瀬々敬久監督の新作である。しかし、よりによってこういう青春映画が彼のところに回ってくるなんてなんだか、不思議だ。しかも彼がそれを引き受けたのも、謎だ。いくら考えても瀬々さん向けの題材とは思えない。
ということで、かなりびびりながら見た。そして、期待を遥かに超越する。ものすごくびびってしまった。これは一体なんだ!これがあの瀬々敬久作品なのか?僕にはまるで納得がいかない。こういう毒にも薬にもなら . . . 本文を読む
映画監督、原田眞人による初の長編小説。かっての『タフ』や『KAMIKAZE TAXI』さらには『さらば愛しき人よ』といった初期の頃の彼に戻ったようだ。最近は社会派監督のようになってしまったが、こういうノワールでこそ彼は力を発揮する。本業の映画の方では今はこういう企画が通らないから、小説の世界でやってしまうなんてとても彼らしい。
500ページに及ぶ大作である。そしてもちろん彼の本領を十二分に発 . . . 本文を読む
とても真面目な芝居だ。登場人物の感情の動きがあまりにストレートすぎて、見ていてちょっと腰が引けてしまうくらいだ。こんなにも単純に物事が運ぶのなら世の中楽だ、と思う。現実にはありえない。しかし、こんなにも真面目な人たちなら、こんなふうになってもいいと思う。真面目な人が損ばかりする世の中で、真面目に生きる人がハッピーエンドを迎える芝居があったっていいではないか。
いい年した兄と妹が二人で暮らす部 . . . 本文を読む
今まで以上に作、演出の中山治雄さんは、自分の表現を徹底させていく。役者たちにはわざと平板な芝居を強いる。それは感情的にならない、というわけではない。ミステリ仕立てのお話の中、役者たちは置かれた状況の中、感情をむき出しにする場面も多々ある。だが、そんな場面も含めて、芝居をフラットなままに流すのだ。
だいたい今回のような象徴的なドラマは助けとなるものが、ほとんどないから自分の身体だけで状況や感情 . . . 本文を読む