■ ああ・・・あの時買っていれば今頃・・ ■
上のグラフは今年3月からのビットコインの値動きですが、これを見て「ああ、人力の言う事なんて信じないで、あの時ビットコインを買っておけば良かった」と思われている方も多いでしょう。いや、そんな方は最早このブログをご覧になっていないでしょう・・・。
■ 毎日がリーマンショック級 ■
年初に買っていれば、それこそ「ボロ儲け」だったビットコインですが、短期の値動きは非常に激しく、各国政府の対応といった外部環境の変化や、ビットコインの運営方法の変更などで大きく値が変動します。それこそ、毎日がリーマンショック級の変動と言っても過言では無い。
こんなものは「投機」であって「投資」ではありませんから、余ったお金で遊ぶには楽しいでしょうが、とても老後の資金を託せる様な物ではありません。
■ 典型的なバブルの見本 ■
ビットコイン市場の現状は「お金が集まるから値が上がり、値が上がるから又お金が集まる」という典型的なバブルの見本です。これがいつまで続くかと言えば・・・お金が続く限り続く。
この場合の「お金」とは、金融緩和によって供給された過剰流動性の事です。各国中央銀行は既に隠れテーパリングに入っていますが、リーマンショック以降に供給された流動性の規模は莫大で、これが様々な市場を徘徊しています。
この流動性の幾ばくかが小さな市場に流れ込むと、価格は大きく上昇します。ビットコイン市場が正にこの典型で、今まで一部の新し物好きと、怖いもの好きの人達が「チビチビ」と楽しんでいた小さな市場に、ヘッジファンドなどの資金が流入したので価格は急上昇しました。
■ 足の速いマネー、と足の遅いマネー ■
シカゴ市場に先物が上場されるなど、ビットコインはだんだんと「投資」の対象としての形態を整えています。庶民がビットコインに参加するハードルも下がっています。
電車の中でも、エレベーターの中でも「ビットコインってどうなんだろう」という会話が聞こえて来る昨今ですが、これはNYの靴磨きの少年が株の話を客にし出す事と同じ。結局、投資や投機などに縁も無い人達の間で話題になった頃がバブルのピークとなります。
私は常々、お金には足が生えていると感じていますが(私の財布からは良く逃げる)、ヘッジファンドなどの運用するお金の足は速く、個人投資家などが運用するお金の足は遅い。
一旦危機を察知すると、ヘッジファンドなどのお金は真っ先に市場から逃げ出し、最後に個人投資家のお金が生贄になります。さらにヘッジファンドなどは空売りを仕掛けて行ったりするからタチが悪い。
先物市場が開設されるなど、テクニカルが価格変動を仕掛ける事が出来る様になると、なおさら個人投資家には不利な状況となるでしょう。
■ ビットコインよりも大きな市場が同様の状況である事が怖い ■
仮にビットコイン市場が崩壊しても金融危機の引き金にはならないでしょう。リスクマネーの掃き溜めの様な市場ですから、「ああ、やっぱり」と思われてお仕舞になります。
注意が必要なのは、株式市場や債権市場など、もっと規模が大きな市場が同様にバブル化している事。多くの機関投資家も、既に市場がバブル化している事に十分自覚的ですが、「運用」を生業としている彼らは稼げる内は資金を運用するしかありません。
「まだ、大丈夫」「自分だけは逃げられる」・・・そう自分を納得させながら多くの人達が日々チャートとニラメッコしている事でしょう。
■ 「市場は織り込み済み」という自己暗示 ■
最近では「FRBの利上げを市場は既に織り込んでおり・・・」なんて表現が多くなりましたが、小さな環境変化が起きても「織り込み済み」と言うだけで何だか安心している様に見えます。
「予測の範囲内だから」「織り込み済みだから」と自己暗示を掛けながら市場はリスクを増大させています。
■ 何も「織り込まれてはいない」事に突然気付かされる ■
市場は常に変動しますから、市場参加者はあらゆる方向に目を配って運用をします。目先の効く方ならば沖合の小波や、潮目の変化を見逃しません。上手に舵を切って軽々と乗り越えて行きます。ところが、突然大津波がやって来ると、ほとんどの投資家は波に飲まれてしまします。
津波の直前に急に波が穏やかになった・・・・そんな状況が現在なのかも知れません。多くの市場が鈍感になっています。
■ 津波はいつ来るの? ■
誰もが知りたい「津波がいつ来るの?」
一つの指標として過熱したビットコイン市場は有効な目印かも知れません。ただ、多くの投資家がビットコインを観測ポイントとしていると・・・ビットコイン市場の崩壊がブラックスワンに変身する可能性も有る。(元々真っ黒で怪しい白鳥ですが・・・。)
その意味においてビットコインの値動きは注目に値するのかも知れません。