習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『フライング・ラビッツ』

2008-09-20 21:16:32 | 映画
 瀬々敬久監督の新作である。しかし、よりによってこういう青春映画が彼のところに回ってくるなんてなんだか、不思議だ。しかも彼がそれを引き受けたのも、謎だ。いくら考えても瀬々さん向けの題材とは思えない。

 ということで、かなりびびりながら見た。そして、期待を遥かに超越する。ものすごくびびってしまった。これは一体なんだ!これがあの瀬々敬久作品なのか?僕にはまるで納得がいかない。こういう毒にも薬にもならないプログラムピクチャーが21世紀の現代作られたことが奇跡だと思う。(だが、なにもそれを瀬々さんがしなくてもいいではないか。)正直言ってこれは骨董品である。今時こんな映画が作られるなんてありえない。

 劇場は当然がらがらだった。今時時間と金を使って劇場にこんな出来損ないのアイドル映画もどきを見るような観客はいない。だいたい石原さとみってアイドルですらない。TVのコメディーでももうこんな企画しないだろう。懐かしの『アテーション・プリーズ』の世界だ。JALが大々的にバックアップすたのだろうか。でもこんなバカ映画になるとは思いもしなかっただろう。これでは企業イメージがダウンし兼ねない。

 だいたい「恋も仕事もバスケのあきらめない!」だなんて感じのコピーだったが、これでは恋も、CAの仕事も、バスケも最悪だよ!でかい女の中に1人小柄な石原が入っているという構図は面白いが、それだけ。CAの仕事の部分なんて、ハムスターを機内に持ち込むとか、ありえない。

 高田純次のバスケの監督とか、70年代の安物の青春映画のノリで笑えない。だいたいあんな簡単にバスケが上手くなるものなのか?バスケも舐められたものだ。素人がすぐに実業団で活躍できるようになるとは思えない。(だが、哀川翔の父親が「バスケも合気道も同じだ!」と真面目な顔で言うシーンは笑える。石原は合気道のノリでバスケが上手くなるのだ。)

 何から何まで目が点になることばかりで、悪夢を見ている気分だった。瀬々敬久監督は今、来年1月公開の東宝の大作『感染列島』を撮っている。これにも驚いた。なぜこういう企画が彼のもとにいくのか。いったいどういうことが起こっているのか。訳が分からない。

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