6年の歳月を経ての再演である。まだ、若手劇団の頃の満月動物園が、当時の全力を示した作品をほぼ、そのまま、再び同じ応典院で見せる。作、演出の戒田さんは「河上(由佳)で、これをもう一度やってみたかったんです」と言っていたが、初心に戻り、今の立ち位置を確かめるために、これは避けて通れないものだと思ったのだろう。
開場、同時開演のアングラスタイル全開の芝居だ。ロビーでいきなり芝居は始まる。劇場の外か . . . 本文を読む
大きな樹のうろで眠る少年。彼のところにやって来た女。道に迷い、山の中を彷徨った末にここに辿り着いた。偶然出遭ったふたり。
さっき「少年」と書いたが、それは嘘だ。ただ、震えて眠る彼女(吉岡亜紀子)が、僕には少年に見えたから。誰も彼女を守ってくれる者はいない。ただひとり、ここで死んでゆくのを静かに待ち続けている彼女の怯える姿を見た時、この芝居の方向性がしっかり見えてきたような気がした。
実は . . . 本文を読む