若いスタッフが力を合わせてこのとても優しくて力強いファンタジー映画を作り上げた。監督は新鋭マーク・バランスキー。主演はクリスティナ・リッチー。思いがけない贈り物だ。
この丁寧に作られた愛の寓話を堪能する。呪いをかけられて豚の鼻で生まれてきた娘は、外部の人たちの目に触れないように屋敷の中に閉じ込められて育った。年頃になった彼女をなんとか幸せにしようと、彼女の両親は彼女を妻に迎えてくれそうな男を . . . 本文を読む
とても寡黙な映画だ。主人公の2人はほとんど喋らない。自分の気持ちを言葉にしない。映画自体も説明になりそうになると、その部分をはしょってしまう。だからわかりにくいシーンもある。そのくせ何でもないシーンはけっこうじっくり見せる。こういうスタイルを敢えて斉藤孝監督は選んだ。
都会で暮す30歳前後のOL女性(坂井真紀)のなんでもない日常をスケッチすることで、彼女の不安と孤独を日常の中に埋もれさせて見 . . . 本文を読む
こういう新鮮な出会いが何よりもうれしい。初めての劇団と接して思いがけない刺激を受けた時、あぁ、芝居見ててよかったなぁ、と素直に思えれる。手垢のついたスタイルではなく、かといって特別斬新なものでもない。ある意味ではオーソドックスな語り口を見せるこの芝居のとてつもない優しさに触れた時、芝居という表現の可能性を信じたくなる。
もちろんまだまだ荒削りだし、表現としての拙さは否定しない。しかし、最初か . . . 本文を読む
かなりあやういところで芝居作りをしている。それってもうずっと昔から同じで今に始まったことではない。岩橋さんの良さが十二分に発揮された傑作『カーゴカルト』に続く新作である今回の作品は、彼の良さと悪さが両方でた芝居だ。そういう意味で、彼の現地点での到達点を示すものとも言えそうだ。
彼の弱さは演出力のなさ、である。作品世界を強固のものとする作家としての強い意志が作品に漲ってこない。だから、詰めが甘 . . . 本文を読む
スティーブン・キングの短編の映画化であるこの作品はよくあるホラーなのに、ギリギリのところで下品にはならずまとまった。話自体はありふれている。映画自体もかなり危ないところまで、行っている。もう少し壊れてしまうとつまらない映画に成り下がる。かと言って、もう少し手前で止めていたなら、もの足りない映画になる。エンタメとアートの境界線上であやうくバランスをとっている。
B級ホラー映画はもうごまんとある . . . 本文を読む
2本目はオーソドックスな芝居の作り方で見せる。サイレント・カフェという喫茶店。閉店30分前にやってきた女。カフェのオーナーと彼女とのやり取りで見せる2人芝居。吉川貴子さんと山田一幸さんである。『100年トランク』のサンズを主人公にした1篇。
本編では語られなかったバラバラ死体になる前のサンズのお話を凝縮された時間の中でさらりと見せる。ワン・エピソード読みきりとして完結する。とは言え、これだけ . . . 本文を読む