武装をした国には、通常戦力をどんなに増強しても勝てません。

現実的には、世界の支配者は日本の核武装を絶対に容認しませんから、日本が中国や北朝鮮の核に対抗する為にはアメリカの核の傘下に居続ける必要が有ります。外務省や防錆省はここら辺は現実的で、自衛隊は「日本の独自防衛」などという夢は抱いていません。

結局、「憲法を改正して普通の国に」という亡霊みたいなものが日本会議周辺に取りついている様ですが、現実的な官僚と政治家がアメリカと密通し、マスコミを上手く利用して安倍政権を追い込んでいる・・・今回の森友、加計事件で確実に得られた成果が憲法改正の阻止であった事を考えると・・・目的は達成されたので、そろそろ加計問題も幕引きなのかも。

ただ、ネットの情報量や影響力が既存メディアを越えた今、はたして幕引きが出来るのか・・・不毛なお花畑左翼とネトウヨの論争よりも、そちらの方が興味深い。